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昨日から突如家の中を子ネズミ複数が走り回るようになった。一匹自然死したが、きょうだいが自室の何とパソコンのそばを走りまわった。つかまえようにも捕まえきれない。ちょろちょろと神出鬼没。
7年間旧宅に住んでいるが、こんなことなかった。だいたい子ネズミの実物を観たことがなかった。私が子供のころ、飼っていた猫が成獣をくわえてきたことはあったが。
最初ゴキブリかと思いましたが「もよもよ」していました。取り壊しとかしている近くの古い家が近所にあるわけでもない。
それにしても、台所はともかく、密室のはずの自室にでてきたのにはびっくり。あえて言えば、電源コード増設の際にできた穴ぐらいのものですが、これは天井ですから。
・・・押入れから?縁は完全にゴムで遮断しており、これもあり得ない。台所由来のものがドアを開けた時に忍び込んだのか?
つぶらな瞳で、カワイイのですが。
今もパソコンの後ろのケーブルの山に潜んでいるご様子orz
ペンタッチ式ですが指でも慣れれば何とでもなります。CPUはPentium i5、記憶媒体はSDDだから異様にサクサク動く。Windows8(8はこういうタブレット型でこそ便利!!)、何よりUSB入出力が2つ同時にできてしまい(ただし一つはミニプラグ)、Offficeフル装備で、これひとつでパワーポイント出力もできます。本体音声もなんとステレオスピーカーのようです。
まだ使用数ヶ月もたたないアンドロイド(カバー付き)は売りに出すことにしました。
今朝観た夢なのですが(^^;)
ayuは、ライヴの地方公演で全国を廻っている。
だが、どこかで大事な落とし物をしてしまう。
私はそれを拾って、なぜかそれがayuのものだと気が付いていて、ayuの滞在しているホテルに向かい、感謝され、一夜を共にする。
だが、その翌朝、些細なことで思いもよらずayuの機嫌をそこね、「帰って!」と突き放される。
・・・・これ以上の詳しい展開は忘れてしまったが、起き心地最高の夢であった。
ひとつには、このブログの人気ベスト10常連の「浜崎あゆみのアルバム、総レビュー」にayuのライヴの映像を貼りつけまくる際に、ayuのカリスマ性に改めて感銘を受けたことがあるのだと思う。
だが、それだけではなく、私の現在の物事の進め方に、私のアニマ(ユングのいう内なる女性)が肯定してくれているサインだろうと思う。
夢フォーカシングの、「その人になってみると?」の方略も試してみたら、ayuがこちらが理解不能な脈絡で機嫌わるくしたのについては、以前関わった女性の気まぐれさに私が翻弄されたことが思い出されたし、実は、その態度の豹変は、夢の中のayuの内心としては、私にむしろ「甘えたかった」のに自分でそういう自分を自尊心から拒絶した・・・というあたりの心境だったと理解できた。
以前関わった女性の時には、私はそれに腹をたてることしかできなかったが、どうも、私の女性心理への理解はまだまだだったようである。
・・・ということで、私が今回のリンクの張りなおしで一番今更のように感銘を受けた映像を再度貼り付けておきます。
・・・・夢の中のayuもショートでした。
Togetterで「ある心理カウンセラーのブログ人気記事のご紹介 その2」を作ってSEO対策しようかと思っていた。
ところがTogetterにログインしようとしたら,
「 エラーが発生しました。このページに対するリクエスト・トークンがありません。アプリケーションがTwitterアカウントを使用するかどうかを確認するために必要な特殊キーです」
だと。
まとめは後でにするかと思っていたが、それをしないうちに私をフォローして下さる皆様を誘導してしまったようで、当ブログ始まって以来最高のアクセス数を記録していた。
(↓クリックすると大画面で私のブログの管理画面の表示が大きく表示されます)
(過去の一位は河合隼雄先生が亡くなった時の手短な哀悼の意の表明の時で、800アクセス。)
今回のアクセス数のうち100ぐらいはTwitterに飛ばすための私自身のアクセスであることを値引きしてとらえないとならないが、ユニークアクセス394というのは普段のサイトでは全く見られない数値である。
・・・・・今はAKBグループにうつつを抜かして長い文を書けなくなっている(しかし精神的健康度のいいバランスは私の人生で最良と感じている)。
手前みそだが、やはり10年若い頃の記事は勢いが違う。自分で読んでて「感動」してしまう。
頭が良すぎて窮迫感がハンパじゃない。
丁寧に自分でも読み返し、今の自分にこの水準を再定着させるつもりである。
出演:欅坂46+ひらがなけやき:長濱ねる
・・・映像に美学があり、学芸会の域を超えていると思います。
↓テーマソング。
この曲のタイアップ曲がまたすごい。
●【死体と昼ごは~ん】渡辺梨加 まとめ番外編~徳誰「自撮りコーナー集」~【欅坂46】
↓3枚めシングルもいい曲なので追加。
●この記事を参照。
自分でも気づいていたが、ブラウザのキャッシュの定期的なクリアが一番効果的である。CClranerを使うとよい。
無償版と有償版の違いは、ブラウザを閉じる度に自動的にキャッシュをクリアしてくれかどうかだけである。
レジストリ整理もしてくれるので、一度お試しになってみたらいかがだろうか。
●天神でフォーカシングを学ぶ会
場所:福岡市 天神ビル11階(西鉄福岡[天神]駅 パルコの道路を隔てて向かい側)
日程:
第1回:アン・ワイザー法フォーカシングの基礎を学ぶ(2号会議室)
6月18日(日)13;00-17:30
講師:阿世賀浩一郎(The International Fucusing Institute認定トレーナー)
料金:5000円(日本フォーカシング協会会員割引 4500円)
定員:20名
※この後、テーマを変えて毎月一回開催の予定です。
(8月はアジア国際フォーカシング会議[at神戸]のため、お休み)
お申し込み:kasega@nifty.comまでメールでお願します。
お電話でのお問い合わせにはお答えしますが、正式の申し込みの際にはメールで以下の 情報をお願いします:
本名(フリガナ)
年齢
ご住所
ご職業(無論、学生さん、無職、失業中の方でもOKです)
ご連絡の取れる電話番号
フォーカシング体験歴
日本フォーカシング協会会員の方は会員番号
The International Focusing Instituteでの資格がある方は明記ください。
TEL&FAX:0942-48-8797
携帯:080-9532-1148
Email:kasega@nifty.com
さて、いよいよこの連載、前回に引き続き、このエントリーで最終回です。
前回で紹介した、「非定型うつ病」の現在の診断基準と、その具体的治療法については、実に様々なサイトですでに詳しく言及されておりますので、そうしたサイトをご覧になる読者のご判断にお任せいたします。
*****
【ここから第2版で追加】
でも、「非定型うつ病の人は、認知行動療法によってアサーティブさ(自己主張能力)を身につけることが必要」
という意見を読むと、
「日本人は、うつ病に限らないこととして、むしろ心理療法全般を受けることによって自己主張能力を身につけたかげで、周囲との摩擦に耐え、孤高の道を歩む苦しみを感じているんじゃないか」
とも思うし、その一方、
「今の若い世代は、生きる糧を得るために働くという経験に乏しく、自己主張的になっているので(!)、昔の人のように、典型的(=DSM-IVで、過去の遺物から突如復活(^^;)した、「メランコリー型」)うつ病になれなくなっている」
という全く正反対の記事を読むと、
「ああ、オヤジの『今の若い者は』のバリエーションに過ぎなくなってる。要するに、古典的うつ病の人のほうが従順で、扱いやすかったという医者本位の愚痴なんじゃない?」
と感じてため息をつくのは、私だけではないと思います。
繰り返します。DSM-IVでの診断基準に適う意味での「非定型うつ病」と同じ病態の人は、昔も今もたくさんいただけです....と。
【ここまで第2版で追加】
*****
さて、いよいよ、番組後半で取り上げられた「認知行動療法」に関してですが。
認知行動療法についても、この番組に関する、しないにかかわらず、様々なサイトを見ていくと、バランスのいい記事もたくさん見受けらます(お医者さんによるもの、実際認知行動療法を受けた人の体験談etc.)ので、多くはそちらにゆずるとします。
【ここから第5版】
私としての推薦は、
●【認知行動療法とは】 (インチキWriterの棲みか by isshy☆さん)
