ワーキング・プアとしての臨床心理士(再掲)
● 「ネットカフェ難民」転落 本当に若者の「責任」なのか――NPOもやい事務局長・湯浅誠氏インタビュー(下) (J-CAST)
半年前の記事ですが、この記事は、ワーキング・プアについての、安易な決めつけを排した、バランスのいい記事だと思います。
******
以下、私が一番注目した部分の引用:
―― 一方で、若者の「弱さ」「甘え」が、すぐに仕事を辞めて職を点々とするようなフリーターを生み出した、という意見もあります。
なんと言っていいのか難しい問題なんですけど。(中略)
私はいつもこう言っているのですが、新しい仕事に就くということは、大変なことです。会ったことがない人たちと、やったことのない作業をやるってこと。多くの人はできると思うんですね。しかしやったことないんだから、そこには実は根拠がない。
なんで根拠もないのにできると思えるのかというと、「今までやったことないことやらせてもらえた」「チャンスをもらえた」「やったことないことをやってうまくいってほめられた」といった「成功体験」みたいなものを過去に持たせてもらえた。だから、それを応用して「できる」と思えるんです。
逆に言うと、そういう経験に乏しい人にとっては、「できる」と思えない。本人にとってはこれが、大問題だったりするんですよね。
これは、自己責任論と絡むんです。病気で仕事に行けなくなって解雇されたというと、みんな「しょうがない」というんです。みんな実際に病気をしたことがあるから。
「健康管理がなってない」と自己責任論で片付けることもできるはずですが、そう言って批判する人は多くはない。一方で、仕事のことになると、「お前が頑張らなかったせい」と自己責任論で片付けられる。
多くの人にとっては「頑張ればできる」ということなんだろうけど、本人にとってはどうしても乗り越えられない。これも広い意味で「貧困」だと思うんですよ。つまり、「意欲の貧困」、精神的に「溜め」がないということなんです。
(中略)
「お前甘えてるから仕事しろ」っていっても片付かない問題なんです。本人も一番そのことは分かってるんですね。そんな説教では「自分が悪い」と、ますます自信をなくしていく。
「自己責任論」の問題は、倫理的によくない、というよりも実効性がなくて解決にならない、という点なんです。
何らかのかたちで「成功体験」や受け入れられる経験を通じて「溜め」を増やすことが重要だと思います。
*****
湯浅氏はこの後で、社会システムの上での、日本の現状の「溜め」のなさについても問題提起していく。
******
一見話題が飛ぶようだが、臨床心理士などの広い意味での援助専門職も、実はかなりの程度ワーキング・プア的なのであるが、若い世代のこうした人たちに、「成功体験」を持たせる(もちろん、クライエントさんを犠牲にしない形で)ことの重要性は、十分認識されていいのではないか。
若い世代の援助的専門家自身の、こころの病の問題は、明らかに深刻化している気がする。
少なくとも、専門資格を所持する人が激増している現在、広範化はしている。
« 格差社会の中での開業カウンセリング(再掲) | トップページ | 体験過程尺度入門(再掲) »
「おすすめサイト」カテゴリの記事
- 【ウマ娘】:ワンダーアキュートいきなり初育成(2022.11.25)
- 阿世賀浩一郎 著 「若き臨床家のために」Amazonで発売開始(2022.11.24)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー開室(Linkedinより転載)(2022.11.20)
- 母が天寿を全うしつつあることについて(2022.11.15)
- 広島同人誌即売会で、TAMさんにまどマギの「コネクト」リクエストした。(2022.11.07)
「心と体」カテゴリの記事
- 【ウマ娘】:ワンダーアキュートいきなり初育成(2022.11.25)
- 「ウマ娘 の精神分析」新刊第2巻(コミックマーケット101で発売開始)の表紙装丁(2022.11.24)
- 阿世賀浩一郎 著 「若き臨床家のために」Amazonで発売開始(2022.11.24)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー開室(Linkedinより転載)(2022.11.20)
- 母が天寿を全うしつつあることについて(2022.11.15)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 広島同人誌即売会で、TAMさんにまどマギの「コネクト」リクエストした。(2022.11.07)
- 水道橋博士への議員休職という対応に対する田中信一郎氏の批判は間違っている。(2022.11.04)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー 公式サイト Openいたしました。(2022.10.20)
- 合同会社ケー・エフ・シー 公式Webサイト、10月20日(木)Open予定!!!(2022.10.17)
- 「若き臨床家のために」目次(2022.10.09)
「心理」カテゴリの記事
- 【ウマ娘】:ワンダーアキュートいきなり初育成(2022.11.25)
- 「ウマ娘 の精神分析」新刊第2巻(コミックマーケット101で発売開始)の表紙装丁(2022.11.24)
- 阿世賀浩一郎 著 「若き臨床家のために」Amazonで発売開始(2022.11.24)
- カウンセリングルーム ケー・エフ・シー開室(Linkedinより転載)(2022.11.20)
- 母が天寿を全うしつつあることについて(2022.11.15)
コメント