芸能・アイドル

2011/10/17

ストックホルム症候群 -水樹奈々 自伝「深愛」について-

「ストックホルム症候群」という概念がある。誘拐や監禁の被害者が、極限状態の中で犯人に同情や連帯感を抱くようになることであり、1973年にスウェーデンのストックホルム市で起きた銀行強盗において、1週間に及ぶ立てこもりの末に人質が解放されたが、その後、元人質たちが犯人をかばう証言をしたり、警察を非難したりしたほか、元人質の一人が犯人と結婚するに至ったことで注目され、この名が付けられた。

「まるでストックホルム症候群みたいだね」・・・水樹奈々が自分と「先生」との関わりを知り合いに告白した時に言われた言葉だそうだ。

堀越高校芸能科は、所属事務所があることが入学の条件である。彼女の才能を認め、上京して面倒をみることを引き受けた「先生」との二人暮らしでの生活は、厳しいレッスンと同時に、彼女のためなら、会社が倒産しても「自分名義の事務所」を立ち上げてまで面倒を見る熱心さがあった。

その「絆」が同時に「しがらみ」であり、「束縛」でもあることの辛さを心から受け入れるまでに、彼女は数年の歳月を必要とした。そこには「第3者」との関わりが必要だった。

どういう領域でも、密接な「愛に満ちた」師弟関係と言うのは、常識人が一歩踏み込んで聞いたらびっくりするような歪んだ側面を抱え込んでいるものである。

そして、そもそも、そうした「先生」との関わりの様式は、彼女の実の父との関わりが「反復強迫」されたものに他ならないとも言える。

演歌三昧の父から、生まれながらにして「紅白に出場する演歌歌手になること」を期待され、日常生活を拘束されて練習漬けの日々の中で育った彼女の生育歴は、まるで「巨人の星」の一徹と飛雄馬との関係性をなぞるかのようである。

それに加えて、子供時代から歌がうまいと遥かに年上の地元の演歌好きたちに言われて育った「オトナ子供」の彼女は、小学生の頃、周囲から浮いた「変な子」であり、普通の子達から見れば、嫉妬も入り混じった形でいじめの対象ともなることはごく自然な成り行きだろう。思春期に入る前の普通の子供というのは、ある意味では残酷なリアリストである。決して彼女の被害妄想ではない。

ただ、そうした父や「先生」の溺愛と厳しさが、彼女に芯の強さを植えつけたことも、また事実だろう。

本書は、奈々さんが、語り得る範囲で、本音の自分をありのままに描き出した本だと思う。

声優を目指す人達への、先輩としての十分なメッセージにもなっている。

=======以上、私のAmazonレビューの転載========

blogram投票ボタン
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ
携帯アクセス解析
ビジネスブログランキング
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 
メンタルヘルスブログ 心理カウンセリングへ
にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

2011/10/10

水樹奈々という「現象」

水樹奈々という歌手(と一応しておこう)をご存知だろうか?

すでに公式デビューして10年以上、年齢31歳、一昨年の紅白にも出場し、「深愛」という曲を熱唱、昨年の紅白にも連続出場するばかりか、前宣伝の番組に4回もアシスタントを務めているので結構多くの人間の知られるようになったかとは思うが。

Youtubeでは、ライブ映像は著作権上ことごとく消去されているので、公式プロモーションビデオへのリンクだけ、上述の「深愛」へのリンクを貼っておく。

●深愛(YouTube)

転調が多い高度で斬新な、J-POPとしてみても最先端の曲作りで、演歌的ヴィブラートを効かせて圧倒的な表現力で歌い切るこの曲に、何の予備知識もなく、紅白で接した時には、その新鮮さに驚くしかなかった。

しかし、彼女は「声優」であり「アニソン歌手」なのである。

私はいわゆる「ぜロ年世代(2000年以降)」のTVアニメを全く観てこなかった(まどか☆マギカでの復活まで)。彼女が声優として出演するアニメを試しに見てみたのもついこの前のことである(CLAMP原案の「BLOOD-C」の第一話のウェブ配信です)。

そのため長年のファンからすれば「にわかファン」に過ぎない。

(すでにずっとのファンの方、そういう人間が書くことだというつもりで読んでください)

******

とりあえす色々調べた結果を紹介文として書かせていただきます:

愛媛県新居浜市出身。両親が経営する歌謡教室で、みっちり演歌の手ほどきを受け、瀬戸内地域屈指の「のど自慢荒らし」となり審査員の目にとまり、「声優に興味がないかと」と誘われる。

上京して堀越高校に進学。代々木アニメーション学院声優科にも並行して通って学業と両立させ、卒業時に全コースから学業優秀・品行方正の卒業生1人に贈られる堀越賞を受賞。最初の所属事務所ではなかなか歌手としては芽が出なかったばかりか事務所は倒産、キング/スターチャイルドレーベル(アニソンの老舗である)に移籍してから大ブレイクする。声優としてはすでに13年のキャリアを持つ。

しかし、彼女の場合には通常の「声優が歌も歌う」場合とはまるで次元が違っている。あまりにも歌唱レヴェルが高く、先述の、演歌とJ-POPの融合した独創的な歌の世界は「奈々ワールド」としかいいようがなく、ドームクラスの大会場でのコンサートツアーを満杯にする熱烈なファン層を生み出している。

彼女の声の実力を信頼した”Elements Garden”という音楽集団とのコラボによって、一体何をどこまでやれるのかにひたすらチャレンジし続けている。

****

私はこの1年ぐらい、BSの幾つかの番組を通して感じていただけだが、奈々に限らず、この10年ほどのアニソンの世界というのは、通常のJ-POPよりも更に先鋭に、やりたい放題の曲作りがなされているようだ。

以前のように、歌手の売り出しのための階段として、まずはアニメとコラボレートするに過ぎない時代とは異なる。

もはやアニソンは時代の先端を行く堂々たる「音楽ジャンル」なのである。アニメを好きになったコアなファン層を安定した購買層としてあてにしていればいいので、プロデュースも既成の型に固められてはいないともいえる。