うつの人のではないのですが、「プロのライターさん」がマジになって書いたら、専門家の入門の文でもなかなか読めないような、これだけ小気味いい紹介の文章になるというあたりに注目!です(^^)
【ここから第4版】
ただし、英語ですが、次の記事の存在は是非お知らせしておきます:
●Petition Against Over-Regulation of Psychotherapy(心理療法への過剰規制に反対する嘆願書) (Moving Toyshop)
この記事は、裕さんのサイトの、
というエントリーで紹介されていたものです。
これについての私の意見はこちらの記事で紹介。
【ここまで第4/5版】
そして、次の点だけ、開業臨床心理士としての私のスタンスを明言させていただきます。
私は、基本的に、ある特定の心理療法が他の心理療法と比較して優れているかどうかという論の建て方に懐疑的です。
いいカウンセラーにめぐり合えば、それが精神分析でも行動療法でも箱庭療法でもフォーカシング指向心理療法でも(!)、さらに特定の心理療法流派を標榜しないカウンセラー(例えば村瀬嘉代子先生や増井武士先生.....来年度から九州産業大学です....)でも、うつ病に関するカウンセリングに関して、的確な見立てと、個々のクライエントさんにふさわしいカウンセリングの進め方、医療の必要性まで、クライエントさんの考えも尊重して、一緒に納得のいく解決を模索していく力があります。
このNHK特集でたっぷりと矢面に立たされたお医者様たちへの公平のために申し上げれば、カウンセラーや臨床心理士の場合にも、専門能力として不十分な場合が「同じくらいにたくさん」見られる点では同じかもしれません。私もまた、多くのクライエントさんに、「未熟なカウンセラー」として記憶に残っていることも少なくないであろうことは十分認識しています。
しかし、それでも敢えて断言します。
標榜する心理療法の流派やアプローチの違いと、「現場」カウンセラーとしての力量とは無関係だと。
むしろ、カウンセラーは、経験を積めば積むほど、
「他の流派のカウンセラーでも、現場臨床的に力量がある人は、根本的なところでは自分と共通のことを自明の前提としてやっている」
ことに気づき、そうした技法についても実際に謙虚に学んでみる姿勢を保てるカウンセラーこそ、実は、その人の標榜する心理療法に限定しても、奥の深い現場臨床での実力を持っているものです。
●参考記事 : 「「オモテ」技法と「ウラ」技法 または収穫逓減の法則 (久留米フォーカシング・カウンセリングルーム)
誠に僭越ながら、私が目指しているのも、まさにそのような、他の心理療法や技法に偏見のないカウンセラーに他なりません。
私がそういうカウンセラーにどのくらいなっていて、現場臨床でも有能かを評価するのは、おいでいただくひとりひとりのクライエントさんに他ならないと思います。
それどころか、クライエントさんに限らず、どんな人間同士でも、他人が自分のことを「誤解する権利(!)」が保障されていなければ、それは「支配」を原理とするファシズムであり、むしろお互いに更に理解を深めるきっかけを失ってしまうものだと確信しています。
(もちろん、「理解を深める」なんてしてほしくない、というクライエントさんの訴えがあれば、それも大事にしたいと思っています。自発的に訴えて下さらなくても、「私はこのクライエントさんにすでに踏み込み過ぎ、それを苦痛とのみ感じさせてはいまいか?」という自問自答はいつもして、チェックしているつもりではいます)
クライエントさんからのどんな苦情や不信の念もぶつけてもらえることを、「クライエントさんが心の中でいつまでも抱え込んでいるだけにならずに済んで良かった」と、少なくとも心の中の「一方の自分」は受け止め、仮に、「他方で」、クライエントさんの誤解を解きたい気持ちがどうしてもカウンセラーの中にある場合にも、そのことでクライエントさんとの溝を深めるだけにはならないだけのことができること。
更に、それが単にクライエントさんの「言いなりになる」ことではなく、クライエントさんにほんとうに役立つ援助へと前進するきっかけになるということが、絵に描いた理想ではなく、試行錯誤を重ねつつも、クライエントさんと共に実現に近づけるカウンセラーでありたいと思いながら、ひとりひとりのクライエントさんと毎回お会いしているつもりです。
(おわり)
さて、前回に続く連載を、一気に第5回である。
(そう簡単なことでは、番組後半の認知行動療法の話題に到達しないのが、この連載の最大の持ち味である^^;)
今回のNHKスペシャル、「最近はうつ病の診断もいろいろな種類に分化してきた」とまで解説しながら、ついに新型うつ病としてこの数年喧伝されてきた「非定型うつ病」については、この診断名そのものは一度だけ画面表示されナレーションに流れただけで、わずか2秒で済まされ、スタジオの参加者も言及しなかった(この部分、第2版で改訂)。
まさにこの点もこの番組のひとつの快挙であると私は考えている。
(ひとつの逆説として述べているのであり、決して皮肉ではない)
双極性II型と単極型うつ病の診断と投薬の違いについて番組でここまで詳しく紹介したことの方が、はるかに優先事項だったともいえる。
「双極性II型」については、日本においても、後述の「非定型うつ病」よりは、はるかに投薬のしかた(標準処方)が確立していることも大きいだろう。
つまり、誤診の影響がはなはだしいことが医師の共通理解にすでになっているべき、緊急性の高さがある。
しかし、私はそれよりも以下の点を指摘したい。
*****
実は、「非定型うつ病」についての診断基準は、DSMーIIIの段階から、1994年にDSM-IVに改訂される段階で大改訂され、非常に具体的に定義されるようになりました。
非定型うつ病について解説されたサイトの少なからぬ部分では、
「1994年に診断基準が確立された」
と書かれています。
私はこれはたいへん誤解を招きやすいところがあります。
なぜなら、DSM-III(アメリカ精神医学会診断基準 第3版)の段階(1994年以前)でも、「非定型うつ病」という診断名は存在したからです。
手元の「DSM-III日本語版」の方から引用します:
****
●非定型うつ病 Atypicai Depression
これは抑うつ症状を持つ患者で、「大感情障害」または「その他の特異的感情障害」、あるいは「適応障害」と診断することができないものに対する残遺カテゴリーである。例としては以下のものがあげられる:
(以下略)
****
DSMという診断基準は、うつ病に限らず、すべてのジャンルで、いろいろと具体的に定義できる診断名と診断基準を掲げていった後で、最後に「これらの診断基準に十分あてはまらない場合」のための「残遺カテゴリー」を設置する、という構造を持っている。
つまり、DSM-IIIまでに関しては、「非定型うつ病」とは、まさに"atypical"=「典型的ではない」うつ状態という意味でしかなかったのである。
ところが、1994年のDSMの改訂において突如、「非定型うつ病」は、それ自体厳密で具体的な診断基準をもつ、独立した積極的な診断カテゴリーへと、急変してしまったのです。
これは、「以前は曖昧だった診断基準が具体的に定義された」なんていうものではないというべきです。、
DSM-IIIの段階とDSM-IVになってからでは、同じ「非定型うつ病」という病名でも、かなりの程度、別のタイプのうつ状態を指す名称になった、という方が適切といいたくなるくらいなのですね。
(実はこのようなことになったのにも、わけがあります。DSM-IVで細かく定義された意味での病態については、すでにかなり以前から、専門家の間では「非定型うつ病」の名のもとに議論されていたという「歴史的経緯」があるのです)
そもそもこのことを、いくら一般の人向けの「わかりやすい」解説だとはいえ、まるで、時代の変化によって「新種の」うつ病が新たに「発見」され、蔓延するようになったみたいに解説する(これではインフルエンザウィルスの新種発見みたいである)のは、それこそ医師以外の非専門家をナメています(^^;)。 そこまでいわなくても、新たな誤解の火種をまく危険がある、とは申し上げていいでしょう。
実は、DSM-IVにおける「非定型うつ病」にあたる病態は、「昔から存在していた」というのが適切であろう。
そして、はっきり言いたい。
少なくとも、具体的な診断基準を細やかに決めるなら、もはや「非定型」なんていう名称ではなく、新しい具体的な診断名ぐらいはつけるべきである!!
「境界性人格障害」という名称が、本来「精神病と神経症の中間状態」を指すものだったのに、過剰に濫用されるようになった歴史をまた繰り返したいのか!!
