私の引きこもり論
これはTwitterでのある人との連続的やりとりから生まれた記述ですが、このブログで私の答えだけ披露しておきます:
*****
そもそも「引きこもり」=「おたく」ではない。「おたく」は現代社会における一つの『見事な』適応様式なのだ。
「引きこもり」同じ。すでに40-50代になった彼らを80代の老いた両親が支え、先が見えないこと、時として暴力に至ることのみが問題なのだ。
私には引きこもりの人に扉を開けてもらう方法論があり実践しています。そしてSkypeによる相談もうけつけていますから当事者が部屋を一歩も出ずに全国からの相談を受けつけています。彼らは親からネットで使うクレジットカードとかは確保しているしネット銀行もありますから部屋を一歩も出なくていい。
そもそも彼らは食事はするしネットを通して買い物もする。トイレにも行く。親に自室の前に食事やネット通販で買ったものをそっと置いてもらい、親が去ったら扉を開けます。
親は子をどの様にしたいか?やっぱり「自立」して欲しい(自分たちが老いる前には)ということでしょう。
ひきこもりの人はどんな本を読むか?本とか読んでないでしょう。漫画も読まない。今の時代でしたらスマホを漫然と眺めているというところでしょうか。パソコンも持っていないことが多いと思います。
「引きこもりの家庭は、引きこもっていることを隠す方向で『引きこもって』いる」。だから家族が誰かに相談して、相談された側がそれを真摯にうけとめ、継続的関係をもてば引きこもりは徐々に解消される。更に言えば、家族が子供の引きこもりをあまり気にせず、日常を楽しむこと。
最初は部屋の前に行って、毎日、「おはよう(こんちは)」と声をかけるだけのところから始めること。(親もカウンセラーも)。
引きこもりの人は、実は世間の価値観を必要以上に受け入れている。だから自分なりのオタク趣味とかをむしろ開拓して、「世間に反する」ことに自由になれねばならない。
「反社会的」というのは言い過ぎかもしれない。自分なりの「趣味」の世界を「開拓」して、そこにお金を節度ある形で「投資」できるように誘導すること。
「趣味」すらないことが少なくない。それこそ漫然とTwetterを見ていたりする。
大抵の場合、本人はひきこもっているのではなく、「必要以上に」社会復帰したがっている。当面はオタク趣味とかで虚構の対象に熱中していいことに気づいていない。
まあ、アニメショップにひとりで通えたり、ましてやコミケに行けるようになれば、とりあえず「大成功」。それから同好の士をネットでみつけれられれば一層いい。
「引きこもり支援グループ」とかは当面敷居が高すぎます。
アニソン歌手とかAKBの追っかけとかでもいいでしょうね。握手会とかにチャレンジできれば「出来過ぎ」です。
人に「甘える」能力がなければ「自立」とは言えません。そんなの逆説的な「引きこもり」人間です。人にうまく「頼れる」ひとが「成熟した」対人関係の持ち主です。
いきなり就労のことを考え過ぎるんですよ。すこしは親に「甘えて」いい。もとより、すくなくとも親が60歳(あるいは定年)になるのを目途にすべき。
そこそこ人に依存し「甘える」ことができ、バイトでいいから、少しは稼げるくらいのことです。引きこもりの人は自分から親に「ねだった」経験が子供時代に不足しています。
これでは年収200万には届かないかもしれませんが、今の若い世代は派遣とかが多くてボーナスもなく、似たようなものでしょう。
外に出て運動するもちろんいい。でも「運動不足」のことが 多いから、敷居は高いでしょう。でもそもそもスポーツ選手はスポーツ「おたく」のようなもので、対人関係能力は未熟なことが多いと思います。
繰り返しますが、引きこもりは「病気」ではないです。「治療」が必要なのではなく、そこそこ現実と「折り合い」をつければいいのです。
もっとも、統合失調症とかの引き込もりは医療につなげて服薬してもらうのが早道です。統合失調症かどうかは簡単に診断できます。でもその後、趣味とかを作らせねばならないのは同じです。
ちなみに私は結婚して子供もいますが、Ayuのライブとかにも平気で行きます。アニメ映画を観るために何回も劇場に通いますね。子供連れの子供に合わせた作品を見る時と、自分一人だけで出向くことがあります。歴然とした オタクかつリア充です。こういう人間でないと引きこもりを導くのは難しい。
引きこもる「能力」がある人は実は潜在的知能は高い。でも、バイトもできすに大学に通う人は、就職活動などに支障が出る。学業に「しがみつく」のもよくない。・・・あ、大事なことを忘れていた。引きこもりが逆に知的障害や発達障害から生じることも多いです。
あ、そうそう、書き忘れてましたが、おこづかいは定額性がいいです。
更に言えば、趣味を持つ→その趣味にもっとお金をつぎ込みたくなる→働く、ということです。
