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歴史

2021年6月14日 (月)

映画「2001年宇宙の旅」は、実は、超わかりやすい「娯楽大作」なのではないか?

こちらで、リヒャルト・シュトラウスの交響詩、「ツァラトゥストラはかく語りき」について書いたので、この曲の冒頭部分が三箇所で使われている、映画「2001年宇宙の旅」を30年ぶりぐらいに観た感想を書こう。

この映画では、ヨハン・シュトラウスⅡ世のワルツ、「美しき青きドナウ」も使われていることをご存知の方も多いだろう。

スタンリー・キューブリック監督による、世界映画史に残る不朽の名作とされるこの作品は、1968年に公開されている。

封切り直後は客の入りも少なく、批評家からも叩かれたこの作品、1ヶ月ぐらいで公開やめてしまおうとMGMは考えてしまったようだが、映画館主の方からは評価され「若者を中心に少しずつ観客が増えているから」との連絡が次々入るうちに、徐々に認められていったようだ。

本編148分の大作で、しかもナレーションがなく、展開が難解と言われながら、そのSF考証の凄まじさと、どのようにでも解釈できる深みという点で、その後の作品に大きな影響を与えた。

ブルーレイの画質は、もう、信じられないくらいに良い。まるで4Kハイビジョンの「ビデオ」で撮影されたかのようである。

今回み観なおして思ったのは、難解で高尚なような作品のようでいて、実は思ったよりシンプルな「娯楽大作」ではないかということだ。

Amazonレビューを見ると、評価は両極端。「長すぎて寝てしまった」「観るのに我慢を強いられた」・・・これは若い人に多い感想のように思う。

これで思い出したのは、Twitterで最近流れて来た次の記事のことである。

この記事の主張は、最近の映画やドラマは、セリフで何でも説明するようなのが若者に好かれ、言外の意味とか、セリフと気持ちが裏腹のような表現がピンと来ず、2倍速で再生するような人が増え、「鑑賞」ではなく、「消費」になっていることへの危惧である。

そりゃ、「2001年」なんてそういう作品の典型ではないかと私は感じた。

繰り返すが、私はむしろ、今回この映画を観なおして、むしろ非常に単純なプロットの作品だと感じた。

時間の長さなと、全然感じなかった。主観では、1時間半ぐらいの作品にすら感じられた。

登場人物も少ないもんね。

基本は、モノリスという黒い抽象的な四角い長方形の壁のようなものが、進んだ文明を持つ異星人が地球にもたらしたもので、地球人類は、そのモノリスのおかげで進化してきたし、これからも更に進化するであろうという物語である。

そこに、もはや凄い高等な知性を持とうとしているかに見えた、HAL3000というコンピューターの、乗務員への反乱というサイドストーリーとして進行する・・・それが物語の筋である。

あとは、ともかく未来の宇宙の科学技術についての、徹底的な考証と、宇宙の映像をディティールまで描き出した、時代を超えた壮大な映像美に、どっぷりと「浸る」作品・・・ということだ。

未来の予測として外れたのは、現在の宇宙ステーションが回転型ではなく、人工重力を発生させるテクノロジーには向かわなかったことと、木星の近くまで航行する技術にまだ到達していないこと、スーパーコンピューターが集積されて、もっと小型で済むようになったことぐらいだろう。

デサインセンスが、永遠に古びないであろう、洗練の極致であるとしか言いようがない。

もっとも、重箱の底を私なりにつつけば、女性のフライトアテンダントの服装デザインだけが古めかしいこと、もはや操作スイッチ大きなボタン型ではなく、タッチパネル化がもっと進んでいるのではないかということだ(後者は、現実の現在の飛行船や飛行機がそうなっているかどうかを私は知らない。タッチパネルって、実は打ち間違える危険が高いから、あまり使われていない可能性もある気がする)。

木星から異次元へトリップするサイケなシーン、これをCGのない時代にここまで表現できたのは凄まじいと評価するしかない。この部分の映像、アナログのビデオ技術では、相当荒れたシーンのように思われていたが(特に赤色の表現に一般人の使うビデオが、滲みやすい)、デジタル画面でみると、非常に透明感のある画質であるように見えてくる。

