【メンタリストDaiGo】:「再度の」謝罪は一応評価します。しかしそれでもこういう現象に対しての一部の方の反応については問題提起し続けます。
一回目の謝罪では、「生活保護者でも頑張っている人がいる」などという余計なことを言い、「がんばって生きない権利」を否定している面があることなどを含めて更に批判されていたようです(この1回目の謝罪の動画自体は私は観ていないので二次情報です)。
(追記:上記に関しては、少し問題もあったと思いましたので、後のエントリーで補足します)
この「1回目の」謝罪に関して、詳しい逐語的情報を伝えたサイトがありました:
●メンタリストDaiGo氏のYouTubeにおけるヘイト発言を受けた緊急声明
一部引用します
- なお、批判を受けて、DaiGo氏は8月13日夜、今回の発言を「謝罪」する動画を配信しました。長年ホームレス支援をしているNPO抱樸の奥田知志氏と連絡をとり、近々、現地に赴いて支援者や当事者から話を聞いて学びたいとしつつも、しばしば笑顔を見せながら、「ホームレスの人とか生活保護を受けている人は働きたくても働けない人がいて、今は働けないけど、これから頑張って働くために、一生懸命、社会復帰を目指して生活保護受けながら頑張っている人、支援する人がいる。僕が猫を保護しているのとまったく同じ感覚で、助けたいと思っている人、そこから抜け出したいと思っている人に対して、さすがにあの言い方はちょっとよくなかった。差別的であるし、ちょっとこれは反省だなということで、今日はそれを謝罪させていただきます。大変申し訳ございませんでした」と謝罪の言葉を述べたのです。
しかし、ここで示された考え方は、他者を評価する基準を「頑張っている」(と自分から見える)かどうかに変えただけであり、他者の生きる権利について自分が判定できると考える傲岸さは変わりません。しかも、貧困や生活困難を社会全体で支え、生存権を保障するために、権利としての生活保護制度があることについて、根本的な理解を欠いていることに変わりがありません。少なくとも現時点においては、DaiGo氏が、自らの発言の問題点を真に自覚していると評価することはできず、その反省と謝罪は単なるポーズの域を出ていないと言わざるを得ません。
・・・おいおい、ネコと同格にしていたのか。
1時間前にアップされた「再度の」謝罪は、限界はありますが改善されたと思います(「自分が」生活保護を受ける立場になったら・・・という言及がないのは気になりますが)。
DaiGoに「人は誰でも困窮する可能性がある」と言っても通じないかも。彼は「自分がそうなったら死んでやる」と思ってそう。彼に傾倒する人達にも同じ傾向があるような。麻生が「さっさと死ねるように」と安楽死論を言った時擁護した人たちにも「いつか自分が苦しまず死ぬため」の人達がいた。
— mipoko (@mipoko611) August 14, 2021
この最新の動画を知らないまま議論するのは良くないので、まずは貼り付けます。
まずは、新たな謝罪を受けても、問題にしていいと思う点について。
(彼には過去にも差別発言が山のようにあるとのことですが、それを実際にYoutube上で観ていないので言及は避けます)
彼の発言に、「当事者や家族や支援団体の方の苦境と努力」という意味の文言がありますが、例えば、現行の生活保護制度は、申請しさえすれば受理されるという前提で法律は制定されていると思います。
極論すれば、生活保護のお金をギャンブルで使う「権利」もあると考えられます。
このこと自体を、憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」という条項との兼ね合いで、どう捉えるかは同然議論があるところでしょう。しかし現行の法規定では役所側は拒否できないという事実は尊重すべきだと思います。
ホームレスをどう減らしていくか、生活保護の不正受給をどう減らすか、など差別思想が背景になければ、有意義な制度的議論もできるし、構造問題を指摘することもできる。しかし、背景に差別があっては議論も歪むし、結論も有効なものになり得ない。過去の自民党による生活保護バッシングの教訓。
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) August 14, 2021
ベーシックインカムや、現物給付などという意見は今後の問題として別に議論すべきです(私は色々疑問はありますが)。
私は、やまゆり園事件等における「生産性」議論の問題ともつながりますが、生活保護受給者や障害者、老齢者などは、何も「生産」しなくても、生活は保証されるべきという立場です。
さらに言えば、私は、資本主義社会においては、人は、「生産する義務」ではなく、「消費能力の一定水準の額の保証」の方が、本人のみならず、「経済効果」の上でも優先すべきことと確信しています。
これについては、中井久夫先生が、精神障害者の社会「復帰」において、「生産活動より消費活動をまずは優先すべき」と述べられていることに私の発想の原点はあります。
しかし、(コロナで加速しましたが、)日本の現在の社会・経済情勢において、「消費の冷え込み」が悪循環を生み出していることは、すでに論じ尽くされていると思います。
*******
次に、ここから述べることはTwitter上で余計なフレームに対応せなばならなくなるので、自分のブログでしか書きません:
Twitter上には、彼のTwitterとYoutubeのアカウント停止を求める声もうずまいていましたが、それは違うと思います。
二次情報のみが残ることになればむしろ不健全でしょう。
「表現の自由」などというお題目を唱える気もありませんが、オリジナルがどのようなものであったかを観て、主体的に判断できるような、あるいは色んな人の意見に耳を貸しながら討論して己れを貫けるような子供や若い人たちを育てる気概がないまま、「禁書目録」を作るのはやはり何かが違う気がします。
私自身は、ドイツが「わが闘争」をごく最近まで禁書にしていたらしいことも常々違和感があります。
このへんについては一応以下のサイトが情報源:
●ヒトラー『わが闘争』ドイツで70年ぶり再発売、注文殺到で増刷も
少なくとも、「わが闘争」について、中学生ぐらいの時点から原典を引用しながら、どこが問題かを教育する環境は、整備されるべきかと思います。
ちなみに、「わが闘争」は、上巻は若い頃に読んだことあります。
この次のエントリーは、「わが闘争」上巻の詳しい紹介とレビューにしますので、1日ぐらいはお待ち下さい。
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