鉄道おたくなんてわかりやすいですね。彼らは少なくともバイトはしていることが多い。しかも「遠出」できる。カメラも高級なのが欲しくなる→もっと働く、ということになります。
繰り返しますが、ひきこもりは病気ではありません。端的にいえば「経験不足」なだけです。「中身」を形成するための「器」はもっているけど、それを強引に外の世界にひっぱろうとしたらそれを「迫害的」とらえ、「今は」壊れしまう人たちです。
人は象徴的「子宮」空間で守られていてはじめて「成長」できます。
特に日本社会では、一見普通の社会人なんて、会社という「子宮空間」にいつまでもぬくぬくと、決めらたことをしているだけで、失業したら容易につぶれます。むしろそれをきっかけに引き込もる人も少なくないでしょうね。
日本の多くの社会人は、別の会社に移ったり、独立開業できるでけのスキルと自立した対人関係能力は持ちません。カウンセラーの業界でも、私のように自営しているのはごく一部で、大学の先生やスクールカウンセラーをしている壁を乗り越えられないのですが。
もちろん、会社員だって様々なパワハラやセクハラや低賃金に耐えています。でもそれなら今の会社を辞めて別の待遇のいい会社に再就職さえすればいいことです。それができないんですよね。独立自営すればパワハラとかもなく、努力と対人関係次第でいくらでも稼げるのに。
むしろ、引きこもりの人は、サラリーマンとかなる「苦行」をすっ飛ばして、スキルを磨いてインターネット上の仕事や株のディーラーやYoutuberになってお金を稼ぐ方が早道かもしれない。人との「絆」を結ぶ能力なんで後からでもいくらでもついてきますから。
繰り返しますが、日本の会社員の多くに、他の会社で働く「勇気」はありますか? 会社の中に「引きこもって」いるのです。
私見では、一度青年期に引きこもりを体験した人間の方が一度社会との関係を樹立できたら凄い才能を発揮することがあります。有名な芸術家やビル・ゲイツやスピルバーグ(彼らは発達障害の疑いがあります)など典型です。
彼らは天才だから別と思われるかもしれませんが、実はより「凡人」でも、一度引きこもったことがある人間の方がその後の現実世界での「強靭さ」があることが多い。「孤独に強い」ですから。
繰り返しますが、日本の多くの社会人は、自分の会社を自分から辞めて、他の会社に移る勇気がないからです。日本でも終身雇用制が崩れていますから、もはやどんどん条件のいい会社に転職できる方が社会への「適応者」です。そしてそういうことは、引きこもりに近い趣味を持った人間の方がうまくやる「強さ」をもっていますね。
私は自営で午後から深夜までが営業時間だし、ネット相談中心だから空き時間にこういうことをしていて当然なのですが、あなたは社会人でしょうし、金曜の晩からという前提はありますが、深夜に延々と執着的にいろいろ書き続けているあなたは「ネット依存症」の疑いがあります。まあ、これは病気ではありませんが。
******
ちなみに、ここで述べた、「引きこもりを一度オタクにしてしまう」という方法論は、私という「抱え(holding)」の構造下で進行させるから効果的なやり方だろうということは付記します。
私の引きこもり論 https://t.co/QBwLND0AT6 ・・・全引きこもりオタク化補完計画。中井久夫先生の「世に棲む患者」の「生産活動より消費活動をまずは勧めるべき」に基づいて書いたものです。ただしカウンセラーが「抱え(holding)」をした中でそれをすすめる、ということです。
— chitose (@kasega1960) June 15, 2019
« 幾原邦彦監督作品 | トップページ | クララ・シューマン -愛の協奏曲- »
「アニメ・コミック」カテゴリの記事
- 「ウマ娘 の精神分析」新刊第2巻(コミックマーケット101で発売開始)の表紙装丁(2022.11.24)
- 広島同人誌即売会で、TAMさんにまどマギの「コネクト」リクエストした。(2022.11.07)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー公式グッズ(2022.11.04)
- hololive知らないのにローソンコラボにつられて買い物をした。(2022.10.28)
- 今頃になって 柄谷行人 の「意味という病」を唐突にはじめて読み始めた。(2022.10.15)
「スポーツ」カテゴリの記事
- 【ウマ娘】:ワンダーアキュートいきなり初育成(2022.11.25)
- アントニオ猪木の死にあたって、敢えて諸富祥彦先生に捧ぐ(2022.10.06)
- 名曲・名作「緑山高校」(2022.01.17)
- NHK土曜ドラマ「風の向こうへ駆け抜けろ」後編 短評(2021.12.26)
- NHK土曜ドラマ「風の向こうへ駆け抜けろ」前編 短評(2021.12.18)
「パソコン・インターネット」カテゴリの記事
- 【ウマ娘】:ワンダーアキュートいきなり初育成(2022.11.25)