一番難解なのは、なぜボウマン艦長がたどり着いた空間が、ルイ王朝時代の様式の空間なのかという点だと私は思っていたが、これについては、おまけ映像として付いているドキュメンタリーのひとつの中で、制作当時の関係者のひとりが解説していた解釈(これはさすがにここでは伏せる)が説得力があると思う。

キューブリック監督自身や、熱心な崇拝者の間では、神の存在としてのひとつの理解というのがあるらしいが、一神教ではない日本人はそういうことにとらわれないであろう。そうした「高尚さ」や「深み」を読み込むより、すでに述べたように、徹底的に作り込まれた、娯楽超大作として楽しめばいいのだと思う。

これに続いて、映画と並行して書かれ、わざと映画公開より少し遅れて出版された(つまり決して「原作」ではないのだ)アーサー・C・クラーク版で、どのそうに言葉で描かれているかという楽しみが、私には残されていることになる。

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2021年6月 1日 (火)

NHK 100分 de 名著 ブルデュー『ディスタンクシオン』からの「知ったかぶり」を承知のほとんど勝手な自由連想

実は原典の方は読んでいないのですが、「100分で名著」を30分で読んで、「知ったかぶり」させていただきます(^^;)

これはブルデューの著作の中でも、もっぱら「趣味」についての本のようです。

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階級的に上位にある人々、特に「よい大学」を出た人々は、その成果を自分の才能や努力のおかげだと信じ切って、その地位を享受することを当然だと思いがちです。

しかし、ブルデューは、今回紹介する『ディスタンクシオン』などの多数の著作のなかで私たちが自然だと思っていること、当然だと思っていることが、いかに階級などの社会構造に規定され、条件付けられているかを明らかにしました。

たとえば、聴く音楽、毎日の食事、好んでおこなうスポーツ。あるいはもっと微細な身のこなしや態度、歩き方や喋り方まで、こうした日常的な行為や認識が、いかに社会によって決定(と言うと言い過ぎですが)されているかを、執拗なまでに説き続けたのです。

======================================================

ブルデューという人は、単なる思弁の人ではなく、膨大な社会調査も駆使した実証的スタンスも併せ持った人のようですね。あと、「ハビトゥス」というのが鍵概念であることはわかりました。

私は、音楽への関心という点ではかなりハビトゥスから自由な人間な気はします。クラシックはグレゴリオ聖歌、バロック、ロマン派、バルトークやシェーンベルク、メシアン、ショスタコヴィッチぐらいまでならオールマイティです(いわゆる現代音楽は苦手ですが)。

クラシックファンにはカラヤン嫌いも多いですが、カラヤンも好きですし、グレン・グールドも好きです。

クラシックのライブは、昔は日本指折りと言われ、来日著名音楽家も演奏した久留米石橋文化ホールでの体験が基礎になっています。

ポップス・ロックは、それなりにメジャーな、贔屓のミュージシャンがいます。

(といってもジャズは私の関心のごく一部ですし、レゲエやヒップホップとかは、一応持ってはいますが聴きません)。

美術の分野では、以前書いたようにムンクもクリムトも好きですし、シュールレアリズム、印象派、ルネサンス、更に昔の画家のものも好きです。

現代美術も好きで、ジャコメッティの彫刻とかも好きで、ウォルホールとかも馴染んでいますし、ともかく東京時代はいろんな美術展に通いました。

名画の非常に多くを現物で観てきたとおもいます。油絵とかは、画集とかではなく、実物は絵の具の盛り上がりが立体的に観れると印象が深まりますね。

久留米は青木繁や古賀春江など、随分傾向の違う画家の出身地でもあり、石橋美術館で子供の頃から鑑賞していました。日本画も嫌いではありません。

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今、久留米市美術館(旧石橋美術館)萩尾望都展をやっているのですが、来週ぐらいにブログに鑑賞記をあげるつもりです。

一方、小説というジャンルは基本的に苦手ですね。歴史好きの私ですが、意外にも「歴史小説」は読んだことがない。司馬遼太郎も山岡荘八も一冊も読んだことがない。

大衆小説は読まない。

純文学では夏目漱石駄目、谷崎潤一郎も駄目、川端康成は「伊豆の踊り子」しか読んだことはない。太宰治は「人間失格」のみ、三島由紀夫は「金閣寺」のみ。芥川龍之介と宮沢賢治ぐらいかな? ほとんど読んでるのは。

