「令和」を迎えて。
私は1960年(昭和35年)9月に生まれた。
天皇陛下(浩宮様)は2月という早生まれなので、学年はひとつ私の方が下だが、上皇様(当時の皇太子殿下)ご成婚の日にあやかり結婚した親は、私の本名に「浩」の字を入れるばかりか、小学館の学習雑誌を1年繰り上げて買ってくるのだった。
「ひろのみやさまもしょうがくせい」というタイトルで、宮様のイラストが大きく書かれていたのが記憶にある。
・・・というわけで「なるちゃん」のご即位には格別な感慨もあるのだが。
それはそうと、私は「令和」という新元号が好きではない。
「令」の字が肉筆では結構書きづらいというのもあるが、英訳して"beautiful harmony"というのはちょっと苦しいのではないか?
首相は、万葉集について「幅広い階層の人が読んだ歌が収められており、豊かな文化と伝統を象徴している国書である」と話しています。
なるほど、
万葉集の大伴旅人の序文には、
天平二年の正月の十三日に、師老の宅に萃まりて、宴会を申ぶ。
時に、初春の令月にして、気淑く風和ぐ。梅は鏡前の粉を披く、蘭は珮後の香を薫す。しかのみにあらず、曙の嶺に雲移り、松は羅を掛けて蓋を傾く、夕の岫に霧結び、鳥はうすものに封ぢらえて林に迷ふ。庭には舞ふ新蝶あり、空には帰る故雁あり。
「春の訪れを告げ、
見事に咲き誇る梅の花のように
一人ひとりが明日への希望とともに、
それぞれの花を大きく咲かせることができる、
そうした日本でありたいとの願いを込め、決定した。」
まるで「世界にひとつだけの花」みたいだが、よくここまで解釈できたというべきだろうか。
私が現代語的に素朴に理解しようとすると、誰かが「命令」して、国民は場の空気を読んでみんなで一緒について行く・・・みたいな感じで、一つ間違うと、この先の日本が再び再軍備の道を歩み出してもいい・・・みたいな。
しかも結局、選考の際に安倍総理が「令和」で押し切ったというのが真相らしいと知るとなおさらのことである。
私はこの人が「美しい」という言葉を使うと虫唾が走るのだが。
厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりが、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。新しい令和の時代が、皆様一人ひとりにとって、実り多き、素晴らしい時代となることを、心から祈念しております。 pic.twitter.com/GMAHGGIKh3
— 安倍晋三 (@AbeShinzo) 2019年5月1日
安倍晋三は「令和」の原典とした『万葉集』について「天皇や貴族だけでなく防人や農民まで幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められ、我が国の豊かな国民文化を象徴する国書」などと述べたが、当時の権力者が農民を強制的に兵士にしたのが防人であり、その悲しみ苦しみが詠まれていることも知らないのか?
— きっこ (@kikko_no_blog) 2019年5月1日
「令和」
— 但馬問屋 (@wanpakutenshi) 2019年5月2日
“巧言令色鮮し仁”
言葉巧みで、人から好かれようと愛想を振りまく者には、誠実な人間が少なく、人として最も大事な徳である仁の心が欠けているものだということ。 https://t.co/kfvEPhPLqq
しかし、その安倍総理が気に入ってゴリ押しした「令和」の語源が、万葉集のその一句の原典の、「仲春令月、時和し気清らかなり」(後漢・張衡「帰田賦)の「張衡が安帝に召されたが、安帝が愚かで政治腐敗がひどく、嫌気がさして田舎に帰りたい」とは・・・ https://t.co/1dQxnusUpT
— 箱入り老人 (@midnighthistory) 2019年5月2日
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