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2021年8月 2日 (月)

原田隆之 著:「サイコパスの真実」

サイコパスと言うと、血も涙もない凶悪犯罪者というイメージがまず先立ち、興味本位の取り上げられ方が少なくなく、ネット上でも安易なレッテル貼りとしてよく使われる傾向があると思います。

少なからぬサイコパスは、その衝動性から、社会的にも成功しにくい。しかし、本書の著者、原田隆之氏は、社会的な適応水準の高い成功者の中にもサイコパスの人間が少なくないことを説く。

彼らは人当たりがよく、魅力的であり、人の感情を読む力を持っている。しかし、深く交流する相手に対しては暴君である。部下や提携先の人間も、利用価値がないとなると情け容赦なく切り捨てる。

スティーブン・ジョブスやドナルド・トランプもその類の人間ではないかと推測する。

トランプについては、専門家の集団が実際に研究を進めたとのこと。

アメリカには、昇進の人事選考の際に、サイコパスをスクリーニングできるテストがあるとのことである。

そして、サイコパスが向いている職業もあるという。腕のいい外科医、芸術家、研究者、スポーツマン、軍の指揮官など。

だいたい5%の人間がサイコパスだという。サイコパスの研究者自身が、検査を自分自身にやったところ、サイコパスと出て愕然とした事例も載せられている。

暴力と殺戮が荒れ狂っていた時代のほうが長い過去の歴史上、今ならサイコパスとみられるであろう人物が、英雄であったり指導者であることがあたりまえのことが多く、民衆も血なま臭いことに平然としていた。

著者は、人類が遺伝子を残し続けるためには、多様性を包含せねばならず、サイコパスの遺伝子もそのために淘汰されなかったのではないかと推測する。これなど、中井久夫先生が、「分裂病と人類」の中で、なぜ統合失調症の遺伝子が淘汰されなかったかについての仮説を立てる際の発想法に似ている。

サイコパスは、力あると認めたものには従順で、刑務所でも容易に模範囚となり、社会復帰してしまう。専門家も、そのためのキャリアを積んでいないと、容易に騙される。

彼らは、通常の更生プログラムでは、一層人身掌握術を学ぶだけで、逆効果ですらあるという研究があるというのは興味深い。

著者は、サイコパスの人物が、生育歴的に恵まれなかったことの結果とすることに批判的である。脳の扁桃体が有意に小さいという研究がなされているという。

この点については、私にとっては何ら新規な所見ではなかったが、一方、暴力や虐待が、CTやMRIで確認可能なくらいに脳の一部を萎縮させるという研究もあった気がする。

彼らを改善するには、認知行動療法のみが有効であるというが、その具体は、新書という枠もあるだろうが、さほど具体的には書かれていない。

ただ、彼らにとって魅力的な人物であること、改善したほうが、生きる上で「得」だとわからせることがポイントらしい。

・・・・以上、2時間ぐらいで読み、読み返すこともなく、記憶を頼りにざっと振り返ったので、レビューとしては失格だろうが、猟奇的な犯罪者の事例を延々と読まされるのに比べれば、公平な立場からの啓蒙書とは言えるのではないかと思う。

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トロントだより

  • 050601_0957
     The Focusing Instituteの第17回国際大会(2005/5/25-31)の開かれた、カナダ、トロントの北の郊外(といっても100キロはなれてます)、Simcoe湖畔のBarrieという街に隣接するKempenfelt Conference Centreと、帰りに立ち寄ったトロント市内の様子を撮影したものです。

神有月の出雲路2006

  • 20061122150014_1
     11月の勤労感謝の日の連休に、日本フォーカシング協会の「フォーカサーの集い」のために島根県の松江に旅した時の旅行記です。https://focusing.jp/  
    ご存じの方は多いでしょうが、出雲の国には日本全国の神様が11月に全員集合することになってまして、「神無月」と呼ばれるわけですが、島根でだけは、「神有月」ということになります。(後日記:「神無月」は10月でしたよね(^^;A ........旧暦なら11/23前後は10月でせう....ということでお許しを.....)  
    ちょうど紅葉の時期と見事に重なり、車窓も徒歩もひたすら紅葉の山づくしでした。このページの写真は、島根の足立美術館の紅葉の最盛期です。

淡路島縦断の旅

  • 050708_2036
     「フォーカシング国際会議」が、2009年5月12日(火)から5月16日(土)にかけて、5日間、日本で開催されます。
     このフォトアルバムは、その開催候補地の淡路島を、公式に「お忍び視察」した時の旅行記(だったの)です(^^)。
     フォーカシングの関係者の紹介で、会場予定地の淡路島Westinという外資系の超豪華ホテルに格安で泊まる機会が与えられました。しかし根が鉄ちゃんの私は、徳島側から北淡に向かうという、事情をご存知の方なら自家用車なしには絶対やらない過酷なルートをわざわざ選択したのであります。
     大地震でできた野島断層(天然記念物になっています)の震災記念公園(係りの人に敢えてお尋ねしたら、ここは写真撮影自由です)にも謹んで訪問させていただきました。
     震災記念公園からタクシーでわずか10分のところにある「淡路夢舞台」に、県立国際会議場と一体になった施設として、とても日本とは思えない、超ゴージャスな淡路島Westinはあります。

水戸漫遊記

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     友人と会うために水戸市を訪問しましたが、例によって鉄ちゃんの私は「スーパーひたち」と「フレッシュひたち」に乗れることそのものを楽しみにしてしまいました(^^;)。
     仕事中の友人と落ち合うまでに時間があったので、水戸市民の憩いの場所、周囲3キロの千破湖(せんばこ)を半周し、黄門様の銅像を仰ぎ見て見て偕楽園、常盤神社に向かい、最後の徳川将軍となる慶喜に至る水戸徳川家の歴史、そして水戸天狗党の反乱に至る歴史を展示した博物館も拝見しました。
     最後は、水戸駅前の「助さん、格さん付」の黄門様です。
     実は御印籠も買ってしまいました。

北海道への旅2005

  • 051012_1214
     日本フォーカシング協会の年に一度の「集い」のために小樽に向かい、戻ってくる過程で、他の参加者が想像だに及ばないルートで旅した時の写真のみです。かなり私の鉄ちゃん根性むき出しです。  表紙写真は、私が気に入った、弘前での夕暮れの岩木山にしました。