アニメ・コミックなら好み万能であることは言うまでもありません。少女漫画もOKです。すでに触れた萩尾望都は全集持ってますし。もっとも趣味は古めで、つげ義春であろうが手塚治虫であろうがOKですが、アニメには「まどか☆マギカ」以降にはブランクがあります。

新海誠作品と「この世界の片隅に」ぐらいでしょうか。YoutubeやNeifixやAmazon Primeに上がっているのの幾つかは観ています。最近のなら「進撃の巨人」とかまで。大ブームになっている「鬼滅の刃」は原作もアニメも見たことないです。

ラノベとは無縁でしたが、「転生したらスライムだった件」や「ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー」はやすやす楽しめたことは前のエントリーで書いたとおりです。

「銀河英雄伝説」は大好きですが、これってライトノベルではなくて「スペースオペラ」ですよね? この作品は旧アニメ版もNeue Theseも観ています。

もっとも、ゲームはほとんど「卒業」「誕生」「ウマ娘」ですべて(全部育成シミュレーションではないか)。

一方、私は歴史の本なら、それこそ心理の本以上にといっていいくらいに滑らかに一気に読み進めますが、社会学、ましてや経済学の本となるとそうはいきません。非常に努力しても理解できないことが多い。これもハビトゥスと関係あることかもしれませんね。

私の父は中卒で、税理士の仕事一筋、野球中継ばかりみて、ろくに小説とかも読まない人でした。音楽といえば軍歌と島倉千代子かな。

母は・・・日本舞踊の師範ではありました。

ところが、家に10枚組ぐらいのクラシック全集が忽然とあるのに私が中学2年の時に突如興味を持った時、父はいきなりオーディオ装置を買い与えてくれたんですね。これが大きかったです。

もっとも、幼稚園児時代にヤマハの音楽教室に通わせてもらえていたという素地もあるのですが。

収入の割には、随分私に投資し続けてくれたと思います。その結果、こちらで示したように、最高学府まで行かせてもらえたわけですが。

自分の「階級」は何なのか、よくわかんないです。一時期私は父の収入すら上回っていたのですが、基本的には庶民根性が抜けていないと思います。

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2021年5月31日 (月)

ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー

私は「小説家になろう」系のライトノベルを読む趣味は基本的にはないのだが、「転生したらスライムだった件」は例外的に小説版で読んでいる。

珍しくアニメ版やコミック版より小説版の方が先行している。何で知ったのかは自分でも記憶がないがとにかくそうなのだ・・・あ、そうか、「小説家になろう」サイトで原型を読んだだけか。

暇つぶしに加入したAmazon Kindle Ultimateで「ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー」というのをコミックス版で拾った。これも「なろう系」ライトノベルが原作らしい。コミック版が現在第3巻まで出ているようだ。

わかりやすく言えば、明らかにマリー・アントワネットをモデルとした20歳の姫が、革命により断頭台の露と消えた瞬間に転生し、12歳の自分の時間軸に戻る。

そこから今度は決して自分が断頭台に向かわすに済むようにという当初は自分ファーストな思いから、人生をやり直し、時間軸を捻じ曲げ始める・・・という展開なのが、気軽に楽しく読めた。

Amazonレビューを読む限り、傑作と名高い原作のライトノベルに対して、コミック版は原作を見事に昇華しているという好意的な評判が多いようである。

*******

どうも最近の私は結構暇していて、一日に活字の本一冊、コミック数冊という猛烈な勢いで読書に励んでいる。

次に何を紹介するかはわからないので、心して待たれよ。

そろそろ先延ばしにしていた、「累々」の読み時かな。

それにしても、こういう何でもアリで60歳なのは我ながらあきれる。ホント全然老いてないね。

今は一時期の暴走への反省から「禁欲」生活送ってるからなあ。

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2021年5月30日 (日)

