対人援助職の人は、「使命感」から仕事に励んでいるのはよくない・・・という大逆説
これも「カウンセラーこういちろうの雑記帳」で少し触れたことなのですが、今の私なりの言葉で拡大敷衍しましょう。
公立の保育士だけどね。
— Hiromi1961 比例は山本太郎 (@Hiromi19611) July 14, 2019
公務員だよ。
いくら遅くまで働いても、残業代は出ません。
これじゃあ、子どもを持ってから、誰かの助けがない人は、保育士を物理的に続けられない。
保育士不足の対策が甘すぎる。
賃金だけではない、労働問題ですよ。
その負担分は、子どもを見てるババにくる。
保育料を無料にするのもいいけど、保育士不足でどうするのかね?
— Hiromi1961 比例は山本太郎 (@Hiromi19611) July 14, 2019
保育士のやりがいとか使命感頼りか?
使命感や、やりがい頼りは絶対ダメです。医療も医者の使命感に甘えすぎです。使命感って特別じゃないんです。困ってる患者さん見たらほっておけない、ごく自然な人としての情ですよ。医者ならなんとかできる、だからほっておけないんです。誰かが代わりにやってくれるなら、疲れてたら家に帰りますよ。 https://t.co/kHkOZEZh2R
— 一地球人 (@einf4fahrer) July 14, 2019
・・・これは心理カウンセラーも同じことですね。
最低賃金を1,200円に!とか、1,500円に!とか言っている今、
— ぴっち (@zpitschi) July 15, 2019
臨床心理士(公認心理師)が普通に1,000円とかで働らいている。修士卒の資格。真面目にやってる人は研修費も半端ない。しかも、おそらく時間内で出来ずに持ち帰りでしている仕事も少なくないのでは? せめて時給3,000円は欲しくないですか?
「使命感」で薄給に耐えて仕事してませんか?
親や配偶者の給料をあてにしないと生活できていないのではないですか?
自分の仕事に「専門職」としてもっと「プライド」を持ってもいいのではないですか?
中井久夫先生が、確か「軽症境界例について」という論考で述べています:
「なぜ精神科医をしているのかと患者に尋ねられたら、『ただ日々の糧を得るため』と答えられるべきである」
究極の大逆説です。
「使命感」から仕事をすると、クライエントさんを必要以上に「退行」させ、自分で自分なりに問題に取り組もうという意志をむしろ阻害してしまいます。
そうやって「期待」させておいて、救世主のように称えられ、依存させていると思っていたら、何かのはずみで「期待」に応えれなくて、今度は憎しみを生む。「陽性転移」から「陰性転移」への逆転なんてそんなものじゃないですか?
いわゆる「境界例人格障害」は、もちろん成育歴(親の隠れた虐待なども含みます)や、生まれ持った生理的・神経学的要因もあるでしょうが、歴代精神科医や歴代カウンセラーによって、いっそう「こじらせられた」状態かもしれないと思います。
*****
やりがいに「見合う」だけの報酬が得られるのなら、真のプライドが持てるはずです。
クライエントさんにしても、特にうつ病圏の人は、「使命感で」仕事をしようという呪縛にとらわれている気がします。
人に認められようするために仕事しようとするのは「不健全」です。
「自分のための」人生です。
仕事以外のパーソナルな世界のために「投資」できるくらいの余裕が持ててこその人生です。
・・・それができないのなら、それこそ選挙で、対人援助職の雇用の安定と賃金の増加に少しでも貢献してくれそうな候補に投票して、主権者としての権利を行使するとか、国会議員に請願するとかしたほうがいいかと思います。
これ、批判を覚悟で書いておきますね。
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