- 「ウマ娘 の精神分析」新刊第2巻(コミックマーケット101で発売開始)の表紙装丁(2022.11.24)
- 阿世賀浩一郎 著 「若き臨床家のために」Amazonで発売開始(2022.11.24)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー開室(Linkedinより転載)(2022.11.20)
- 母が天寿を全うしつつあることについて(2022.11.15)
「学問・資格」カテゴリの記事
- 【ウマ娘】:ワンダーアキュートいきなり初育成(2022.11.25)
- 「ウマ娘 の精神分析」新刊第2巻(コミックマーケット101で発売開始)の表紙装丁(2022.11.24)
- 阿世賀浩一郎 著 「若き臨床家のために」Amazonで発売開始(2022.11.24)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー開室(Linkedinより転載)(2022.11.20)
- 母が天寿を全うしつつあることについて(2022.11.15)
「心と体」カテゴリの記事
- 【ウマ娘】:ワンダーアキュートいきなり初育成(2022.11.25)
- 「ウマ娘 の精神分析」新刊第2巻(コミックマーケット101で発売開始)の表紙装丁(2022.11.24)
- 阿世賀浩一郎 著 「若き臨床家のために」Amazonで発売開始(2022.11.24)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー開室(Linkedinより転載)(2022.11.20)
- 母が天寿を全うしつつあることについて(2022.11.15)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 【ウマ娘】:ワンダーアキュートいきなり初育成(2022.11.25)
- 「ウマ娘 の精神分析」新刊第2巻(コミックマーケット101で発売開始)の表紙装丁(2022.11.24)
- 広島同人誌即売会で、TAMさんにまどマギの「コネクト」リクエストした。(2022.11.07)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー公式グッズ(2022.11.04)
- 「ウマ娘の精神分析」新刊第2巻の表紙のラフあがりました。(2022.11.03)
「旅行・地域」カテゴリの記事
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー開室(Linkedinより転載)(2022.11.20)
- 母が天寿を全うしつつあることについて(2022.11.15)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー、天神開業のお知らせ葉書(2022.11.10)
- 広島同人誌即売会で、TAMさんにまどマギの「コネクト」リクエストした。(2022.11.07)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー公式グッズ(2022.11.04)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 【ウマ娘】:ワンダーアキュートいきなり初育成(2022.11.25)
- 「ウマ娘 の精神分析」新刊第2巻(コミックマーケット101で発売開始)の表紙装丁(2022.11.24)
- 阿世賀浩一郎 著 「若き臨床家のために」Amazonで発売開始(2022.11.24)
- 母が天寿を全うしつつあることについて(2022.11.15)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー、天神開業のお知らせ葉書(2022.11.10)
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 「ウマ娘 の精神分析」新刊第2巻(コミックマーケット101で発売開始)の表紙装丁(2022.11.24)
- 広島同人誌即売会で、TAMさんにまどマギの「コネクト」リクエストした。(2022.11.07)
- 今頃になって 柄谷行人 の「意味という病」を唐突にはじめて読み始めた。(2022.10.15)
- 永野希さん出演のミュージカルで直筆サインいただきました。(2022.10.03)
- 「ウマ娘の精神分析(1)」メロンブックスに続きとらのあなでも取り扱い始まりました。(2022.09.27)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「ウマ娘 の精神分析」新刊第2巻(コミックマーケット101で発売開始)の表紙装丁(2022.11.24)
