心の問題をあれこれ「考える」必要はない。
さて、以下の、私のやっている #フォーカシング 「導入部」についての紹介に基づき、 #マインドフルネス との類似性と私が考えることを少し解説してみましょう。
●マインドフルネス認知行動療法とフォーカシングの導入部の類似性
#ジェンドリン はフォーカシングと #瞑想 は、心の中に降りていく「深度」が異なり、瞑想ほど「降りていく」ものではない、と、来日時のワークショップで述べていました。
ところが、フォーカシングにおける導入部としての"clearing a space(空間づくり)"に限定して言えば、ある意味で瞑想と似たところがある気がします。
生じてくる心の中の気がかりを、ひとつひとつ、脇に積み上げてしまうのですね。
そしてそうした気がかりをすべて積み出した後の、「広大な空間」を感じられれば、ひとまずよしとし、それで満足するならば、フォーカシングの段取りをそれ以上先に進める必要はない、必要なことはそれだけでも自然と生じてくることが多いとすら、著書「フォーカシング」の中で書いています。
ただ、ジェンドリンは、それを、気がかりな「事柄」という水準で書いています。
私はそれを数多くのフォーカシング・トレーニング経験から、「身体の感じ」レヴェルでまずはやってみるほうがいいと判断するようになりました。これが「第1章」の前に「第0章」の訓練を設定した理由です。
ただし、ここで言う「身体の感じ」とは、腰や肩の痛み、頭痛のような、否応なしに訴えてくるような「身体症状」にとどまるものではありません。
人は、実は、身体症状のようなはっきりした感じ以前に、実は、非常に漠然とした曖昧な身体感覚というものを感受していて、それに基づいて行動しているとみなせます。ジェンドリンの #体験過程理論 でいえば「暗黙の機能」といいます。
例えば、たとえ腹痛を感じていなくても、実は、お腹の中の漠然とした感じというものは、注意を向けてみれば、感じられるのです。
いきなりお腹の中の感じだけに触れようとしても、それを識別できないかもしれませんが、例えば、背中の方の感じと「識別」しようとすれば
、気付けるようになります。
こうしたことを身体のあちこちについてやってみると、身体のあちこちに、質感の異なった感じを「実は感じながら」日常を生きて「いた」ことに気づけるようになります。
とりあえずは、そういった、身体各所の感じを、落ち着いて息をしながら、「観察」できるようになればいい。
これじゃほとんど「瞑想」ではないかと言われる人は、確かに出て来る気がします。私は瞑想については何も学んだことはないのですが。
ところが、この事ができるようになり、習慣化するだけで、日々の悩みから、かなり自由になれることも多いのですね。
******
まるで、およそ人の悩みというものは、すべて「雑念」であり、「煩悩」であるかのように見なしているのか?と言われる人すら出てくるでしょう。
私は別に、思想として、そのようにみなしているわけではありません。
しかし、私たちは、環境との相互作用の中で、「頭で」判断する以前の問題として、まずは「身体で」受け止め、そこから生じてきた漠然とした感じに基づき、さながら「条件反射」のようにして行動している側面が実は大きいなのではないかと思います。
その「条件反射」の悪循環(認知行動療法でいう #スキーマ )を断ち切って、それと距離を起き、一度自由になってみる。
それだけで、新鮮な気持ちで、リラックスして、状況に対応できていくことも多いと思います。
これは、狭い意味での「こころ」の内容(content)主義自体からの脱却とも言えます。
#神田橋條治 先生は、「人間は、"コトバ"文化に『汚染』されている」といいます。
多くの心理療法の世界は、いよいよ難しい専門用語を駆使して、ひとの心の問題をいじくりまわすだけになる危険もある、という視点もあっていいと思います。
こうした「漠然とした身体の感じ」の状態に敏感になり、注意を向けるのに慣れて来ると、激しい感情が生じてくるまでに、自分が何を考え、どう判断する「クセ」があるのかを、冷静に観察する「もう一人の自分」が育成できます。
その結果、感情に任せた軽率な行動を取り、「また、いつものようなひどいことになってしまう」という悪循環を意識でき、ちょっと「自分」をとりもどして、柔軟な、もっといい反応をしていく心の余裕を取り戻せるのが習慣化するわけです。
恐らくこうした状態を確保した上で、言葉を選んで相手に伝えれば、それは相手も冷静な方向に自然と導くことがすくなくないかと思います。
「身体が」落ち着いている人間は、それがオーラのように働いて、相手の「身体」にもクールダウンが伝播することが少なくないということです。
・・・以上が、私の実践していることと、#マインドフルネス #認知行動療法 の接点と私が考えることがらですが、いかがでしょうか。
これは、完全に私の「こころの問題とその解決」観のエッセンスそのもので、#カウンセリング の現場のみならず、私自身の「生き方」そのものです。
念の為にいいますが、自分の悩みや行き詰まりを話したい人には、ますはそれをじっくりうかがうのでして、それをしないまま上記の技法を勧めることはありません。
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