発達障害についての現時点での私のスタンス。(第2版)
これまでの私は、発達障害について、当ブログでは、
この7年前のエントリーでしか触れていない。
ここで書いたことは、それから2年とたたないうちに現実になってしまった。
いわゆる「コミュニケーション強者」というのは、自分のために周囲に取り入るのがうまいだけのエゴイストが多い。ほんとうにコミュニケーションが深い人というのは、実は相手の行動の背後にある感情に感情移入し、一見問題行動も「相手の視点に立ったらどのようにやむを得ないのか」について熟考する。
私は発達障害については、大学学生相談時代にひとり学習障害と思われる事例を扱っただけ。当時は学生相談の日常で高機能発達障害が問題視される黎明期だった。セミナーで出席者の中で私一人しか経験がある人がいないくらいだった。3年後その先生は大学学生相談の世界で引っ張りだこになっていた。
それでも、私なりにその後勉強してきて見えてきたことは、発達障碍者の「内側から」とらえると、他の人があたりまえにできることを自分ができないことに、いかに苦悩しているかということだ。そのため健常者とのコミュニケーションそのものから「自閉」するという、二重の二次症状が生じるのだと思っている。
そして、気分障害と診断されている人の中には、実は発達障害が潜在している場合があると思います。二次症状としての鬱なのですね。
*****
あとひとつ、増井武士先生が、「治療関係における「間」の活用―患者の体験に視座を据えた治療論 」の中で取り上げているエピソードが印象に残っている。
増井先生は、「自閉症とは外の世界に閉じている」と思い込んでいる研修生に、「それなら後ろからそっと忍び込んで抱きしめようとしてごらん?」と勧めたそうである。
研修生は、抱きしめても殻のように閉じて、何の反応もしないだろうと予想していた。
しかし、その子はその気配を察するや否や、脱兎のごとく逃げ出したのである。
これについて、増井先生は
「『自閉症』とは、外の世界に開かれ過ぎた『自開症』なのだ」
・・・と述べている。
これは、ちょっと自閉症を一般化しずぎているきらいもある。細かく類型化していけば、「選択的感覚過敏への防衛」というあたりがふさわしいのだとは思う。
しかし、文章力あふれる高機能自閉症者の文章に接すると、彼ら/彼女らの内面世界には、どれだけ豊饒な『感覚世界』が広がっているかに気づかされる。それに侵入され、強制されることに対しての防衛としての「自閉」という側面は確かにありそうなのだ。
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