*****
更に思うこと。
今回のNHKスペシャルは、「そうか、最近は、うつ病もいろいろ診断や治療法が多様化しているんだな」という印象を視聴者に残すだけに留まるだけでよしとしていない企画だと思います。
控えめに言っても、番組企画当初の意図を、取材を進める中で越えて行ってしまい、その結果、ありがちなこの種の番組のパターンを超えたところまで行ってしまった番組と理解するほうがいいと思います。
実際、予想もしない内容に「いつの間にか進化した」ゆえの構成上の歪みと、番組スタッフと、スタジオ出演のうつ病学会会長、野村医師の見解が少し違い、両者のせめぎあい(あるいは番組スタッフの間のせめぎあい)まで、注意深くこの番組を観ていると、透けて見えるあたりこそ、この番組を観る際の面白さであり、そして残念なまでの不完全さなのです。
【第4版で追加】このような、番組が思わずさらした不整合の具体例は、この記事で書きました!!
*****
私がこの記事で、DSM-IV以降の「非定型うつ病」の診断基準や治療法を具体的に引用することをなかなか始めないのも、実は意図的なんです。この番組の真にすばらしい面を皆様と再度確認したいからです。
つまり、
1.うつ病の診断と治療においては、医者の側に的確な診断能力が現状では意外なまでに不足している。
2.その原因としては、初回の投薬時からあまりにたくさんの薬を同時処方したり、患者さんが不調を訴えると、どんどに薬を増加させるために、もはや患者さんの症状のどこまでがうつ症状自体の表れで、どの薬が副作用を起こしているのかすら、名医ですらすぐには判断不能な状況が蔓延している。
そうした状況で、「非定型うつ病」を今さら紹介しても、その非定型うつ病の診断そのものが的確になされている可能性もまた低いのだから、
何を今さら!!
.......ということになる。
これこそ、この番組の重要な隠れメッセージなのである!!
*****
以下は、番外のコラムです。(第3版で表現を大改訂しました)
↑ あの.....開業臨床心理士(あ、しまった。「私設心理臨床の」臨床心理士といわないと....)だったらある意味でこういう発言もあたっていますけど、これから開業しようという精神神経科や心療内科のお医者さんには考えていただきたくない発想です(^^;)
なるほど、院外処方箋で投薬は済ませられるというのは理解できます。でも、いろんな身体の病気の結果として欝状態になることは決して珍しくないので、CTやMRI、超音波診断の装置、血圧計、尿検査設備・心電図、脳波、血液検査の設備、睡眠時無呼吸症候群(SAS)との鑑別診断のための小型睡眠時呼吸脈拍血圧測定器という設備投資は、そのお医者さんに経済的余力があれば可能です。
(患者の皆様、そういう検査のための追加料金を払うぶんには、誤診で薬代がむやみに増える場合に比べれば、結局のところ経済的かもしれない)
もっとも、良心的な開業クリニックに、こうした設備がないところも現実には少なくありません。そのための設備やスタッフを雇うだけでも経営が成り立たない開業クリニックも少なくないと思います。
開業クリニックに関しては、
「古い貸しビルの限られたフロアで開業し、広告とかはあまり出していないのに、なぜが口コミで患者さんが多い病院の中にこそ、名医がいる」
という逆説がちまたでよく言われるくらいなんです。
そして、そうした設備のない開業クリニックでも、問診の段階でこうした「身体病の可能性」を前もって確認してくれていて、少しでも疑問があれば(何回も診察するうちに疑問が出てくれば)、積極的に別の総合病院に精密検査を依頼して検査をする手続きを取ってくれます。
実はそのクリニックのお医者さん自身は何も儲からず、むしろ手続きの手間を増やしているだけなので、その点に関してはむしろ良心的なお医者さんだといえます。
さて、NHKスペシャルを引き合いに出して、フォーカシングという特定の心理技法のトレーナー認定国際資格も持っている、コアな心理療法家(?)かつ地域の草の根開業カウンセラーをめざす臨床心理士が、欝状態における医師による薬物用法のほんとうの問題点に数回シリーズでこまかく解説の上で、更に突っ込んで細かく口出しまでしてしまうという、恐らく全国の臨床心理士の読者の皆様にスリルとサスペンスを提供している(かもしれない^^;)連載記事、前回に続いて、第4回め、佳境に入ってまいりました(^^)
(繰り返しますが、今受けている欝の治療に十分成果を感じている皆様を不安に陥れることは私の本意ではありません。どうかお許しください)
すでに、私が、薬物療法か心理療法かという観点を超えて、徹底的に各論是々非々のスタンスを取っており、薬物療法支持か不支持かなどという二者択一的見地自体を狭量なものとみなしていることは、おおよそ伝わっているのではないかと思っています(^^)。
臨床心理士である私が直接クライエントさんに投薬そのものをしてしまわない限り、何ら法律違反にはならない(投薬行為そのものをしたら、臨床心理士資格を剥奪されます!!)、こうした小さなブログでの試みぐらいで、もし万一臨床心理士国家資格化の障害になってもいいのかなどとお考えの方があれば、正直言って、誇大妄想であるか、考え過ぎの過剰防衛であると確信しています。
「餅は餅屋に」以前の問題として「餅屋が意外と不確かな餅屋である」ことが実は多い現実について、精神科医師以外の援助職が、どれだけお医者様と患者さんの役に立てるかという、差し迫った現実的な問題解決の提案をしているだけのつもりです。
むしろ、現在日本の現状を踏まえての、非常に実際的で具体的な、医師とカウンセラーの新たな連携の可能性を、泥臭く草の根的に探求しているつもりです。
ここでお書きした内容について具体的に「ここが不正確だ」というご指摘は、むしろ大歓迎しています(^~)
*****
さて、すでにこれまで書いてきましたとおり、このNHKスペシャルの中では
1.あまりに多種類の投薬を受けていることが多いために、何が効いているのか、何が副作用なのか、ほんとうに有能な医師でもわからなくなっていることに由来する、うつ病治療の長期化・遷延化・むしろ悪化。
2.特に単極性うつ病と双極性II型の鑑別診断と、実は「まったく別」と言っていい適切な投薬(気分安定剤を処方するかどうか)ができる医師の不足により、欝の波にはまるたびに症状の長期化と症状の悪化が生じる悪循環にはまっていることが疑われるケースが多いこと
.......この2つの理由で、医師の指導の下でそれまでの薬物処方をいったんすべてやめてしまった上で、投薬の見直しをしていく必要がある、ということが番組の中で描かれていきます。
【第5版で追加】
(ここでは「双極性II型」を中心に取り上げていますが、「急性交代型」や「気分変調症」、「双極スペクトラム障害」などが疑われる場合にも、確定診断が難しく、投薬の方針を大きく変える必要がある場合があります。)
【ここまで、第5版で追加】
こうした投薬の全面的見直しの結果、それまで10年間欝に苦しんでいた患者さんが、数ヶ月で明らかに軽快の方向に向かう実例すら、この番組では取り上げられています。
*****
さて、ここからが、この番組の欠点、描き方不足と私に感じられた点の指摘、その1に入ります。
実は、この番組で取り上げられた、そうした「薬の抜本見直しのため、薬の服用を一度すべてやめてしまう」という医師の判断が描かれている事例3つのうち2つまでが、薬をやめて経過を見る段階で、むしろ断薬の結果、患者さんに、むしろ感情が激しく乱れる時期や、生活に支障が出る身体面に及ぶ様々な症状が出る時期を迎え、その段階で入院治療に切り替えるという対策を早急に医師がとった(あるいは入院態勢があることが十分インフォームド・コンセントされていた)事例であるということです。
そうでないひとつの例(スタジオ出演された、中年の女性の方の例)は、恐らく、患者さんがすでにずっと自宅静養を続けていて、更に、ご家族が介護に全力を尽くされていることによって、緊急対応が容易であったため、入院の時期を必要としなかったのではないかと推測できます。