後藤 明 著「イスラームの世界史」

本書の特徴は、ヨーロッパ側からではなく、徹底徹尾イスラームの側を軸として世界史を俯瞰していることである。それはもはや天動説に対する地動説ともいいたくなる。

それは決してイスラームの肩入れしているというわけではなく、いわばメッカやバクダットを世界の中心として俯瞰して通史を書けばどうなるかということである。

結果的に、世界史の勉強では辺境地域として扱われ、昔なら早稲田の世界史の入試問題にしか出なかったであろうパルチアやらエフタルといった国々がイスラム中心国とどのような関係にあったのかもよくわかる。インドの王朝や東南アジアとの関係も見通しがいい。

それどころか古い時代における日本やアメリカ大陸との交易が果たした意味についてまで触れている。

東欧諸国がかつてイスラム圏内であり、ロシアの南に位置する国々がイスラム圏であることもよくわかる。

それはチチェン紛争やユーゴスラビア解体後の紛争についても見えやすくする。

アフリカのイスラム王朝という、旧来の日本の世界史の教科書では無視されてきた地域への目配りも十分ある。

ある時代までイスラーム圏がヨーロッパ諸国より優越していたこと、それが18世紀から19世紀にかけて急激に交代する様もよく描かれている。

惜しむらくは、「あとがき」で9.11のことまでは触れているものの、その後の20年の展開・・・過激なイスラーム原理主義に基づくアフガニスタンの動向、アルカイダからイスラム国の問題については言及がないままに文庫版が刊行されたことだろう。

いずれにしても、流れるように読める著作だと思う。

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2021年5月21日 (金)

ワレン・ファレル (著)「男性権力の神話 男性差別 の可視化と撤廃のための学問」についてのとりあえずの感想

ワレン・ファレルの本は1回目読み終わったところですが。とにかく事例が多い本です。これはもう一度読み返さなければ、すでに他の方がしているレビューの水準のものは書けません。

本書の紹介としては、訳者による次の記事が入門として的確でしょう:

●女は「ガラスの天井」、男は「ガラスの地下室」 男性の「生きにくさ」は性差別ゆえかもしれない

もう一度私なりの感想をまとめなおす時も来るかと思いますが、とりあえずのnoteを書いて起きましょう。

アメリカの映画やドラマについて、見ているという前提で書かれている叙述も少なくなく、私はそのホントに一部しか観ていませんし。

意外とフェミニスト攻撃の部分は少なくて、むしろ男性の「割のあわなさ(といっても、文字通り生死をかけた)」についての本という印象をとりあえず受けています。

「女性が」男性を「差別」しているというより、社会構造的に、男性に負担がかかるようなシステムなっていることについて、数多くの事例や統計をもとに実証しようとしているというか。

男性「差別」という言い方だと、フェミニストが男性を差別しているという意味合いが強くなり過ぎで、それはそれで誤解されそうな気がします。

それと「ガラスの天井」に対する「ガラスの地下室」という言葉は、それを知っているという前提でほんの2行ほど書かれているだけで、訳者があわてて訳注をつけているぐらいです。

女性が男性を「利用」して虐げていることについての事例も豊富ですが。

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2021年4月14日 (水)

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2019年7月19日 (金)

エリオット S.ヴァレンスタイン著「 精神疾患は脳の病気か?―向精神薬の科学と虚構」(2)

前回の続きである。

たいへん読みやすい本なので、残りの3分の2を2時間あまりで一気読みできてしまった。

前にも書いたが「通史」として読むと頭の整理がつくが、実は私にとって目新しいことは何も書いてないに等しいのである。

内容は、精神疾患におけ神経伝達物質仮説がとこまで信頼でき、どこからが曖昧かという方向に進みます。具体的に言えば、統合失調症のドーパミン・セロトニン仮説と躁うつ病におぇるセロトニン・ノルアドレナリン仮説です。

実はこれらの仮説に基づいて作られた薬は60%ぐらいの人にしか効かないことが提起されます。

そして、原因が脳の「機能的」変化だけではなくて「器質的」特性に期起源をもったり、実際に「器質的変化」が環境因や薬そのものによって引き起こされる可能性について(海馬の萎縮とか)。