そういう中で、大衆への幅広い認知の領域に一歩飛び出したのが、水樹奈々ということなるようだ。

*****

彼女は何よりライブでの熱唱が凄く、小さな体で驚くべき歌唱水準を維持しているらしいとは噂に聞いていたので、私が彼女に投資する第一弾は、いきなり最新のライブのBDとなった。BDソフトはまだ「まどマギ」以外には持っていない(^^;)

この"NANA MIZUKI  LLIVE GRACE ORCHESTRA"と題するステージは、東京ニュー・シティ管弦楽団との横浜アリーナでの共演、しかも20曲、3時間近くに及ぶライブ。これだけの曲数を網羅したライブは他にないようである。

横浜アリーナなら、関東在住時代に、ayuのライブで何回か体験したことがあるが、すり鉢状に近い構造は、大会場ながら、ステージとの距離感・親密度が、代々木体育館などと比べてもずっと秀でている。そこに100名近いオーケストラのステージ。休憩をうまく挟みながらも、(ayuほどには)あまり過剰な演出はせず、歌をガンガン歌いまくる。それで確かにこの歌唱水準の終盤までの維持は只者ではなさ過ぎる。

そして何より聴衆が熱い。ステージとの一体感が凄い。はっきりいってayu以上である。

ボーナストラックとして、尊敬する美空ひばりの曲を数曲歌ったステージも収録されている。このひばりカバーの水準も非常に高く、彼女が今後何十年も歌手として歌いつづけられ、広い層に受け入れられる普遍的な歌手へと更に成長していくと感じさせられた。

*****

おしまいに、「深愛」とならぶ彼女の最大のヒット曲、”Eternal Blaze"も紹介しておこう。

ただし、これはいわゆる【MAD】である。わかりやすく言えば、アニメの名シーンをうまく編集した動画と歌のコラボであるが、水樹奈々出演作ではないアニメとコラボしたものとする。

要するに、またもや「まどか☆マギカ」ですが(^^;)、実は”Eternai Blaze"という曲を私が知るそもそものきっかけがこの動画である。

更に調べたら、この曲は、「まどか☆マギカ」の新房昭之監督が数年前に製作した「リリカルなのは」という、これまた魔法少女アニメで、彼女も主題歌兼声優とした出演していた・・・という意味では遠い連関があることになるので・・・。

*****

【追記】

彼女の自伝、「深愛」についてのレビューはこちら

blogram投票ボタン
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ
携帯アクセス解析
ビジネスブログランキング
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 <br />
メンタルヘルスブログ 心理カウンセリングへ
にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

2010/11/19

「のだめ」原作、とっくに読了していたのですが・・・

 あれから、のだめの原作についての感想を書かないままだが、もちろんとっくに読み終わっております。更にTVのドラマ版見直し始めるという「循環ループ」に突入。

 こうなると、お金の余裕ができたら、劇場版まで全部DVD買ってしまうでしょうね(^^)

 ともかく、原作そのものが凄かった! と申し上げるしかありません。それあっての映像作者や俳優たちの「あの」情熱を引き出したとしか・・・・

 原作をどのように実写版で「割りきって」処理したか(ニナ・ルッツ音楽祭や新潟の海水浴、叔父の一家や千秋の父が登場しないままであること)も、むしろ原作のエッセンスを映像ドラマとして描き出す上での十分な必然性があったと思います。

 おかげで、シュトレーゼマンが背負う役割が原作以上に重厚になり、再びテレビドラマ編にを丁寧に見直すと、シュトレーゼマンの一見突飛に見える気まぐれな言動が、実は「師」としての透徹した老練な身の処し方のように見えてくる。

 原作の、ショパンのピアノ協奏曲に向けての物語の盛り上げ方も大変に周到な熱の入れ方だったと思います。

 ともかく、映像を観てから原作、という順序だからこそ、原作の持ち味がくっきりと堪能できました。

 あとは、近所のレンタルには置いてない、パリ編以降のアニメ版のみが、当面積み残しになるでしょう・・・

のだめカンタービレ 1-24巻セット (講談社コミックスキス)

blogram投票ボタン
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ
携帯アクセス解析
ビジネスブログランキング
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 
メンタルヘルスブログ 心理カウンセリングへ
にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

2010/10/31

究極の選択! 映画館でどっちなら耐えられる?

 ●ブログネタ: 究極の選択! 映画館でどっちなら耐えられる?参加数拍手

 ポップコーンは好きですし、むしろ、映画館の名物!!

 映画館にいる!! という雰囲気の大事な構成要素の一つ、「場の空気」そのものかと。

 福岡で言えば、豚骨ラーメンの店が無臭だったら興をそがれるのと似たようなものと思いますだと思います(きっぱり)

 でも、クラシックのコンサート並みに、基本は静かに観て、笑えるシーンでは大爆笑、感嘆したシーンで小さな声を上げる程度に留めて欲しいですね。

 ただ、子供向けの映画はこの基準に当てはまらない。何かと言うと「静かにしなさい!」を連発するご家族の態度の方が嫌な気分になることがありますね。

 子供はしゃべくってていいんですよ。私も、子供の頃は、「久留米大映」で「大魔神」シリーズや「ガメラ」シリーズを、側にいる父にいろいろ知ったかぶりの講釈を延々と垂れながら、興奮してみていました。「大魔神」は、観た後、しばらく夜暗くなるのが怖くなるくらいに怖かったし。

大魔神  デジタル・リマスター版 [DVD]

 一番よく覚えているのは「ガメラ対ギャオス」・・・・「ガメラ」シリーズに対する後世の評価とも一致してますよね(^^)

大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス デジタル・リマスター版 [DVD]

 そういえば、「サンダ対ガイラ」もよく覚えていますねえ・・・

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ [DVD]

 シネコンプレックス全盛になり、同じ映画を繰り返し観られた時代を懐かしいとも思いますが、軽食を取りながら観ることを前提とした作りに完全になっているのはむしろいいことかと思います。

 昔は飲み物のホルダーすらなかったわけですから。

*****

 【追記】:これを書いて、思い至って、

小野俊太郎/大魔神の精神史 (角川oneテーマ21)

を読んでみましたけど、ここまで「ずっしりとした」論考を書けてしまう映画だったんだなあと再認識。ここまで徹底すれば、仮に多少の深読みし過ぎがあったとしても敬服するしかない。

blogram投票ボタン
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ
携帯アクセス解析
ビジネスブログランキング
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 
メンタルヘルスブログ 心理カウンセリングへ

2010/10/30

のだめ様ご一同、大川、ではなくて久留米に、ついに到着(ご帰省?)!