更にいえば、恐らく、こうした断薬→くすりの見直しを始める前に、断薬のしばらく後に、そうやって入院を含む緊急対応が必要なくらいに心身が混乱する可能性がある時期があることについて、医師の方から患者さんとご家族にくわしくインフォームド・コンセントがなされ、患者さんも同意していることもほぼ間違いないのですが、そういうシーンは残念ながら描かれていません(私の元クライエントさんから、実際にインフォームド・コンセントが事前に丁寧になされていたので、こうした処方への不安が軽減されたという経験をうかがいました)
【第5版で追加】
この件に関連して、この番組に取材出演された患者さんのうちのおひとり(男性の、ベッドで横になっておられた方です)から直接メールをいただきました。お医者様から、実際に、丁寧にインフォームドコンセントを頂き、入院についても説明を受けていたとのことでした。なお、この方の診断は「双極スペクトラム障害でないか」とお医者様から言われているとのことでした。
詳細な情報をいただけましたことに、ネットへの掲載も、ご本人の方から事前に許諾を申し出て下さった上で以上のことを伝えてくださいました。心から感謝申し上げます(09/06/15)。
【ここまで、第5版で追加】
******
つまり、この番組がその点にまで踏み込まないままだと、テレビを見た患者さんの中に、医師の了解も得ず、自分だけの判断でそれまでのくすりをすべてやめてしまった上で、はじめて新たな医療にかかろうと判断してしまう方がたくさん出てくる可能性もあるという気がします、
断薬後の心身の変調は、場合によっては断薬後しばらくはむしろ快調そのものの時期を経た上で、突然思いもよらない症状として生じることもあります。そうした「急転直下」の可能性まで、事前にインフォームド・コンセントができるのが、こうした対処のスキルを磨いた信頼できるお医者さんです。
どうして新たな薬にすぐに一気に切り替えないかというと、以前の飲んでいた薬の成分が身体から抜けてしまうまで、あるいは、そのくすりによって生じていた心身の状態が元に戻るまで、薬によっては2週間ほどかかるのが普通だからです。抜いた後、「まずは薬の副作用の軽減の実感が最初に生じ、その後ではじめて薬が効いていたから安定していた側面が顕わになることも多いのです)そして、そうやって薬が十分に抜けた状態での心身の状態を丁寧に診ることをしないと、新たな薬の処方を最終的に決めることがお医者さんにもできないからです。
*****
[ここから第4版で追加]
では、単極性鬱病と誤診され、(敢えて素人なりに病名を新設?すると)
本来双極型II型の診断が正しいはずなのに、気分調整薬が処方されず、もっぱら抗うつ薬のみ処方された結果としての、薬物副作用・相互作用の累積が原因と推測される、慢性的なうつ病『的』症候群」
という診断の「医源病」の解消のために、例えば入院対応の施設のない開業クリニックにおいて十分な対応ができるかという、皆様が関心を抱かれるであろうテーマについて。
もちろん、個人差が大きいことです。特に危険度が高い人の場合にはお医者さんも慎重にしてくださるでしょう。
しかし、それまでの単極性鬱病という誤診とその後の投薬経過の個人史において、
1.多剤処方と副作用体験が著しく累積しているわけではなく、比較的シンプルな処方、限定的な範囲での副作用にとどまっていた人。
2.特に肝臓をはじめとする血液検査領域で著しい障害が発見されないこと。
3.休職中、あるいはそれに順ずる自宅静養状態にあり、本人の体調も気遣う家族が身近にいること
などといった条件が満たされている場合には、抗うつ薬の断薬にかける期間を最小限(例えば2週間)にして、その一方で並行して気分調整薬を徐々に増量しはじめることをスタートするという治療方針を、慎重にインフォームドコンセントをした上でお取りになるお医者様も少なくないようです。
この場合、いざとなればいつでもそこから数日休養することを開始できるくらいの体制をあらかじめ準備しておいた方がいい気がします。
恐らく、生活の中で突如、めまいやふらつき、悪心、意識障害、気を失うこと、平衡感覚喪失、動悸など、これだけ取り出したら、パニック発作に近いものと「誤診」される危険がある症状がが突如襲いかかることを一番警戒すべきかもしれません。
発症などとのみ診断して「対症療法」だけを始めそうな予感もします。
脅すつもりはありませんが、以前私が患者として処方変更をした時には、睡眠中、気分調整剤が血液成分中で「臨界期に達する」頃と思いますが、ごく短時間、ほとんど急性精神病状態の時と同じような幻覚や幻臭・幻聴を伴う、変性意識状態での悶絶を体験しました。
勉強はしていた、統合失調症急性発症時とかなり類似した体験を、むしろ「セロトニンにやや依存し過ぎ症候群」から脱することと引き換えに「薬理作用的・限定的に疑似体験」ように思います。
恐らく人によっては、この状態をしのぐためだけに、仮入院して、医師からのジフレキサやリスパダールのそこそこ量の緊急投与すら必須だったでしょう(気分安定剤とのあわせ技は有効らしい)。たいていのケースなら、入院してもベッドで静穏に寝ている中でそういうエピソードが通り過ぎるのを静かにしのぐくらいで経過を見るのかな???
[ここまで第4版で追加]<\p>
(......ということまで、事前にきちんとインフォームド・コンセントとして単に説明するばかりか、その説明によって患者さんの不安を実際に軽減できるところまでできてはじめてこうした対処を患者さんが信頼してもいい医師である可能性が高いということになります。こうした話になるとあやふやになる医師は、こうした治療を頭で知っていても、様々な事例で成功をおさめた経験に乏しい可能性があるわけですね。)
*****
【以下、第3版で追加】
●参考サイト:
気分調整剤(気分スタビライザー) サイト「ルボックス[デプロメール]を使いこなす」(オリジナルは笠陽一郎医師のページの「薬箱」)
この記事で見る限り、現在認可されている気分調整剤は、どちらかというと抗躁剤としての処方がまずは確立されたものが多いとのこと。鬱傾向と不眠がある人の場合にはデパケン、鬱主体で元気がない人にはリーマスが向いているとのこと。抗鬱剤と気分調整剤の併用は避けた方がいいとのこと。
私が聴いた範囲では、気分調整剤は当初緊張性頭痛や眠気の上昇、気分の悪さなどみられるが、これは一時的で、急にSSRIをやめて切り替えると、SSRI中心の時の、もっぱら気分の重たい落ち込みが強く出る人と、気持ちの波そのものは静まるけれども、躁鬱の人が抗うつ剤だけを飲んだ時に独特の、躁にせよ鬱にせよ、独特のねっとり感(パキシル)あるいはさらりとした潤い感(ジェイゾロフト)のある、気分や体調の不安定な揺れの感覚の代わりに、気分的には安定しているけれども、決して10の力は出せず、7か8ぐらいでの安定をコンスタントに維持することは、抗うつ薬の頃よりはるかに無理なくできるが、ある意味では単調で、人生のドラマが消えてしまうかのような体験になることが少なくないようである。
問題は、まさにこの、「安定しているが、人生からスリルとサスペンスが消えてしまったかのような感覚」にとどまれなくなる人も出てきてしまうことかと思う。
もっとも、恐らくこの点では個人差が大きいだろう。鬱の波がほとんど軽躁のほうにまでは振れない人で、地道にこつこつひとつのことを頑張る側面がもともと強かった人だと、この、
「以前とはテイストが違うけれども安定した状態」
を、
「肩の力が抜け、余計な力みがなくなり、状況全体を俯瞰した上で、クールで大人の対応ができる自分へと一皮向けて行ける」興味深いチャンスが自分に与えられた
........ととらえなおすことが比較的無理なくできるかもしれない。
これに対して、ギャンブルや酒などへの嗜好があったり、自分の中に、公私問わず、物事の解決や成功のための「勝利の方程式」をある程度見出せているという自己信頼がない人だと、気分調整剤を飲み続けるモチベーションを維持する上での困難も大きく、維持療法に入る以前の段階では、薬物療法的にも、医師の高度な処方テクニックが必要となるのではないかと思う。
今後、ラモトリジンという、むしろ抗鬱作用が強い薬が気分安定薬としても日本で認証される可能性はあるそうですが、まだ現状は、その一段階前、抗てんかん薬としての治験の段階とのことです。
↑同じ患者さんが同じ時期に一気に5つの病院を受診した結果、病院によって、これだけいろいろな量と種類の薬の処方をされた!!
