コメント・トラックバックについて

  • このブログのコメントやトラックは、スパム防止および個人情報保護の観点から認証制をとらせていただいております。これらの認証基準はかなり緩やかなものにしています。自分のブログの記事とどこかで関係あるとお感じでしたら、どうかお気軽にトラックバックください。ただし、単にアフリエイトリンク(成人向けサイトへのリンクがあると無条件で非承認)ばかりが目立つRSSリンク集のようなサイトの場合、そのポリシーにかなりの独自性が認められない場合にはお断りすることが多いことを、どうかご容赦ください。

Twitter

« 占いや開運グッズにこだわることの長所と短所 | トップページ | 北山修「幻滅論」からの連想 »

2022年1月22日 (土)

Social Phobia(社交不安障害、社会不安障害、対人恐怖)について

私が若い頃、学生相談をしている時にはあたりまえの概念で、実際そういう主訴の人も多かった「対人恐怖症」という言葉そのものを目にすることがなくなったのはどういうことだろう?・・と、ふと思った。

対人恐怖症は、英語では"Social Phobia"というのだが、調べてみたら、現在のDSM-5では「社交不安障害(Social Anxiety Disorder)」あるいは「社交不安症」と訳されているようである。

しかしこの訳語は流通しておらず、「社会不安障害」と訳されていたのではないかと思う。

なるほど、「社会不安」という言葉だけ取り出してみたら、全然別のイメージのものとなってしまうので、「社交」不安と訳した意図は理解できる。

でも、古式ゆかしき「対人」恐怖という言葉に込められた含蓄というのも捨てがたい気もする。

DSM-5には、

 

「他者の注目を浴びる可能性のあるひとつ以上の社交的場面に対する著しい恐怖または不安、例えば見られること(例:食べたり飲んだりすること)、他者の前で何らかの動作をすること(例:談話すること)などが含まれる。」

 

とあるから、「対人恐怖」という場合にあてはまるのは確かだが。

ただ、「社交」という言い方だと、たとえ街頭や電車の中でひとりぼっちで「いる」時でも、周囲の視線を気にしたり、凄い孤独感・疎外感を伴う不安を感じる場合があるというニュアンスが出にくい気もするのだ。対人関係を「回避」しているみたいな印象を与える。

学生相談の世界では、「排尿困難」という言葉もあった。これは、若い男性が、公衆トイレで、他に人がいると、どれだけ尿意があっても実際に排尿できないという症状のことを指し、得てしてそういう人は個室に入って用を足す。しかも室外に人の気配がしたら駄目だったりする。

今日では、この言葉は完全に泌尿器科の用語になってしまっているので、はっきり区別が必要だが、対人恐怖の症状のひとつの身体化した現れ方であるととらえられると思う。

そこには、自分自身の感情や衝動を、ありのままに認め、自然と「放つ」ことができないというメカニズムがあると私は考えるが、ある意味で「強迫神経症」にも通じる性質のものでもあると思う。

いずれにしても、「社交不安障害」という訳語はほとんど流通していないし、「パニック障害」と比べれば、日陰の障害という扱いという気がする。

私見では、「社会不安障害」というだけの場合には、薬物療法に頼らなくても、格好の心理療法の対象であり、カウンセラーとしてキャリアを積む上でも、早い段階で研鑽を詰めるケースかと思う。少なくともいきなりうつ症状の人を相手にするよりはいいのではないか。

私自身、カウンセラーとしての出発の時点では、学生相談を職場としたため、「対人恐怖症」の人との関わりが多かった。

この症状を持つクライエントさんがカウンセラーと良好な関係性を築けることそのものが実はセラピーそれ自体としての効果を持つ側面も大きい。ある意味で、クライエントさんがカウンセラーへの対人恐怖を最低限乗り越えることを繰り返さないと継続的カウンセリングそのものが成立しないからである。