 先日の記事でお書きした経緯を経て、千秋様のようにタクシー代1万数千円なと全く不要のまま、なぜ佐賀県に一度突入し、有明海の干拓地のまっ平らな田んぼの中の一本道に白目を向かれることもなく。

 あのちっご川(筑後川)の堤防も、うちからも500メートルしこ離れとらんっとよ! でも、あのっさい、20キロばかし上流なだけじゃけんど、結構近かとよー、のだめちゃんち!・・・・などと「大川弁」ではなくて「久留米弁」であいさつするけん。

Nodamecomicfullset


 遠かとこからよう来(き)んしゃたのお。台風ば来(き)よったけん、雨ば降らんかと、ちぃーっと心配しょったけんど、「あの日」と同じこつ、曇り空からちぃーっと夕日が差しよるけど、あんまじ寒かのうて(寒くなくて)来(き)とくれしゃって、ほんなこつよかったばいねえ。

 ゆっくり読ませていただくけんね!!

【追記】:原作の感想はこちら

のだめカンタービレ 1-24巻セット (講談社コミックスキス)

blogram投票ボタン
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ
携帯アクセス解析
ビジネスブログランキング
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 
メンタルヘルスブログ 心理カウンセリングへ
にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

2010/10/22

「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」評

すでに書いてきたように、「最終楽章 前編」も凄いと思いました。でも後編を見てしまうと、前編はもはや「前座」に過ぎなかった・・・・

●公式サイト

●予告編公式映像(Yahoo ID入力が必要です)

のだめカンタービレ 最終楽章 後編 スタンダード・エディション [DVD]

 音楽的成長という意味でも、のだめと千秋の男女関係の成熟という点から見ても、まさか、ここまで果てしない凄みと高みに向けて、これでもか、これでもかとばかりに、多段式ロケットのようにして物語を盛り上げ、そして、気がついてみると、TVシリーズと同じ光景、同じセリフが、全く違う次元で舞い戻る。

 人との出会いを真に育みあえる、永遠の別れと背中合わせの緊張のなかでの長いうねうねした道のり("The Long Winding Road"・・・なんつーて^^;) の厳しさと切なさと重さ。でも、だから人生は面白いんだ!

 ・・・千秋とのだめの深い内面的葛藤すらじっくり、鳥肌立つ域まで描きながら、飾らないユーモアと暖かさを織り交ぜつつ、すべて「包摂」できている、演出の圧倒的素晴らしさ。映像の美しさ。

 音楽の演奏それ自体の素晴らしさは、もはや言うまでもありません。後編はもはや、「世界のトップレヴェル」の演奏です。

 「のだめ」のTVシリーズから「in ヨーロッパ」を経て、この最終楽章前・後編に至る全体が、もはや日本が世界に誇るべき、奇跡のような「音楽映画」の超傑作シリーズのように思えてなりません。

*****

 なお、この「最終楽章 後編」で、たいへん重要な役割を果たしてる、ベートーヴェンの晩年の、ピアノソナタ第31番イ長調も、私が若い頃から溺愛してきた曲で、ケンプ盤、ゼルキン盤などへの愛着が高いのですが、「一枚もの」となると、アシュケナージの繊細で録音もいい演奏をセレクトしておきましょうか。

 ポリーニ盤よりはいいと思いますよ。さもなければ、ゼルキンの厳格さのある演奏を、お探しください。

 ・・・・うーん、今、聴き直したら、ゼルキン盤の優しさと孤独、厳しさのすべてを包括するスケール感の方が、映画でののだめの演奏に近いかも。

アシュケナージ/ベートーヴェン:ピアノソナタ第30-32番

ゼルキン./ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 他

blogram投票ボタン
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ
携帯アクセス解析
ビジネスブログランキング
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 
メンタルヘルスブログ 心理カウンセリングへ
にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

2010/10/20

「のだめカンタービレ」アニメ版(日本編)、丸一日で制覇!!(第3版)

 ・・・え? 前回の記事最後で書いたことと、スケジュールがまるで違うって?(^^;)

 仕方がありません。

 「最終楽章」後編のDVDレンタル開始は10/7でしたから、お店には「貸出中」の空しいケースが、ずらり並び続けていました(T T;)

 ところが、アニメ版日本編は、全8巻=全23話、置いてあるじゃないですか!!

のだめカンタービレ VOL.1 (初回限定生産) [DVD]

 こうなったら、私の、遅れてきた「のだめ」ワールド完全制覇に向けての大航海の寄港地の順序を一気に変更しよう!、という即決でした。

*****

 アニメのTVシリーズを全部の回を観るのは「天空のエスカフローネ」本放送(1996)以来何と14年ぶり(!)、ましてやDVDという形で一気に観るなんて、生まれてはじめて、しかも丸一日でぶっ通しで鑑賞完了!!・・・という、のだめの発揮する、あのピアノ練習の集中力並みの力技でした(^^)

 でも、すでに実写版は「最終楽章」後編を残して全部観て、全部ぶっ飛ぶべき傑作と感じたあとで、もうどっぷり首まで「のだめ中毒」にはまってますから、何とも気軽に、私にとっての休日の昨日(10/19)、飯と風呂だけは、のだめや千秋と異なり、きちんと中休みして遂行しながらですが(爆)、何ともさらーーーーっと、23話見通してしまいました。