- 阿世賀浩一郎 著 「若き臨床家のために」Amazonで発売開始(2022.11.24)
- 母が天寿を全うしつつあることについて(2022.11.15)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー公式グッズ(2022.11.04)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー 公式サイト Openいたしました。(2022.10.20)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 広島同人誌即売会で、TAMさんにまどマギの「コネクト」リクエストした。(2022.11.07)
- 水道橋博士への議員休職という対応に対する田中信一郎氏の批判は間違っている。(2022.11.04)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー 公式サイト Openいたしました。(2022.10.20)
- 合同会社ケー・エフ・シー 公式Webサイト、10月20日(木)Open予定!!!(2022.10.17)
- 「若き臨床家のために」目次(2022.10.09)
「育児」カテゴリの記事
- 治療者とクライエントの間の「秘密」について(2022.08.04)
- 北山修「幻滅論」からの連想(2022.01.23)
- もうひとりの自分と関わる -イマジナリー・フレンド-(2021.12.05)
- 新著刊行についての今後の進捗(1)(2021.11.24)
- 羽馬千恵:「わたし、虐待サバイバー」目次(2021.10.07)
「芸能・アイドル」カテゴリの記事
- 「ウマ娘の精神分析」新刊第2巻の表紙のラフあがりました。(2022.11.03)
- hololive知らないのにローソンコラボにつられて買い物をした。(2022.10.28)
- 合同会社ケー・エフ・シー 公式Webサイト、10月20日(木)Open予定!!!(2022.10.17)
- 「若き臨床家のために」目次(2022.10.09)
- アントニオ猪木の死にあたって、敢えて諸富祥彦先生に捧ぐ(2022.10.06)
「趣味」カテゴリの記事
- 【ウマ娘】:ワンダーアキュートいきなり初育成(2022.11.25)
- 「ウマ娘 の精神分析」新刊第2巻(コミックマーケット101で発売開始)の表紙装丁(2022.11.24)
- 広島同人誌即売会で、TAMさんにまどマギの「コネクト」リクエストした。(2022.11.07)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー公式グッズ(2022.11.04)
- 「ウマ娘の精神分析」新刊第2巻の表紙のラフあがりました。(2022.11.03)
「心理」カテゴリの記事
- 【ウマ娘】:ワンダーアキュートいきなり初育成(2022.11.25)
- 「ウマ娘 の精神分析」新刊第2巻(コミックマーケット101で発売開始)の表紙装丁(2022.11.24)
- 阿世賀浩一郎 著 「若き臨床家のために」Amazonで発売開始(2022.11.24)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー開室(Linkedinより転載)(2022.11.20)
- 母が天寿を全うしつつあることについて(2022.11.15)
「若きカウンセラーに向けて」カテゴリの記事
- 阿世賀浩一郎 著 「若き臨床家のために」Amazonで発売開始(2022.11.24)
- 母が天寿を全うしつつあることについて(2022.11.15)
- カウンセリングにおいでになるだけでたいへん。(2022.10.21)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー 公式サイト Openいたしました。(2022.10.20)
- 阿世賀浩一郎新刊「若き臨床家のために」表紙装丁完成。(2022.10.19)
「健康」カテゴリの記事
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー開室(Linkedinより転載)(2022.11.20)
- 母が天寿を全うしつつあることについて(2022.11.15)
- 水道橋博士への議員休職という対応に対する田中信一郎氏の批判は間違っている。(2022.11.04)
- カウンセリングにおいでになるだけでたいへん。(2022.10.21)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー 公式サイト Openいたしました。(2022.10.20)
コメント