DSM(アメリカ精神医学会診断基準)の成立過程で、精神分析などの力動心理学と薬物療法を中心とする精神科医がどう折り合って来たのかとか、その「政治的」側面も。

大規模精神病院への長期入院の経済的コストを軽減する目的での薬物療法の推進。

製薬会社のプロモーションにどれだけ精神科医が依存しているか、一般大衆が感化されているか。

学会のスポンサーとしての製薬会社の影響力の強さ。(私自身てんかんと自閉症についての国際学会でしたが、実際出てみてどれだけ製薬会社のバックアップが大きいかに驚きました)

心理療法と薬物療法、両陣営の間での確執。特にアメリカでの保険適用における薬物療法の優位性の問題について。

心理朗報に関しては、ロジャーズのことも出て来ますし、認知行動療法や行動療法、対人関係療法の効果についても出て来ます。

そうそう、ADHDとリタリンのことも出てきますよ。

いずれにしても、筆者のスタンスは、決して薬物療法批判ではなくて、中立的な見地からその限界について問題提起しようとしているものです。

訳者も進めているけど、臨床心理士さんも読んで得るものがあると思います。

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G-Tune

2019年7月14日 (日)

エリオット S.ヴァレンスタイン著「 精神疾患は脳の病気か?―向精神薬の科学と虚構」(1)

やっとこちらで書いた予告の約束を果たせる時が来た。

この著作は、少なくとも精神科で使われる薬の処方について最低限の入門的知識とそれに関わるとされる神経伝達物質仮説についてのこれまた入門的知識(統合失調症、躁うつ病、うつ病、不安神経症だけでいい)を持っている人にとっては、非常に興味深く、かつ実に読みやすい本だと思う。

それこそ、最初の統合失調症薬がクロルプロマジンやハロペリドールであり、躁うつ病の最初の薬がリーマス(炭酸リチウム)であることを知っていればいいというレヴェルである。

訳もいいのだと思うが、恐らく原文そのものがいたって読みやすいものなのではなかろうか。

 本書の前半は、そうした薬が、ほとんど偶然に発見され、素朴なまでの臨床適用が実験的に進められ、普及するまでの歴史についての、実にわかりやすい通史となっている。

そして、精神医学的症状が、脳内の神経伝達物質のバランスである、という今日主流となっている仮説となる経緯についも、実に見通しがいい解説がなされている。

そして、黎明期の製薬会社の宣伝の在り方についても。

これらの内容は、私にとっては何ら新奇なものではなく、少なくとも断片のつなぎあわせとしてはたいてい知っていた事柄だが、こうやって「通史」として読めるとなると、実にいい頭の整理となる。

筆者は長年精神科薬物の脳化学的機序についての研究に取り組んできた人であり、単純に薬物療法を否定するために書いているわけではないことは言い添えておきたい。

中盤以降を読むのが楽しみである。

続きはこちら

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2019年6月30日 (日)

クリムトとムンク

現在東京都美術館で、「クリムト展 ウィーンと日本 1900 Gustav Klimt: Vienna – Japan 1900」展が開かれているそうですね。

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( ↑ 展覧会公式画像。「ユディト」)

私も東京時代にクリムト展は観にいきましたよ。

あの「金色」との対比の中で浮かびあがる人物像は、完全に自然光の反射を計算づくで取り入れたもので、実物をみないとその核心に迫れません。複製では駄目。

会場の照明がどうなっているかが成否を分けそう。ライトで照らしたりしたら最悪。

私が観た時の展示は、どこの美術館かは忘れましたが、自然光の入るオープン・スペース中心でした。 

クリムトは父親がボヘミア人なので、少し東欧系の香りが融合されています。美しくて、そんなに退廃的とは感じませんでした。

確か同じようにボヘミア出身の同時代の作曲家・指揮者マーラーとも相性が良かったようで。友人関係でした。

クリムトはベートーヴェン・フリーズで有名ですか、

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(部分)

CDでマーラーの交響曲全集の各表紙をクリムトでまとめたのはクーベリックだったかな(クーベリックは生粋のチェコ人)。

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*****

一転して、ノルウェーの画家、ムンクのことを書きましょう。

私は2回ムンク展に行ったことがあります。

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「叫び」があまりにも有名で、独り歩きをしていますが、ここで「叫んで」いるのは真ん中の人物ではない。

実際にムンク展(一回目)に行った時に、カンバスの裏に回って目に入ってきたのですが、ドイツ語で、確か、

"Ich hörte die Welt weinen."

