DaiGo氏に関すること、幾つか追補。
どうもまだDaiGo氏関係のことについて、私の中にすっきりしないことがあるようで、「わが闘争」レビューの方に労力が向かわず、妙に眠気に誘われていた理由が少しわかった気がしたので書きます。
まずは、私がこの問題に関しての最初のエントリーで、次のような書き方をしたことについて:
- 一回目の謝罪では、「生活保護者でも頑張っている人がいる」などという余計なことを言い、「がんばって生きない権利」を否定している面があることなどを含めて更に批判されていたようです。
・・・これは言い過ぎた気もします。
「頑張って『生きよう』ともがいている」方々への配慮が欠けていたと思います。その点は謝罪いたします。
(ただ、一度書いてしまったものをこっそり消去してしまうのは卑怯だと思いますので、そのまま残します)
正確に言えば、「頑張って生きようとしても、生きられない人達」というべきだったでしょう。
例えばうつ病の方々、職を得ようとしてもみつからない方々、住む家もない方々など。
もとより、過剰に努力することなく、「マイ・ペースで」生きる権利は誰にでもあると思いますが、それは一定の経済的基盤(家族等の支え・年金等も含む)があったればこそですから。
実は、昨晩の私の夢の中で、私が大学を出ても働き口を見つけないまま何もしないでいるのに、父はそのことについて何も言わないまま玄関を出ていく・・・というのをみてしまいました。
私は大学学部生としては、勉強に熱心で、成績はオールAに近く、多読で、院試に向けての勉強もしていましたが、卒業後、大学院浪人になって、そんなにバイトとかしないままなのに、趣味も充実させて、親のスネをかじって、そこそこしか勉強しなかった時期があります。ある意味では無気力とも戦っていたのですが。
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さて、それとは別の次元のことを書きます。
私は、DaiGo氏の過去の動画は全然観ていませんし、観ることに労力を費やす気もありません。
さすがにそういうことまでするのは時間の無駄だと思いますし、すでに書きましたように、彼の過去は問わない、現在、そして彼の今後についてだけを判断の基準にしたいと思っていますから。
また、「彼は心理的テクニックを駆使して謝罪をしている演技をしているだけだ」という言い方はしたくないと思っています。
私は、彼のYouTubeチャンネルはすでに登録していますから、私のデスクトップパソコンとスマホには、彼がライブ配信をはじめた時点で、自動的にポップアップが出ます。
余裕がある時には、余力の一部を割いて、後追いでも、彼の実況を実際に観て、コメントしたり、ライブチャットに直接意見を入れようと思っています。
すでに前の別のエントリーで書きましたように、まずはそうやって、彼の動画の視聴者に、ささやかながら相対化の機会を提供することが、彼のためにもなりますし、今後彼の悪影響を抑止するための、非常に「実際的・具体的な」試みと思うからです。
そういう形で、資格を持つ、ネット上で活動する心の専門家として、多少なりとも貢献したいと思います。
臨床心理だけではなく、基礎心理から実験心理、社会心理まで学んだプロですから、彼の言うことに変なところがあれば、即興で指摘することはできると思いますし。
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すでに前のエントリーで書きましたように、私は彼の「2回めの」謝罪に対して、
「この件をきっかけとしして、彼の過去の差別的発言を知らない人も、このチャンネルを登録して、リアルタイムで彼の発言を監視する人も大勢出てくるだろう。彼がそのストレスにどう耐えて、どういう配信をしていくかだろうね」
というコメントを残しました。
彼をTwitter上とか、別のネット媒体で間接的に批判するより、こうしたところから手を付けることが大事だと思うことにはかわりがありません。
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更に、次のようなツイートもTwitter上で読んでしまいました:
DaiGo氏の過去動画は全て閲覧注意だが、今回のレイシズムに限らず、セクシズムも多くて視聴に耐え難い。今回はたまたま外部から差別扇動だと指摘され、気付きや病識を得る機会を持ち得た。これ以上の反社会的言動を抑えるように、内外から関わっていかなければならない。相当深刻な状態。
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) August 15, 2021
異常なほどヘイトクライムに寛容すぎ。危機意識が全く足りない。彼個人が反省、更生していく事は重要としても、あれほど強固で危険な差別思想は、長期間の専門的訓練がなければ解消しない。訓練を受けずに社会的な発言権を与えれば、再度の凶行も起きかねない。 https://t.co/LJ2Jp4eROm
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) August 16, 2021
私は、乙武氏の主張には全く賛同しませんが、藤田氏のツイートにも大いに疑問を持ちます。
藤田氏は、DaiGo氏の過去の動画を「仕方なく」相当観た上でそういう結論に達したようですが。
藤田氏は社会福祉士とのことですから、専門家の一員ではありますが、DaiGo氏を「拘束」して、心理的「治療」を施すべきと述べているも同然です。
そういう発想を援助的専門家がするものだと認識される危険を犯すことは、はなはだ問題だと思います。
DaiGo氏は「犯罪者」ではないのです。倫理的問題だけで人を「更生」できるかのような発言は、厳に慎むべきと思います。
いわゆる「専門的訓練」を受けていない、非専門家がネット上で活動する権利はあると思いますし。
少なくとも、安全な場所からこういうことを批評的に言うくらいなら、いかなる「法的根拠」もあるわけないですが、ご自身が、彼に実際に働きかけてくださいとも言いたくなります。
藤田氏が、すでに今回の事件に関して、不安にかられた生活保護者やホームレスの方々の相談に乗っていることの意義は認めますが、
福祉専門職が専門的見地から言えることは、サイコパス気質、うつ病の疑い、アルコール依存症の可能性、統合失調症の症状かもしれない、という蓋然性の指摘です。それを確定診断するのは精神科医なので、まずは辛そうな人を認知したら、精神医療など適切なケアへ早期に結びつけたいのです。 https://t.co/vpScLyqp8X
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) August 15, 2021
・・・こりゃひどいと言うか、何と素人くさいことを言い出しておられることやら。
そして、「DaiGo氏の発言に悪影響を受ける人達もいる」という理由づけで、彼をネット上から排除すべきというようなとらえ方全般は、一般の人の持つ健全な批判と吟味の能力を最初から疑問視するような、パターナリズムのように思えます。
この件については、「わが闘争」のレビューを終えた後で(結局更に明日にずれ込みそうですが)、藤田氏自身に、Twitter上で、論戦を挑もうと思っています。
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