*****

 裏を返すと、実写版とは少しテイストが異なる魅力があると十分に感じ、ひたすら引きこまれて行った。

 国産初のTVシリーズアニメ、「鉄腕アトム」本放送をライブで観て、高校で「ヤマト」ブーム世代=恐怖の「1960年生まれ組」アニメファンという、一番年季が入った層(しかも、かつて「アニメージュ」「OUT]の投稿常連だった超ディープ層)で、大人になって、エヴァ本、「エヴァンゲリオンの深層心理―自己という迷宮」まで出した私が、あっさり満足したということです(^^)

 もちろん、TVシリーズの予算の範囲内で作られた制約というのは勘定に入れてます。でも、それは、演奏シーンの動画がもっと流麗に「全部」動いて欲しい、という、超贅沢な不満点だけなんですね。

***** 

 演奏音源に関して、基本的には実写版の使い回し+αで確保できたという、リサイクルのメリットもあったでしょう。しかし、実写版TVシリーズの放映終了から僅か三週間も立たないうちにアニメ版第1話が本放送され始めていたと知って呆然。

 このスケジュールだと、アニメスタッフは、実際には実写ドラマを実際に見て参考にしていないことになる(茂木さんの「内幕本」で、ドラマ編の編集作業は、実際には、放送前日も、徹夜で進行していたと明言されていますので)。

 ・・・・ということは、私がこの段階で立てた仮説通り、原作そのものが実に完成度が高かった、そして、可能な限り原作のテイストをそのまま映像化するという高度な要求水準を満たしたという「だけ」のこと(でも、それは誰も予想し得ない水準の「そそり立つ壁」へのチャレンジだった)・・・というに尽きるでしょう。

 もとより、実写版の、あそこまで切れのある、当時画期的に斬新だった筈の演出のもとで、「生身の人間」(一瞬だけ人形^^;)である上野樹里さんや玉木宏の演技の才能溢れる役者魂、更に言えば、他の多くの俳優さんたちを含めて、本物の演奏家に混じって全く違和感のない「演奏シーン」を完璧に演じ「ドラマのフジテレビ」だからこそ可能な、トレンディでインパクトあるテイストで味付けられていた「凄み」のようなものは、アニメ案は比較しようもない。

 しかし、ドラマ版より結果的に長尺にでき、さらりと映像で描ける分、実写版では省略されたエピソードや登場人物まで描いてくれている(結果的に原作の演奏曲目のより忠実な再現に近づいている、実写版にはない長所もあることになります。

*****

 具体的に」原作へ忠実度がドラマ編を上回った例を幾つか上げれば:

  •  ちゃんと、ベートーヴェンの「英雄」交響曲が、Sオケの初演奏曲として出てきます。
  • シューマンおたくの私からすれば、モーツァルトのオーボエ協奏曲の前にちゃんと、我が溺愛の「マンフレッド」序曲を「演奏」してくれているだけで目の幅涙(T T)でありまする。

 「マンフレッド」序曲って、かなり通のクラシックファンでも聴いたことないままの人、少なくないかと思いますが、往年の、フルトヴェングラー/ベルリン・フィルによる、おどろおどろしいインパクトに満ちた、伝説の巨匠的「超演」ライヴ録音(1949年、ただしモノラル録音)があります。

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィル/シューマン:交響曲第4番,マンフレッド序曲

 ちなみに、神格化されている名指揮者、ヴィルトヴェングラーの私生活の実態こそ、まさにミルヒー(シュトレーゼマン)そのもの。つまり、無類の女好きだったそうで、意外にも、フルトヴェングラーこそが、シュトレーゼマンのモデルとみて、ほぼ間違いがない筈です(^^;)

 アニメ版で「演奏」されていたのは、この序曲の冒頭から2分ぐらいだけでしたけど、冒頭の、シューマンが敢えて「切分音(小節をまたいで、シンコペーションで半拍れで延々音をつなぐ、一種の「後打ち」メロディ。シューマンの作曲において独壇場の、特異な緊張感を生み出す「得意技」である)」で開始した序奏部の意図をきちんと掴んだ、よい解釈の「演奏」ですね(^^)

 (・・・なお。この「切分音」の扱いの不徹底さという点では、上述のフルトヴェングラー盤の作品解釈は、「楽譜との対話不足の(・・・・おいおい、どこかで聴いたような物言い平気で私はしてるな・・・)」、古えの巨匠だから許される、気ままなまでに特異な「のだめ」的奔放性を持つ(?)即興型のスリリングな演奏スタイルです。少なくとも千秋の作品解釈のあり方からは遠いので念のため・・・・)

  •  そして、大マジ、私が演奏曲で所有しておらず、聴いたことなかったのは、「あの」、エルガーのバイオリンソナタだけです。

 つまり、千秋の母方の叔父さんと全く同じで、「威風堂々」と交響曲、チェロ協奏曲と「朝の挨拶」、「エニグマ(謎)変奏曲」「序奏とアレグロ」までしかリスナーとしてのレパートリーはなかった。

 ・・・待てよ、千秋の伯父さんは、序曲「コケイン」および序曲「南国にて」とバイオリン協奏曲の聴取歴がない(私はCD持ってる)分だけ、私の方が伯父さんより勝ち!!・・・・クラシックCD1000枚だけは、いくら引越ししても「財産」として所持し続けて来た私ですから。

 でも、確かに、作曲年代からすれば古風といえば古風ですが、実にエルガーらしい、美しい曲だと思います(^^) いい曲知ること、できました!