それに加えて、技法的にどのようなものが考えられるかは、流派によって異なるかもしれないが、私なりのスタイルは持っていた。

しかし、それについては具体的には触れないでおきたい。

楽天トラベル

JAL 日本航空 国際線航空券

« 占いや開運グッズにこだわることの長所と短所 | トップページ | 北山修「幻滅論」からの連想 »

心と体」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

心理」カテゴリの記事

若きカウンセラーに向けて」カテゴリの記事

精神医学」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 占いや開運グッズにこだわることの長所と短所 | トップページ | 北山修「幻滅論」からの連想 »

フォト
2023年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
無料ブログはココログ

最近のトラックバック

トロントだより

  • 050601_0957
     The Focusing Instituteの第17回国際大会(2005/5/25-31)の開かれた、カナダ、トロントの北の郊外(といっても100キロはなれてます)、Simcoe湖畔のBarrieという街に隣接するKempenfelt Conference Centreと、帰りに立ち寄ったトロント市内の様子を撮影したものです。

神有月の出雲路2006

  • 20061122150014_1
     11月の勤労感謝の日の連休に、日本フォーカシング協会の「フォーカサーの集い」のために島根県の松江に旅した時の旅行記です。https://focusing.jp/  
    ご存じの方は多いでしょうが、出雲の国には日本全国の神様が11月に全員集合することになってまして、「神無月」と呼ばれるわけですが、島根でだけは、「神有月」ということになります。(後日記:「神無月」は10月でしたよね(^^;A ........旧暦なら11/23前後は10月でせう....ということでお許しを.....)  
    ちょうど紅葉の時期と見事に重なり、車窓も徒歩もひたすら紅葉の山づくしでした。このページの写真は、島根の足立美術館の紅葉の最盛期です。

淡路島縦断の旅

  • 050708_2036
     「フォーカシング国際会議」が、2009年5月12日(火)から5月16日(土)にかけて、5日間、日本で開催されます。
     このフォトアルバムは、その開催候補地の淡路島を、公式に「お忍び視察」した時の旅行記(だったの)です(^^)。
     フォーカシングの関係者の紹介で、会場予定地の淡路島Westinという外資系の超豪華ホテルに格安で泊まる機会が与えられました。しかし根が鉄ちゃんの私は、徳島側から北淡に向かうという、事情をご存知の方なら自家用車なしには絶対やらない過酷なルートをわざわざ選択したのであります。
     大地震でできた野島断層(天然記念物になっています)の震災記念公園(係りの人に敢えてお尋ねしたら、ここは写真撮影自由です)にも謹んで訪問させていただきました。
     震災記念公園からタクシーでわずか10分のところにある「淡路夢舞台」に、県立国際会議場と一体になった施設として、とても日本とは思えない、超ゴージャスな淡路島Westinはあります。

水戸漫遊記

  • 050723_1544
     友人と会うために水戸市を訪問しましたが、例によって鉄ちゃんの私は「スーパーひたち」と「フレッシュひたち」に乗れることそのものを楽しみにしてしまいました(^^;)。
     仕事中の友人と落ち合うまでに時間があったので、水戸市民の憩いの場所、周囲3キロの千破湖(せんばこ)を半周し、黄門様の銅像を仰ぎ見て見て偕楽園、常盤神社に向かい、最後の徳川将軍となる慶喜に至る水戸徳川家の歴史、そして水戸天狗党の反乱に至る歴史を展示した博物館も拝見しました。
     最後は、水戸駅前の「助さん、格さん付」の黄門様です。
     実は御印籠も買ってしまいました。

北海道への旅2005

  • 051012_1214
     日本フォーカシング協会の年に一度の「集い」のために小樽に向かい、戻ってくる過程で、他の参加者が想像だに及ばないルートで旅した時の写真のみです。かなり私の鉄ちゃん根性むき出しです。  表紙写真は、私が気に入った、弘前での夕暮れの岩木山にしました。