↑そのことについて、NHKの取材を受け、慎重に言葉を選びながら返事をする、厚生労働省の技官(^^;)
前回に続き、連載3回目である。
前回までに述べて来たような理由で、実は、うつ病治療において最優秀クラスの病院ですら、患者さんを相当程度長い経過で診たり、場合によっては、それまでの過去の他の病院での処方を全面的に再検討しないと、適切な診断と適切な投薬はできないものなのである。
当然ながら、診断は適切でも薬の処方が不適切な病院、あるいは、誤診こそが問題で、もし誤診でなかったとしたら、その診断に「適切」といえる投薬をしている病院も多数みられることになる(得てして、診断と投薬の両方に問題がある)。
例えば、前回述べた、双極性II型という診断が正しいのに、単極性うつ病と誤診されてきていたことを「長期的に」判断し、更に、躁鬱の波そのものを緩和する「気分調整剤」中心の処方に切り替えていくための投薬スキルが十分な病院は日本にどれだけあるか?
地域差もあり、番組で描かれたとおり、医師の間でもこの点についての学会あげての研修が急速に広まりつつあるとはいえるが、「4つにひとつ(25%)」という数字を挙げてもまだ高すぎるという意見も出そうなくらいなのが現状らしい。
仮にその地方で有名で、かなり大規模で、入院設備もある精神科の単科専門病院であっても、予想外にこうした状況にない。恐らく、評判もいい開業クリニックや専門病院のなかのごく一部+意外と無名な開業クリニックの一部に、こうした点で優秀な病院が散在しているというべきだろう。
私が久留米でカウンセラーとして開業して、特にこの3ヶ月ほどの間に、主として福岡県南部=「筑後地域」、プラス福岡市南部を含めた領域から来談されたクライエントさんからの相談を受けて検討してきた範囲では、この点で、診断および薬の処方の面で順調と確実に判断できたケースは、今のところ、まだ多くはない。
[第2版で追加] やっと、久留米フォーカシングカウンセリングルームにご連絡頂ければ、福岡市と久留米市の開業クリニック数件をご紹介できる体制を確保いたしました。
特にここ数ヶ月、私が勉強を重ねた結果としての「現在の」私の知識水準(そこにたどり着く過程で勉強不足をこれまで何回か当ブログでも露呈したようにも思います)から振り返って判断しても、神奈川県横浜市南部と鎌倉市の境界(大船)で開業していた当時、この点で信頼おける病院に通う、(関東全域から)私のカウンセリングルームに来訪したクライエントさんは、何人かは、確かにおられたように思う。
もとより、久留米に開業カウンセリングの地を移して、まだそうした「うつ病で通院中」のクライエントさんからの相談は10件程度の時点なので、もっと情報が集れば、そうした優秀な病院が徐々に発見できていくとは思っています。
専門家の方・非専門家の方からを問いません、特に筑後地区でこの水準を満たす病院についてメールでの情報提供歓迎します。
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さて、日本うつ病学会理事長の野島総一郎医師自身が、番組の中で紹介している「医者選び、ここに注意」のリストを紹介しよう。
以下のような項目に当てはまる医師には要注意!!ということである。
(恐らく、うつ病に限らず通用する)
1.薬の処方や副作用について説明しない。
(野村氏の口頭による補足:「薬を渡す際に薬局で同時に手渡される薬の効能についてのやさしい解説文だけでは、医師自らがきちんと言葉で説明したうちには入りません」
2.いきなり3種類以上の抗うつ薬を出す。
(抗うつ薬以外の抗不安薬や睡眠誘導剤まで含めると、もっと数が増えることもありますが、投薬初回において、抗不安剤も3週類、睡眠誘導剤2種類も同時処方となると、どの薬が効いているか、その薬が副作用なのか判断しようがないので、要注意!!)
3.薬がどんどん増える
4.薬について質問すると不機嫌になる
(患者さんからの訴えは感謝すべき貴重な情報のはずである!!)
5.薬以外の対処法を知らないようだ
(野村医師がここでいう、「薬以外の対処法」とは、薬も大事だが、お医者さん自身の話の聞き方、信頼関係の築き方なども、治療に大きな影響を当えている.....という、何とも初歩的な次元でのことを指す。これすら認識していない医師が現場にたくさんいるということである)
NHKスペシャルのうつについての番組についての感想、前回の続きです。
番組上での構成の上では前回ご紹介した部分の直接の続きではなく、更に少し後の部分で言及される内容なのだが、重要な問題でもあるので、早めに取り上げたい問題がある。
それは、双極性障害(躁うつ病)と、単極性うつ病では、薬の処方が全く異なるということである。
番組の中でも、何名かの患者さんに関して取り上げていたとおり、この点での誤診→薬の処方の見当違いは、日本の精神医療の現場では、現在も非常にありふれたことなのである。
これはなぜか? それは、たいていの患者さんは、うつ状態の時に受診なさるからである(当然のことですが)。
双極性障害の中でも、典型例、つまり周期的に強い躁状態になる人については、周囲の一般の人も、それをうつ状態からの回復と誤解することは意外と少ない。
番組ではこの点までははっきり描きだれていなかったので補足すると、周囲の一般の人も、その「不自然な元気のよさ」に漠然と違和感を感じることが多い。
具体的に指標をいうと、
1.周囲の人は「元気になった、よかったよかった」と最初の頃は感じていたとしても、さほど立たないうちに、その人のノリにあわせていると、「妙に疲れる」と感じるようになる。
2.(これは番組の中でも映像で紹介されていましたが)その人と対話しようとすると、会話の途中で割り込む由がないくらいに、強引なまでにせっかちに一方的に話し続けようとする(ただし、そうした傾向は、以前の普段のその人にはあまり見られなかった場合)
である。
一般の人でも、こうした「躁状態」が、例えば基本的にはうつ状態の人が、周囲に心配をかけまいとして「元気そうに振舞う」場合とは区別でき、似て非なる、独特の「不自然さ」があることに気づけるようになることはさほど難しくはない。
ご本人も、そうした「不自然なまでのルンルン状態(人によってはムカムカ状態)」について、あとから振り返ってならば気がつけ、自覚できる場合も、実は結構見られる。
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ところが、双極性障害には、大きく分けると実は二通りあるのである。
●目に見えて顕著で、周囲の人を巻き込み、社会活動の面でも様々なトラブルが生じかねない域の、顕著な躁状態と、重いうつ状態を反復するという形で大きな躁鬱のうねりを周期的に繰り返すタイプ....「双極性I型」
●いい時でも、せいぜい軽い躁状態、場合によっては躁でも欝でもなく、まさに欝病からいい形で回復したかに、ご本人も家族や友人にも特に違和感なく感じられてしまう状態と、うつ状態を、周期的に繰り返すタイプ......「双極性II型」
実は、今回の番組で取り上げられていたのは、この中の後者のタイプ(II型)の患者さんである。
そして、現在では、実はこの双極性「II型」と診断するのが適切なケースの方が、実は「I型」よりもかなり多い可能性があるように思われる。
【以下、第2版で増補-1】
番組では述べられていなかったが、私が開業カウンセリングの現場でクライエントさんから通院・服薬歴をうかがった経験からすると、実は、この「双極II型」の人の中に、調子が上向いた時に、軽欝ですらなく、ほんとうに「通常の状態」ぐらいまで回復したかに見えるというサイクルをお持ちの方も多い。特に、うつ状態のときに通院を開始し、しばらく立つと調子が良くなった気がしたので、服薬も通院(入院)も自分の判断でやめてしまい、しばらくたつとまた欝状態になったので、今度は他の病院を訪れるということを、1年ないし数ヶ月の間に2回以上繰り返された皆様は、実は「隠れ双極性II型」なのに、病院をどんどん変えていくので医師にも気づかれにくくなっている場合が少なくないと思われる。
医者の方が初診の段階で過去の症状の変遷と服薬歴を丁寧に問診する習慣があればある程度までは防止できる可能性もあるが、この際、他の病院で受診再開されたりセカンドオピニオンを求めに行かれる場合は、ご自身で、前もって症状の変遷と当薬歴を時系列的に具体的にリストにして紙に書いて持参し、医師に読んでいただだくという形の自己防衛策をお取りになることをお勧めしたいくらいである(そうやって、せっかく書いてきた診断→当薬歴をその場でぞんざいにしか扱わないお医者さんは「論外」、お代えになった方がいいかもしれない。
【以上 第2版増補-1 終わり】
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更にいうと、この中の双極性II型の方は、相当に経験がある精神科医ですらすぐには気づきにくいのである。つまりある程度長い経過をみて、はじめて判明することが少なくない。
現在の日本の精神医療の現実では、一日の通院患者を、精神科医ひとりあたり50名以上抱えておりというのはごく普通なので、初診の際にすら、20分以上患者さんや家族の方から、それまでの経過をじっくりとの聴く時間が取れない場合が、恐らく過半数である。
もちろん、技量の優れたお医者さんだと、そうした限られた時間の中で、双極性I型かII型か、あるいは単極性の欝病なのかを識別するための効果的な問診をコンパクトで効果的な形で初診でおできになることは少なくない(ただし、そうしたお医者さんにめぐり合える確率が50%あるかどうか、現状では疑問である)。
そして、そうした対応に習熟したお医者さんですら、こうした職人芸だけでは短期間で鑑別できないことも少なくないくらいに、一般的に言って、鑑別診断は実際難しいのである。
番組の中でも紹介されたが、日本ではなくて、アメリカにおいての統計でも、この「双極性II型」を通常のうつ病と誤診する率は37%とたいへん高い数値を示している。
私個人も、日本でも、特にこの1,2年ほどの間に、こうした誤診と投薬処方の間違いの問題が、精神科医の間で大きな話題になり始めているとはきいている。
その理由のひとつは、番組の中でも指摘されていたように、患者さんが医師の前で短時間の間に示す態度というのは、立場上の上下関係にあるため、「お医者さんに気に入られたい」という当然の思いから本音そのままではないことが多いということもある。
何しろ、番組で紹介されていた例ですら、臨床心理士やPSW(精神保健福祉士)など、様々な専門性を持ったスタッフがチームとして連携できる体制を十分に持った病院で、更に、通院のうつ病の患者さんたち同士のクループ活動(デイ・ケア)も院内で催している病院でもあり、そのデイ・ケアのスタッフとして立ち会っていたPSWの人が、その「うつ病のためのクループ活動の中での」患者さんのやる気まんまんのふるまいそのものに違和感を感じて、お医者さんに報告したることで、かろうじて、やっとのことで(単なるうつ病から)双極性II型への診断の変更のきっかけになったという例である。それくらい、的確な診断は難しくてたいへんだということになる。
番組の内容からは踏み出すが、私が思うに、臨床心理士やPSWやケースワーカー、保健士、看護士、デイケアスタッフなとを単にそろえているだけで安心とはいかない。実は、そうした様々なスタッフが、ひとつのチームとして十分に機能するまで練り上げられていない病院も、現段階では過半数の可能性が十分にある!!