とありました。

「世界が叫んでいるのを私は聴いている」

なんですよね。

耳を抑えているとも、聴いているとも受け取れる構図にはそういう意図があります。

実は「叫び」の絵はムンクは大小取り合わせて数枚、同じ構図で描いています。

一回目の展覧会は、オスロ美術館からムンクの全作品を借り受けたもので、全部揃っていました。

晩年の作品は、ほとんど殴り書きの未完成なものが多く、ムンクの精神荒廃(統合失調症?)がうかがえます。

・・・それはそれとして、私が好きなムンクの絵に、「思春期」と題するものがあります。

Image

これは少女の初潮をあらわしたものと言われています。ベッドのシーツに赤いしみのようなものがありますよね。

後ろの黒い影が、まるで魂が抜けだしているかのようで、気になりますが、ムンクは多くの絵にこういう「影」をつけます。

この絵は一回目のムンク展のチケットに印刷されていまして、私はパスケースに入れていつも大事に、お守りのように持ち歩いていました。

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トロントだより

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     The Focusing Instituteの第17回国際大会(2005/5/25-31)の開かれた、カナダ、トロントの北の郊外(といっても100キロはなれてます)、Simcoe湖畔のBarrieという街に隣接するKempenfelt Conference Centreと、帰りに立ち寄ったトロント市内の様子を撮影したものです。

神有月の出雲路2006

  • 20061122150014_1
     11月の勤労感謝の日の連休に、日本フォーカシング協会の「フォーカサーの集い」のために島根県の松江に旅した時の旅行記です。https://focusing.jp/  
    ご存じの方は多いでしょうが、出雲の国には日本全国の神様が11月に全員集合することになってまして、「神無月」と呼ばれるわけですが、島根でだけは、「神有月」ということになります。(後日記:「神無月」は10月でしたよね(^^;A ........旧暦なら11/23前後は10月でせう....ということでお許しを.....)  
    ちょうど紅葉の時期と見事に重なり、車窓も徒歩もひたすら紅葉の山づくしでした。このページの写真は、島根の足立美術館の紅葉の最盛期です。

淡路島縦断の旅

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     「フォーカシング国際会議」が、2009年5月12日(火)から5月16日(土)にかけて、5日間、日本で開催されます。
     このフォトアルバムは、その開催候補地の淡路島を、公式に「お忍び視察」した時の旅行記(だったの)です(^^)。
     フォーカシングの関係者の紹介で、会場予定地の淡路島Westinという外資系の超豪華ホテルに格安で泊まる機会が与えられました。しかし根が鉄ちゃんの私は、徳島側から北淡に向かうという、事情をご存知の方なら自家用車なしには絶対やらない過酷なルートをわざわざ選択したのであります。
     大地震でできた野島断層(天然記念物になっています)の震災記念公園(係りの人に敢えてお尋ねしたら、ここは写真撮影自由です)にも謹んで訪問させていただきました。
     震災記念公園からタクシーでわずか10分のところにある「淡路夢舞台」に、県立国際会議場と一体になった施設として、とても日本とは思えない、超ゴージャスな淡路島Westinはあります。

水戸漫遊記

  • 050723_1544
     友人と会うために水戸市を訪問しましたが、例によって鉄ちゃんの私は「スーパーひたち」と「フレッシュひたち」に乗れることそのものを楽しみにしてしまいました(^^;)。
     仕事中の友人と落ち合うまでに時間があったので、水戸市民の憩いの場所、周囲3キロの千破湖(せんばこ)を半周し、黄門様の銅像を仰ぎ見て見て偕楽園、常盤神社に向かい、最後の徳川将軍となる慶喜に至る水戸徳川家の歴史、そして水戸天狗党の反乱に至る歴史を展示した博物館も拝見しました。
     最後は、水戸駅前の「助さん、格さん付」の黄門様です。
     実は御印籠も買ってしまいました。

北海道への旅2005

  • 051012_1214
     日本フォーカシング協会の年に一度の「集い」のために小樽に向かい、戻ってくる過程で、他の参加者が想像だに及ばないルートで旅した時の写真のみです。かなり私の鉄ちゃん根性むき出しです。  表紙写真は、私が気に入った、弘前での夕暮れの岩木山にしました。