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2021年9月16日 (木)

セバスチャン・ハフナー:「ヒトラーとは何か」レビューのプロローグ

ご存じの方も多いでしょうが、ドイツでは、ごく最近まで「わが闘争」は禁書扱いされていた。

私はこのことに常々違和を感じていた。

むしろ、ドイツとその大衆自身の判断力を愚鈍なものとして貶めていないか。ヒトラーの本質とは何かを徹底的に研究・検証してこそ、ドイツが同じ過ちを繰り返さないために必要ではないかと思えて仕方がなかった。

むしろ、学校でも、早い段階から、「わが闘争」そのもののテキストを抜粋しながら、そのどこが問題かをディスカッションさせるくらいの教育こそ不可欠なのではないか。

ドイツでは、こうしたわけで、ヒトラー自身の伝記的研究は、学問的にも立ち遅れていたらしい。

そうした中、戦後、早い段階で、ヒトラー自身の世界観と行動原理について徹底的に独自の分析をし、一貫した見解を示し、歴史学界でも賛否の議論の的となりながらも、ベストセラーとなったのが、ヒトラーと世代を共にした西ドイツジャーナリズムの重鎮、セバスチャン・ハフナーによる本書、「ヒトラーとは何か」である。

著者は、ヒトラー自身の「わが闘争」を始めとする、演説記録や命令書、部下の証言などを含む一次資料を縦横無尽に活用し、ヒトラーの「内面」に迫る。そしてそこから、なぜドイツ国民が、上から下までこぞってヒトラーに熱狂し、進んで服従したのかについての謎を解き明かそうとする。

それはまるでヒトラー自身になりかわって、心情を告白する域のものである。

カウンセラーをしていると、まずはクライエントさん自身の、パーソナルな「内的照合枠(inner frame of reference)」に感情移入し、理解すること(これは単にクライエントさんにの味方をし、「迎合」することではない)が不可欠であることは、どの学派であるかに関係なく重要視されている。

分析や解釈、認知の再構成化は、あくまでもその後の段取りなのである。

ハフナーは、「自由からの逃走」のエーリヒ・フロムのような心理学者ではないし、本書の中でも、あからさまな心理学的解釈はほとんどしていない。

しかし、心理臨床家である私の目からすれば、本書は、瞠目に値する「ヒトラーの心理学」である。

これからその概要を紹介し、本書への疑問点を含み、レビューしたい。

************

続きはこの後のエントリーで書きます。

お楽しみに。

 

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トロントだより

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