  •  のだめちゃん、コンクール本選で、シューマンのソナタ2番とベトルーシュカの前に、ちゃんとモーツァルトのピアノソナタ第8番イ短調を弾いていた実際の演奏(?)も聴けて、よかったです。いい演奏ですね(^^)

*****

 そうそう、OPの絵コンテ幾原邦彦さんがお描きになったものなのですね。

 懐かしいです。

 皆様、驚かれるかも知れませんが、私は、幾原さんが監督した、「劇場版セーラームーンR」(1993年。「エヴァンゲリオン」の先駆と断言していいい「超傑作」ですね!)について論文を書き、学会発表までしてます(つまり、学会発表で公然と映像を映写しました。「学術的な発表」なので、これは「著作権に抵触」しません)。

 それどころか、その時書いた論文を「東映動画気付」で幾原さんにお送りし、幾原さん直々のお返事を手紙で頂くという光栄を得ました(^^)。

 何か、「のだめ」関連記事では、私は完全に「千秋様」化し、「俺様」キャラになってますね・・・・お許しを。

*****

 但し、このアニメ版、オーディオ的観点から言わせていただくと、DVDで視聴した限り・・・ですが、アニメ版、明らかにドラマ版と同じ音源です。

 (ご存じないのだめファンのみなさまもあるかも知れませんが、演奏シーンに関しては、既発売CDなどの「既成音源の流用」はされていません。すべてこのドラマ化とアニメ化のために新たに収録されたものです)

 それにもかかわらず、このアニメ版、実写ドラマ版の地上波デジタルの音声より、音の生々しさがかなり落ちます

 これは、DVDの方が地上波デジタルより実は音質が劣る特性を規格上もともと持つが故なのか?

 それとも、アニメ版のイコライジングが実際に「かまぼこ状」になっているのか?

  1.  更に可能性を言えば、「敢えて生々しさをアニメ版では消す」ための意図的な「音響演出」としてのイコライジングなのか?
  2.  それとも、アニメの音響スタジオ機器そものが実写ドラマの音響スタジオ機器のクオリティを持たないのか?
  3.  最後には、音響スタッフの「耳の感度」のセンスの良さの違い?

・・・・まで疑えます。

 少なくとも私は先日「パリ・スペシャル」のDVDの音を「聴いて」いる。それは非常に上質な部類と思いました。

 つまり、Dolby5ch収録でない「テレビドラマ」としては、クラシックの実際のコンサートライブのBSハイビジョンでの放送と、音質面で全く引けを取らないと感じました。

 たとえ再放送でも、最初からハイビジョン規格でデジタル収録されたソースの画質や音質劣化は、原理的にあり得ないと想定できますので、いよいよ「アニメ版の方がイコライジングが平板になっている」と推定でき、確実な失点かと思います。

 つまり、実写ドラマのほうが、アニメ版より、のだめやオケの演奏の仕上がり具合の違いが、アニメより生々しく「聴き分け」られるわけで、アニメ版はその点で、「理屈抜きの、実感を通した説得力」という点で損をしている可能性を指摘したいのです。

【追記10/10/20】:

 敢えてドラマ編DVDを試しに一巻だけ借りてきて視聴しました。同じ録音ソースの筈なのに、音の豊穣さと間接音成分の広がりが、アニメ版とは全く異次元です。

 これで、DVDソースで同じDVDプレーヤで聴き比べた以上、アニメ版のイコライジングの「かまぼこ型」的平板さは残念ながら明らかですね。

****

・・・などと、「そこまで言うか?」の薀蓄(うんちく)を書かせていただいたあたりで、私の「のだめワールド」航海日誌、第7回の筆を置きたい思います。

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(初回生産限定盤)(DVD付)

新品価格
¥2,360から
(2010/10/24 20:45時点)

blogram投票ボタン
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ
携帯アクセス解析
ビジネスブログランキング
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 
メンタルヘルスブログ 心理カウンセリングへ
にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

2010/10/15

「ぎゃほーーん!!」 -のだめカンタービレ in ヨーロッパ 前編-

・・・と、今度は、のだめ風に、ますは感嘆の声を上げさせていただきます!

(当然、上野樹里さんの声の演技を想定して下さい ^^)

 劇場版「最終楽章 前編」の次に、今度は、TVシリーズの後に制作された、いわゆる「パリ・スペシャル」前編(Lesson 1)を観る(DVDレンタルです)というのは、順序的にみると行ったり来たりですけど、私のように、遅れて来た「のだめ」ファンにとっては、これでもまだ「作法にかなった」鑑賞順序(?)でしょう。

(追記10/10/22 : 最終楽章 後編の感想はこちら

のだめカンタービレ in ヨーロッパ [DVD]

※ ↑ どうもセル版は前後編2枚組のようですが、少なくとも私の借りたレンタル屋さんでは、「前編」と「後編」は別パッケージでした。当然、後編も同時に借りていますが、前編観た段階で、「千秋様」の投げる「人形のだめ」並みに「ぶっ飛ばされる」衝撃度だったので、後編を観るのは後回しで、以下の記事を書きます。

 【注】このTV版スペシャルも、2年半以上前(2008年1月)の放送ですので、ネタバレ全開モードで書きます。

*****

 まずは絡め手から。

 千秋くんが、プラティニ指揮者コンクール第2次予選でりヒャルト・シュトラウスの交響詩、「ティル(・オイゲンシュピーゲルの愉快ないたずら)」を振った時に緊張し過ぎてオケぎくしゃくし、恐るべき「負」のオーラに取りつかれている時に、のだめが投げかけるセリフ。

のだめ:「ただ、オケの人に嫌われちゃっただけですよ。Sオケの時と同じで。音楽性より人間性」

千秋:「人間性・・・」

のだめ:「先輩って、誤解されやすいですよ。、粘着の、完全主義だから。でも、コンクールの先輩から言わせていただくと、ある意味で良かったんじゃないでしょうか。ポッキリ折れて、鼻が。人間は負けて大きくなっていくんですよオ!のだめのように」

千秋」:「(突如立ち上がり、のだめの首を締め上げながら)・・・お前ここにホントに何しに来たんだ?! 」

のだめ:「エール送ってるんですよオ!」

千秋:「どこがエール送ってるんだ? 人の傷口に塩を塗りやがって。お前だって、『負けた』と思ってるんだろ?」

のだめ:「のだめ、ジャン(注:コンクールでライバルの指揮者)に負けたと思ってないでしゅ!」

千秋:「俺だってジャンに負けたとは思ってねえよ。・・・(落ち着きを取り戻し)・・・負けたのは・・・・自分に・・・・」

のだめ:「・・・・・」

 ・・・・ここまでのセリフに、さりげなく「粘着」という言葉が入っているのが凄いです。

 のだめは、どういうわけか、クレッチマーの「粘着質」概念を知っている=原作者は、千秋の性格をそのように造形している?!