.......ここまで指摘してもこのブログに苦情が入ることは恐らくないと断言できるくらいに、医師を含む現場専門家の間ですら知れわたっていることであろう。もしこのブログをお読みの欝の患者さんで、そうした多角的な病院のアプローチが役立っているという実感をお感じの皆様は、幸いにして、(かなり控えめにいって)いい方の3分の1の病院にめぐり合えたということであろう。
私の知る限り、例えば病院臨床の現場で働く臨床心理士の皆様のなかにも、自分が「まるでカウンセリングも受けたいという患者さんのニーズにこたえるためだけに」雇われているみたいで、(つまり、自分のところに「まわされて」来る患者さんは、いわば、ホテルにおけるマッサージ師のサービスのような存在に過ぎす、病院の経営的見地からの「接客業的」な追加料金が必要な「特別オプショナルサービス要員のように本音では感じていて、、お医者さんに専門性を持った「チームの一員」として認められているとは感じていない方は少なくないと思う。
もっぱら心理テストや心理検査のためのスタッフとして雇われている臨床心理士の方も、「現実には、精神科医の先生の多くが、診断や治療の上でそうしたテストや検査の結果を、ほとんどあてにしていない」のが普通ということをお感じになっておられると思う。ロールシャハ検査などの「へヴィーな」検査は、ひとつ間違うと、患者さんに大きなストレスを与え、病状を悪化すらさせる危険ももあるといったマイナス面も考慮して、個別かつ慎重に、検査を実施するかどうかそのものを判断すべきというのは、もはや専門家の間の常識だろう。
もっとも、発達障害や知的障害、児童臨床や、老人認知症に力を入れている病院では、心理検査を大事にし、有効活用している病院も比較的多いかと思えます。なぜなら、こうした領域だと、心理検査が役立つことが実際に多いからです(^^)。一般にあまり知られていないかもしれませんが、殊に神経症や統合失調症、欝病などの診断に、心理検査は必要ないと感じている精神科医が大多数です。そしてそれは、お医者さんの側の認識不足などでは決してなく、「患者さんに負担をかけ、治療に悪影響を与えるリスクを天秤にかけると、手間がかかる割には診断や治療には役立たない」というのが、本当に臨床現場で有能なお医者さんのかなりの部分の本音であり、それは現場臨床的に見てかなりの程度真実でもっともであると私も感じています。 例えば、
の中の「臨床心理士」というカテゴリーでkyupinさんがお書きの一連の記事の内容、熟読していくと、臨床心理士の私にですら十分共感したくなる一面があります(^^) ただ、kyupinさんが
>このように、心理療法士と僕のように薬物療法を重視した精神科医は、かなり住んでいる世界が違うのである。
とまでお諦めにならないで欲しいなあ.....と私は感じています(^^)。
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話題がかなり、病院臨床に携わる臨床心理士の役割を多くのお医者さんはどのように見ているかの現実の方向に脱線しましたので、そろそろ本題に戻りたいと思います。
実は、双極性気分障害全般において、その人の欝状態がひどくなった時期には、単極性のうつ病と同じような、いわゆる「抗うつ剤」(三環系、四環系、SSRI)が処方されることもあります。
しかし、現在の精神科薬物療法においては、双極性障害の場合、躁うつの周期的な変化がどの状態にあろうと一貫して処方され続けるベーシックな薬は、「気分安定薬」と分類される薬物なんですね。「感情(気分)調整剤」「気分スタピライザー」などどいう言い方もなされます。
具体的に言いますと、日本で認可されている薬の中では、リーマス(=リオマチール)、デパケン(=バレリン =ハイセレニン、いわゆるジェネリック(後発薬)まで含めると、エスタブル、セレブをはじめとしていくつかの商品名があります)、テグレトール(=テレスミン、レキシン)という、基本的にはたった3種類の薬のみが、今のところ「気分安定剤」グループです。
恐らく一番の多数派は今ではデパケンでしょう。 リーマスは、有効血中濃度を一定水準に維持するための定期的な血液検査が並行してなされているのが望ましく(デパケンでももこの測定を行なう病院もありますが)、デクレトールは、薬があう人とそうでない人の個人差が大きいとのことですし。
この「気分安定薬」は、単にうつ状態を持ち上げようとしたり、躁状態を緩和させるだけではなく、躁鬱の周期的な波の振幅そのものを、まるでうねうねした曲線線を両側から引っ張って中庸のまっすぐに近づけようとするかのような薬、つまり、躁鬱の波全体を沈静するような働きがあります。
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ところがそもそもこの「気分安定薬」という分類名そのものが、一般の皆様や、数年以上前に精神科の薬について学んだっきりの、かなりの部分の臨床心理士にとってすら、誤解を招きやすいところがあります。
まずは、「精神安定剤(トランキライザー)」という、実は現在の薬品分類では正式にはもはや使用されていない分類と誤解されやすくなる。
かつて「メジャー・トランキライザー」と分類された薬は、統合失調症傾向がある患者さんに処方されても、躁うつ病やうつ病の患者さんに処方されるケースは例外的でした。この種の薬は現在「抗精神病薬」と分類されています。
同様に、「マイナー・トランキライザー」と分類された薬は、もっぱら「神経症圏」の患者さんに処方されるものでした。実は「神経症圏」のうつ状態にも処方されることが現在でも少なくないので、話が更にややこしくなるのですが、この種の薬は、現在「抗不安薬」という名前で呼ばれています。
ところが更に、「気分安定薬(調整剤)」という名称を、「抗不安薬」の別の言い方であると、一般の人が誤解しても、そうした皆様を責められないではありませんか!
(↑一家に一冊最新版を!!)