>このタイプは几帳面で礼儀正しく義理がたい。着実で手堅く非常識な面が無い。 忍耐強い性格であるがストレスを内側に溜め込み、我慢が一定のレベルを超してしまった時の怒り方は凄いものがある。 また、非常に頑固な面を持ち、自分の意志を曲げようとしないことも多々ある。まかり間違えば独裁者になりうる素質の持ち主。

>地道な努力で、一度手がけた仕事は最後まで粘り強くやり通すが、その反面手際が悪く感じられることもある。 対人関係では、信頼はおけるが面白みに欠けるタイプである。

 (以上、「アニメキャラクター分析(キャラ考)」サイト by 雪音 様 より引用。これは原典がしっかりしたものからの引用としか思えないレヴェルです)

 ・・・完全に、千秋くんそのものでしょ?

 (千秋君はマッチョ体型ではないけど)

 二ノ宮さんの考証って、半端じゃないことが、こういうさりげない所に出てます。

 やはり、以前から書いてるように、実は非常に「構築的な」クールな作家というイメージが更に強まりました。

*****

 次に、劇場版では始まって10分であっさりに「お断り」で妥協したのに、この「パリ・スベシャル前編」の中で、特に前半、のだめ(上野樹里さん)も千秋(玉木宏さん)もフランク(ウェンツ瑛士さん)もタチアーナ(ベッキーさん)も、フランス語をここまでしゃべくりまくるとは!!

 ひょっとして、ハーフのウェンツさんとベッキーさんにはフランスの血が流れていないかと調査したところ、特にそうではないらしい・・・(呆然)

 私は、大学(学部は法政)の第2外国語で、当時の日本で代表的なドイツ語の先生の講義を受けて全部「A」もらってます。哲学科でカントの原典購読していたし、クラシックファンでドイツリートも大好きですから、今でもドイツ語の文章なら、旅行会話水準の言葉("Wie geht es Ihrnen?"とか)ある程度口をついて出ますし、少なくともドイツ語の文章をいきなり読み上げて、単語の意味不明でも、やや古風かもしれない標準ドイツ語としておかしな発音は、ほぼしない自信あります("Ich-Laut"と"Ach-Laut"の使い分けまで)。

 辞書さえ引けば、今でもだどたどしくなら翻訳できる・・・今の私のドイツ語力は、単語の語彙数を別にすれば、英語力よりそんなに低くないとすら。

(英語力が立教クラスの大学院出(更にその後、「院研究生」として、不肖ながら、何を間違ったか東大です・・・)としては低すぎるだけだって?)

 恐らく、「米語」を聴く耳より「ドイツ語」を聴く耳のほうが今もいいはずです。

 ところが、全然学んでいないフランス語となると、読むこともできない(クラシックファンなのに、CD洋盤ショップで”Dutoit”って誰よ?・・・が大きな壁として立ちはだかった)。

 フランス映画を観ても、何かドイツ語に比べると「ふにゃふにゃ」した軟体動物のような声がするのを呆然と聴き、完全に字幕依存。「メルシー、ボク-」とか「コマンタレ・ブー」とかなんとかと聞こえる「音声」(「言語」以前の認識水準^^;)が頻発させるのは何だろう?ということになります。

 (閑話休題。実際に生身で遭遇すると、生粋のフランス女性(=アングロサクソン系の血が皆無と思える)の放つ「オーラ」って、ファッション以前にダイレクトに凄いですね・・・。これは、ちょっと慣れれば、アメリカ人と、「言葉を聞かずに、見た目だけで」容易に区別できるようになります)

 実は私、ドイツ語の場合なら、歌える「訳詞」でトイツリートの曲(「第9」はいうまでもなく、シューベルトの「魔王」や「流浪の民」、歌曲集「白鳥の歌」「冬の旅」「美しき水車屋の娘」の主要曲を覚えて歌い、更に原詩でもある程度歌おうとしていたくらいですが、フランス語は「超」別世界。

 ポップスやロックを聴く中で英語を覚えたという人は少なくないでしょうが、私がほんとうに熱中して聴いたのはビートルズぐらいですから、「イギリス英語」への耳はそこそこあっても、「米語」耳はほぼなしです。

 (でも、ビートルズで全曲歌い通せるのは”Yesterday”のみという情けない始末。逆に「魔王」や「白鳥の歌」からの何曲かならドイツ語で一応歌えます)。

 もとより、のだめたちが話しているフランス語は、ネイティヴよりは「日本語的発音」のものなので、聴いていてもカタカナで置き換えられそうですが、それにしても、セリフとして予想を遥かに超えるだけの量のフランス語。

 「のだめ」という作品の役者さんたちへの要求水準はかなり壮絶だったんだな・・・・と、つくづく。

 (突然ですが、来年の大河、「江」で時代劇初挑戦、しかもいきなり主役の上野樹里さん、役者として幅を広げる大チャレンジですが、「篤姫」の宮崎あおいさんに劣らぬ成果をおさめられますことを・・・)

 のだめならずとも、マジ、例えば「エヴァゲリオン」の英語版やフランス語版、ドイツ語版があれば、「スピードラーニング」私もできるかなと思った次第。

 エヴァ本、阿世賀浩一郎/「エヴァンゲリオンの深層心理―自己という迷宮」まで出させて頂いた私、今でもTVシリーズのセリフみんな覚えてますもんね(・・・そういう水準で書いた、「ガイナックス非公式黙認」を「公式に」ダイレクトに取った上での本でした^^;)。

でも、実際、海外の"OTAKU"の皆さんは、そうやって日本アニメに熱中する中で、ホントに日本語を、全く書けなくとも「耳から」覚えるらしいですから、この物語での「あの」描き方も、実は「リアル」の裏付けなしとは言えないでしょうね(^^)

*****

 さて、やっと、このブログ恒例、大真面目な「音楽(演奏)評」を書きます!