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実は、単極性うつ病、ないし双極性感情障害のどちらの場合にも、補助的に「抗不安薬」(、あるいは「その他の抗うつ薬」に分類されるデジレル=レスリン=アンデプレ。笠陽一郎氏によれば「抗焦燥剤」。多くの医師はうつ状態の人の眠剤代わりに、他の抗うつ剤の補助という形で処方される))が同時に処方されることはごくありふれています。そして、それが実際に効果的という患者さんもたくさんいます(処方が不適切な場合も少なくないようですが)。
より具体的には、例えば双極性II型が適切な診断の患者さんに、デパケン(気分安定薬)とデパス(抗不安薬)の二種類が処方されていることは、ごくありふれて見られ、そうした投薬が治療の上で実際に効果的という患者さんはかなりの数にのぼるかと思います。
同様にして、単極性うつ病が的確な診断の患者さんに、パキシル(SSRI)とデパス(抗不安薬)が処方されていることはありふれていますし、その処方に効果を実感している患者さんもたくさんいるはずです。
(なお、デジレル(=レスリン)とパキシルはやや効果を打ち消しあう面があり、デジレルとジェイゾロフト(=サートラリン)の組み合わせの方が、朝の目覚めのすっきりさとそれ以降の穏やかさが見事なブレンドになる場合も少なくないようです。特に女性)。
ところが、本当は双極性II型の診断がふさわしい人が、当初単なるうつ病と診断されるリスクはある程度止むお得ないことは、すでに述べたとおりです。恐らく本当は単極性うつ病と診断されるべきなのに双極性II型と「誤診」されるという逆のケースの方はそんなに多くないと思いますので、問題は、双極性II型のはずなのに単極性うつ病と「誤診」され、更に、通常の抗うつ薬が(うつ状態のひどい時の補助程度ではなく)ベーシックな主剤として処方され続けた経歴はあっても、気分安定薬をベーシックな主剤としては全く処方さた経歴のない患者さんの場合です。
今回のNHKスペシャルの一番画期的なところは、こうした誤診→薬剤の誤処方が実際になされるとうなるのかという典型的な実例について幾例も取材し、更に、的確な図版も用いて、実に説得力ある形でレポートしたことにあるのではないかと私は感じています。
結果は、時がたつにつれて、うつ状態が長引き、軽い躁状態でいられる期間が短くなるばかりか、欝の時期に入る度に、一層欝状態がひどくなるという悪循環がどんどん進行していくのです。
【以下、第2版で増補-2】
特にパキシルの場合、最初に服薬してからかなり長期間,、躁状態に転じる危険が他のSSRIよりも高いといわれています。これは双極性のみならず単極性のうつ病の場合でも診られる傾向です。 この番組の中でもさりげなく付言されていましたが、むしろパキシル投与が引き金となる形で「双極性障害II」が発症してしまう危険すらあるようです。
【以上 第2版増補-2 終わり】
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これと類似したケースを、「メンタルクリニック.net」の猫山司医師は、
● 「双極性障害(躁うつ病)の診断と治療 ―典型的な治療失敗例(疑)を通じて―」
と題する10回以上の長期連載記事で詳しく解説しておられます。
開業カウンセラーである私自身、久留米で開業してから以降に限定しても、おふたりほど、まさにこうした疑いがあるクライエントさんに実際お会いしました。
そのうち一件については、新たに紹介する病院に向けて、これまで、欝が軽快したと感じるたびに医療を中断し、再び欝になったら別の病院を受診するということを繰り返していた、それまでの数年におよぶ長大な治療暦を、各病院における具体的投薬も列挙して(結局、「気分調整薬」を処方されたことは一度もない!!)、かなり長い紹介状を、クライエントさんの同意のもとに共同で作成しました。
(もちろん、双極II型と診断するかどうかはお医者様にお任せすることを、丁重にしたためました)。
私は、こうしたことまでなら、臨床心理士が医療に向けて情報提供しても僭越ではないと確信しています。
この番組には、ゲストとして、日本うつ病学会の理事長である野村総一郎医師以外に、自身が10年前に軽度のうつ状態を体験したという、政治学者の姜尚中(カン・サンジュン)氏、そして、欝体験(および、欝を家族として支えた体験)を持つ3名の一般市民の方をスタジオに招かれている。
この番組の特徴は、日本の精神医療における欝治療(特に薬物療法)の危なっかしい側面を、恐らくこの種のテレビ番組としてはこれまであまり描かれたことがなかったくらいにつっこんだ次元で、説得力ある形で、しかし、感情的な医師悪玉論や偏見に満ちた薬物療法批判にはならない形で、クールに描き出したことであろう。
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番組の最初には、欝の治療が何年にも及ぶまま成果が出ないような患者さんに、実は症状を悪化させすらする形でしか薬物の処方がなされていない場合がかなり含まれるのではないかということについて検証していく。
先述の野村氏が指摘するのは「薬を増やせば症状を抑えられる」という誤った認識が現場の医師の多くにあるのではないかということである(この番組では明言されていないことを補足すると、いわゆるSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)の場合、「用量依存性」は少ない、つまり、量を変えても効果の変化が少ないという性質を持ち、原則として単剤を、徐々に増やしたりせず、最初から一定量ドカンと処方するのが適切とのことである。徐々に増やすというやり方で、薬が身体になじんでいるために、増やした分だけの効果増強は実は出なくなる。それなら最初からまとめて出す方が効果があるということです)。
これは同じ薬の量だけではなくて薬の種類にも及ぶものであり、極端な場合、初診の段階から数種類以上の薬を出すことももあるというのでは、どの薬が効いていて、どの薬の副作用が生じているのかがわかりようもなくなるはずということが指摘されている。
野村氏は、「抗うつ剤の処方は単剤処方が原則.....少なくとも3種類以上同時に抗うつ薬を処方するのは回避すべき」と明言する。
(ここで、「抗うつ剤の」処方は、と書かれている点に注意。うつの人に出される薬全体のことではない。。双極性障害(躁うつ病)でないうつ病に関していえば、抗うつ剤、抗不安剤、(不眠があれば)睡眠導入剤の3種類が同時に処方されることはかなり一般だろう。これらの中の抗うつ剤ジャンルだけで3種類はまずあってはならない、ということである。私見では、抗うつ剤2種類以下、抗不安剤2種類以下、睡眠誘導剤1種類、しかもこれらトータルで4種類以内でまとまっている処方なら、そこそこ適切であることが少なくないかと思う)。
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私が臨床心理士として開業していて現段階で一番多く受けている相談は、実は「うつ状態で長年通院して薬物療法を受けているが、医師の処方に疑問を感じ始めた」という皆様である(実はこうして久留米に居を移してからいよいよ比率が高まった)。
もとより、精神医学的な診断を正式にできるのは医師のみであり、薬物の処方は医師にしかできない。しかし、カウンセラーが一定以上の水準の薬物療法についての認識を持っていることは、現場臨床において不可欠であると考えている。医者と患者さんのコミュニケーションが良好で効果的なものになるための実践的アドバイスをしていくスキルを、現場の(特に)開業カウンセラーは十分に身につけておく必要があるはずだ。
この件については以前にも書いたが、現段階での私の考え方は、それを書いた当時よりもかなり踏み込んだものになって来ている。つまり、前の記事では「薬についての知識がそんなになくとも」と書いていたが、今の私は「カウンセラーでも、かなりの程度の知識があったほうがいい」と考えるに至った(もとより、お医者さんを横槍を入れられたと怒らせたりしない形での伝え方のコーチというのも、そうしたコミュニケーション改善のためのアドバイスのスキルの重要な一部である ^ ^;)
鬱に関していえば、例えば、SSRIの中でよく処方される「抗鬱薬」に、ルボックス(=デプロメール)とパキシル、そして最近はジェイゾロフトがある。これらの薬は、基本的にはSSRIであるにもかかわらず、欝に対して共通の働きの面も大きいのだが、消化器関係の副作用がまるで正反対なのだ。
個人差はあるが、一般的に言って、ルボックスとジェイゾロフトは体重増加を招きにくいのに対して、パキシルは体重増加を生じやすい。パキシルは、便秘がちになりやすいばかりか、ストレス解消のための無茶食いを喚起しやすいようにも思う。これに対して、ジェイゾロフトの副作用としての展開中の典型は下痢と食欲低下ということになる(人によってはほんとうにひどい下痢が続くこともある)。