 「指揮者コンクール」とはこのようなものだということを、ここまで具体的にリアルに描いた「フィション」作品は「世界初」でしょう(=原作段階でもそうということ!)。

 私も、ピアノ・コンクールはいざ知らず、指揮者コンクールの「実像」について、ここまで勉強になるとは思えず。

 実は、このあたりは、このブログでは直前に記事として書いた、茂木大輔さんの、のだめ公式内幕本、「読んで楽しむ のだめカンタービレの音楽会」でネタ明かしされてます(ここだけ当書のネタバレお許しを)

 つまり、原作段階で、本格的な指揮者修行も経験した、茂木さん自身の監修が入っているのです。

 茂木さんご自身は、すでにオーボエ奏者として日本の第一人者を長年務められた上で、故・岩城宏之氏の門をたたき、更に外山雄三氏の指導をお受けになるなどの経験を重ねられた方で、何を今更指揮者コンクールそのものを経る必要はお持ちではなかったのですが。

 それでも、非常に謙虚な文章で、「一介のオーボエ吹き」が指揮をするに到るまでの壮絶な壁との格闘を本書でリアルにお書きになっています。

 そして、きっと、指揮者コンクールに、「オケの演奏者」の側で参加された経験はご豊富なのではないかと推察いたします)。

*****

 さて、この「スペシャル」でも、相変わらず、演奏が練り上げられるまでの音の変化や、指揮者ごとの「解釈の違い」まで、マジに実際の演奏として収録されて、使われているのですね。

 千秋の音は、ドイツのシュトレーゼマンに認められるだけのことはあって(?)、少なくともこの「パリ・スベシャル」では、正統派ドイツ風の、構築的で硬派な演奏=「黒」(^^)

 対抗馬であるフランスのジャンの音は、まさにエレガントで透明=「白」(^^)

 もうひとりの片平元の演奏も、確かに独創的! でも音楽が完全にその指揮ぶりと一致している。

 踏み込んだことを言えば(・・・以下のあたりのことは、何も参照しなくても、「湯水のように」書けるクラシックおたくです)、彼が演奏した、グリンカの「ルスランとリュドミーラ」序曲は、グリンカそのものがロシア最初の著名な作曲家ですが、「ルスランとリュドミーラ」は、実はロッシーニ系のイタリア(喜)歌劇の影響を大きく受けながら試行錯誤の中で作曲されている、ロシア初の「国民オペラ」なんですね。

 だから、実は「ロシア臭く」やると野卑に響きすぎるという自己矛盾を内包した曲であり、ここで「片平さん」が演奏しているような、軽快なスタイルだと、曲の持ち味が「本当に」出てます。名演です(^^)

*****

 次に、千秋君の本選曲のひとつである、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲

 私はこの曲には好みがはっきりしています。オケは軽快かつシンフォニック(・・・自己矛盾!!)に、ソリストも、力演だと感じさせずに、何の苦労もなく演奏しているような、クセのない演奏でないと嫌なんですね。

 そのせいで、本当は、往年の名盤であるハイフェッツ/ライナー/シカゴ交響楽団の演奏以外、本当にいいと思ったことがありません(実はハイフェッツ盤には、録音当時(1950年代末かと思う)慣例だった「曲の省略部分」があるのですが)。

メンデルスゾーン&チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

 ところが! 

 断片とは言え、コンマスをソリストとする[千秋君の」演奏は、私を十分に肯かせたのです!! 

 これには正直、驚きました。私の永遠の座標軸がハイフェッツですから!!

*****

 更に音楽面、別の観点から見てみます。

 コンクールの公演を聴いた直後の具体的感想のセリフを聞くと、のだめちゃんにしても、フランクくんやタチアーナにしても、若くして、オケ演奏の良し悪しへの「感度」が凄すぎる!!

 このへん、物語として「出来すぎ」なんですが、3人の感想そものは、実際に音になっている演奏に対して(!)、全くリアルなんですよ!

 本当に「恐ろしい水準」の「TVスペシャル」です。

*****

 おしまいに。

 敢えて細かく言及しませんが(それがこのブログの、「のだめ」関連記事の、正統派ではない、婉曲で意地悪なところ)、総合的に見ても、この「パリ・スペシャル」、ドラマとしても、コミカルなテンポ感、切れ味、TVシリーズを凌駕すらしていて、「映画」と言っても何の遜色もない。

 日本にいる登場人物たちとのコミュニケーションも、これ以上あり得ないくらいに絶妙にいい味出してますしね(^^)

 更にこの上を行く、「最終楽章」の劇場公開となっていることは「前編」だけで十分すぎるほど分かりましたので、本当に、この作品の実写映像化って、どんどん進化しかしなかった、「化け物」的奇跡だと思います!!

 まだ、「パリ・スペシャル」後編と、「最終楽章」後編観てないのに、キッバリ断言できます!!

(全部観るのは、もはや時間の問題。無理のないペスで記事化するのみです。・・・・ただし、原作の感想のみ、少し遅れる可能性があります。当サイトのAmazonアフィリエイトレポートの、最近のポイント累積傾向予測からすれば、予想では「11月下旬」です。もっとも、未着の10月分レポートで、クーポン引き換えまで「一気に」貯まってくれれば、「実質無料、全巻大人買い?」可能まで一気に累積完了!! 予想外に早まるかも)。

*****

 ・・・・・以上、「粘着質」かつ「執着気質」のあいの子で(爆)、時々「対他配慮」が行き過ぎて逆にコケるのが玉に傷の、こういちろうよりの、「のだめ」ワールド航海日誌、第5弾でした!!

 (「パリ・スぺシャル 後編」への感想はこちらをどうぞ!!

blogram投票ボタン
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ
携帯アクセス解析
ビジネスブログランキング
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 
メンタルヘルスブログ 心理カウンセリングへ
にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

2010/10/14

「のだめ本」の決定版はこれだ!!