だからといって、これらの正反対の薬を一緒に飲めばお腹の調子がちょうど良くなるなどというふうには都合よくいかない。薬の効き目や副作用はは単なる足し算引き算では説明できないことが多い。同時に飲むと「相互作用」を起こし、思いもよらない副作用を引き起こす可能性も高い。直前の記事で紹介した笠陽一郎医師は「ルボックスとパキシルを同時処方するなどもっての他」と、ご自身のサイトで辛口コメントしている(前述の、今日日本でSSRI系の抗うつ薬として使われている3種類についての笠医師の比較がこのページにある)。
(もとより、効き目には個人差がありますから、併用処方で欝が改善し、消化器系もバランスが保てている患者さんを不安に陥れるつもりはありません!)。
かといって、例えばジェイゾロフトを処方されて下痢になった3日目にゾロフトの処方をいきなり中止して、更には別の抗うつ薬に切り替えてしまうお医者さんがいたとしたらこれまた疑問符だと思う。投薬最初期のみであっさりおさまる副作用もあるわけだし、まるで患者さんの「注文」のままに目先の苦痛除去をしていくことが治療であると勘違いしておられるのではないかと想像したくもなるお医者様もおられるからである。
ひどい場合には、患者さんと見解が対立すると、両者の考えに沿った薬物をどちらも同時に二重処方し、「好きにしたら」と様子をみる、患者さんに博打を打たせるお医者様も現実にある。「お持ち帰り用ケーキバイキングコース」あるいは「闇鍋」ではないのだから、仮に2つの診断仮説の薬を全部同時に飲む患者さんがいたらたいへん危険だと思うのだが。こうした場合と、「頓服」というはっきりした服用指示があるというのは全く異なることではないか。
一般論とすれば、副作用止めを同時に出すことは、できればなしで済ませられるに越したことはないとはいえる。しかし、殊にご本人が、主剤の抗うつ薬について、「欝の軽快には効果があるみたい」とすでに実感していた場合、薬理学的相互作用を起こしそうにない消化剤や止瀉薬を出したらバランスが取れたというのであれば、それはそれでそこそこ現実的というケースもあるはずである。この点は抗不安薬などの副作用止めを「安易に」幾つも出す場合ほど弊害はないと良心的な医師なら考えるだろう。<>/p>
2週間ぐらい経過を見てはじめてその患者さんの身体に安定した薬理作用が生じるよう薬も多いのである。ジェイゾロフトの場合、数週間単位で経過を見ると、欝の改善につれて、いつの間にか止瀉薬を飲まなくても下痢をしにくくなっていく患者さんも少なくないようだ。
(患者の皆様、こうした場合も、市販薬に自分勝手に頼らず、精神科や心療内科の医師に、通院予定日を繰り上げてでも診断を受けたうえで消化剤や止瀉薬を出してもらう方が、適切な薬を調合してもらえる可能性があるかと思います。保険適用で安価になるはずですし)。
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さて、抗うつ薬の併用や徐々に増加させていくことの弊害についてて、番組の中で、野村医師は、図版を示しながら、次のような説明をする。
「セロトニンが増えすぎても問題を起こすことが多いのです。今度はドーパミンが減り始める。そうなると、その人は無気力になる。それを医師が欝の悪化と誤解して更に抗うつ剤を処方するという悪循環に陥る」
こうして、単に無気力になるばかりか、記憶が抜け落ちたり、倒れたりなど、患者さん自身ははいよいよ苦しい心身の不調に苦しむことになるわけです。
(この点について補足しますと、以前にも書きましたが、重度の欝というのは、実は「無気力」な場合とは、程度の違いだけではなく、かなり異なった質の体験であることを患者さんは実感上識別できる場合も多いのです)
私は薬の専門家ではありませんが、SNRI(セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害薬)や三環系・四環系抗うつ薬のいくつかにおいて、体内でにドーパミンを産出するために必要なノルアドレナリン再取り込み阻害という効果がある薬が少なくないのも、単なるセロトニン再取り込み阻害だけではドーパミンが減り出してしまうことを前もって計算に入れている面があるのかもしれないと個人的には感じました。
更にいえば、現在日本で認可された最新のSSRIであるジェイゾロフトに、実はこのドーパミンの減少を抑止する作用もあることは、ネット上の薬情報のサイトではあまり書かれていないことのように思えます。このことに言及しているのは私が見つけた範囲では、wikipediaでの記述のみです。
> セルトラリン(=ジェイゾロフト)の一つの性質は軽いドパミンの再吸収阻害効果である。
この記述を素直に読むと、効能の上で、ジェイゾロフトにはSNRIにも通じる隠れた作用があるようです(日本で認可された唯一のSNRIとしてのトレドミンは、次第に医者の間でも次第に評価が下がっているようですが、その一方、日本でもこの1年ぐらいの間にジェイゾロフトの評価が高まり、ネット上の記事も一気に増えたのは偶然でしょうか?)
私のお会いした人の中には、「パキシルからジェイゾロフトに薬が変わったことによって、寝覚めのすっきり度が目に見えて変化した。ただし以前に比べると、食べ物をおいしく感じられなくなったし、無理をして頑張ることもできなくなった」などと表現した人もあります。
*****
更に最新情報を書きますと、すでに時代はSSRIやSNRIの先に進みつつあります。NaSSA(Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤)という新しいタイプの抗うつ薬が、日本でも2011年の商品化を目指して治験中のようです。
このことについて詳しく言及している日本語の記事は、今のところ
●新型抗うつ剤「NaSSA」販売で、明治製菓と日本オルガノンが契約(「うつ病ドリル」サイト)
●NaSSAの利用(教えて!goo)
.......この2つしかないようです。
(【注】.....日本語サイトで”NaSSA”を検索すると、現状ではしっかりした説明文はこのサイトにしかないので「紳士的に」サイト名を示し、リンクも張りましたが、この「うつ病ドリル」サイトは、うつ関連の多様な情報サイトのように見せかけつつ、実際には、すべてのページの一番目につく箇所に、ある特定業者からサプリを購入するように仕向ける強迫的なまでの仕掛けを持っており、この点で、うつ関連サイトの中では「問題サイト」であると私は判断しています。実は、この執拗な繰り返し構造そのものが、実はうつに悩む人を商品を買うように誘導するために受けさせる「ドリル」なのかもしれない(^^;)サプリそのものがうつ改善に役立つ人も少なくないことは確かなようですが、手法が悪辣です。ちなみに、私があるクライエントさんから聞いたことですが、このサイトの掲示板にまじめに批判的なことを書いたら即刻削除されたとのこと!!)。
前者によれば、
>NaSSA (ミルタザピン)とはセロトニン・ノルアドレナリン両対応の薬だが、SNRI とは違って再取り込みを阻害するものではない。センサーをだましてセロトニンとノルアドレナリンの備蓄を放出させる薬。
具体的には、セロトニンがどれだけでているかのセンサー(α2ヘテロ受容体)と、ノルアドレナリンの同様のセンサー(α2受容体)をふさぎ、セロトニンやノルアドレナリンが出ていないと錯覚させる。するとセロトニンやノルアドレナリンの備蓄が出てきて濃度を上げようとする。
また、セロトニンに関して言えば精神安定に作用する5-HT1という受容体にセロトニンが結びつきやすくするために、5-HT1以外のセロトニン受容体をふさぐことでセロトニンが5-HT1へ流れていく確率を上げる(セロトニン受容体は14種あることが分かっているが、5-HT1以外の13種全てをふさげる訳ではない)。
つまり、再吸収口をふさぐのではなく、うつ病に関係しない受容体をふさぐ。。
・・・・・つまり、この新薬は、セロトニン濃度を「実際に高める」のではなくて、出ていると「錯覚させる」。これにより、セロトニン過剰によるノルアドレナリンの減少という副作用をなくすことを狙っているわけですね。
夜先に述べた、番組内での野島医師の発言は、こうした今後の展開をご承知の上でなされているものかと推測します。
続きはこちら。
ネット上ではトランプの持つ意味が過小評価されている現状がある気がしたので、連投したものを取りあえずささやかにまとめてみました。
当初は欅坂46の「サイレントマジョリティ」がなぜ従来のアイドルを視聴しない層までいきなり心を掴めたかについて、強引にトランプ論まで引きずり込む大技のブログ記事にすることも考えましたが、一応切り離しました.。
こちらからどうぞ。
●欅坂46/サイレントマジョリティー(Youtube)
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