 Amazonレビューとかでしっかり予備調査した上で、実は楽天のアフィリエイト・ポイントの方で入手しました。

茂木大輔/読んで楽しむ のだめカンタービレの音楽会

 茂木(もぎ)さんという方は、NHK交響楽団の主席オーボエ奏者を続けた後、指揮者の道も志され、著作活動も豊富、特に有名なのは、「拍手のルール―秘伝クラシック鑑賞術」という本でしょうか。

 先述ののだめ本、原作者の推薦文つきで、原作と同じ講談社から出ていますので、原作の画面も公然と引用できています。

  私は茂木さんが著作活動を本格化される頃と行き違いで、「レコード芸術」読者とかからも離れたので、この「拍手のルール」しか実は存じあげていないのですが、非常ににわかりやすく、軽快な文体でクラシック音楽の世界についてお書きになる。私が若い頃にはおられなかったタイプの著者です。

   オーボエ奏者というのは、一日中リードをナイフで削っている「気難しい」人・・・という固定観念があったのですが(音程の調整が一番難しい楽器。だから、オケの調弦のAの音は通例オーボエが最初に音をだすのです)、茂木さんって、不思議なおおらかさとユーモアの飄々とした文体ですね。

*****

 この方が「のだめカンタービレ」の原作と出会うまでのきっかけ自体が、偶発的な「運命の出会い」!!そこからの茂木さんの「行動力」がまた凄いんですが、そのあたりは本書を読んでのお楽しみということで・・・

 結果的に、茂木さんは「のだめ」原作のパリ編あたりから以降の音楽アドバイザーのひとり(あくまでも、ひ・と・り・。それ以前に原作者の二ノ宮さんは、ある、とんでもない「音楽学の大御所」を監修者として味方につけておられたのです・・・)」

 そして「のだめオーケストラ」の創設者、更に、ドラマ版の音楽監修者の一人として「全面協力」するに至ります。

 そういう、ディープな当事者の茂木さんご本人が、出し惜しみせずに、ドラマ化の裏側すら書いて下さっているので、私がこちらの記事で書いた疑問や予想の95%までは氷解ました。

 前の記事、一部私の勝手な誤解や思い込みもありましたが、敢えてその部分は茂木さんの本に基づいて修正はしないでおきます(^^)・・・マジ、茂木さんが同じ事を同じように書いておられる部分があるだけで、私の方がぎょっとしました(・・・これじゃ、自慢ですね、すみません)

 劇場版公開に合わせて刊行された本ですので、劇場版の裏話はありません。「パリ・スペシャル」までは先取りで裏話がわかってしまいましたけど、もうここまでくれば、どの程度先にネタバレ読んでから観ても、ドラマにしても原作にしても新鮮な驚きと心からの満悦しか待っていそうにないですね、私にとっては。

 ただ、ドラマの裏話はあくまでも本書のウエイトの3分の1も占めてはいません。本書2分の1はのだめオーケストラの裏話です。それはそれで、確かに「読むだけで楽しめ」ます(^^) 例によって「原作が透けて見え」ます!!

 あと、ドラマでの、モーツァルトのオーボエ協奏曲の代演は、茂木さんではないけど、茂木さんの後に入団した、超一流の後輩N響奏者だった・・・ということまではネタバレしておきますね。

 これ以上は、読んでのお楽しみということで・・・

blogram投票ボタン
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ
携帯アクセス解析
ビジネスブログランキング
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 
メンタルヘルスブログ 心理カウンセリングへ
にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

2010/10/11

"Bravo!" -のだめカンタービレ 最終楽章 前編-

 ・・・・というわけで、さっきまで、日本映画専門チャンネルで、のだめ役の上野樹里さんへのロングインタビュ-付き(内容は、すごくよかったけど、内緒^^)という形で、劇場版の前編を観ていました(^^)

 ・・・・時計の針の進みに驚きました。

 結果的にエンディングの数分前ぐらいの時に映画の中のシーン、ではなくて(爆)、私の目の前のHDDプレーヤが指し示していた時間に。

 つまり、およそ2時間の映画を見て、ここまであっという間、え! ウソ??? まだ1時間ぐらいじゃないの? ・・・・という経験はこれまで皆無でした(^^)

 実はそれだけ「密度が濃い」けど、同時に「軽やかに」映画を見た体験はなかった!! ということなんですね(^^)

 前編は、ある意味で暗い結末であるにもかかわらず・・・です。

 私は、数日前書いたように、つい先日までサガテレビでなされたTVドラマ再放送しか観ておらず、途中に当たる、「ドラマ編パリスペシャル」前後編、まだ観ていないわけですが、特にそれで不自由した感じはありません。

 色々と、原作圧縮や曲の置き換えすらあるみたいですが、やはり、まだ読んでいない「原作の凄さが透けて見える」という感慨。

 「のだめ」を追いかけてきた世代の読者と一緒に、作品の物語が描き出す次元そのものが前進したというべきなのか? それとも、原作者にそうやって物語展開をディープにするという「見通しを立てて」構築する力まであったのか? ・・・きっと両方でしょう。

 ちょっと驚きました。怖いくらいの作品です。

 のだめと千秋くんの恋模様のことじゃなくて(「敢えて」そう書きます!!)、「音楽」と「音楽家」というものへの、「等身大」の敬意みたいなものが遥かに「成熟して」描かれている気がしてならない。

 それは、色々なセリフにも現れていますが、今回はネタバレ回避します(^^)

*****

 舞台はパリの筈なのに、実際にはチェコのブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団(そこそこ著名ですよ!)中心らしいですが、ちゃんとバスーンはフランス系のもの(バッソン)を使ってるみたいですし、実は旧ボヘミア系のオケって、もともと、「純正ドイツのオケ」より重厚ではなく、音がまろやかに溶けて丸いんです。ウィーンの響きとも違う。そこに更に、「フランス風にやってくれ」という意図的な要請まであったのではないかと想像しますが、(ちょっと色彩的に、とか要請すればいい)、見事に「化けさせる」ことができてると思いますよ。

 「完成された時の演奏」は、千秋の弾き振りでの、オーセンティック(古楽器)演奏全盛の今時珍しい「ピアノでの」バッハの協奏曲を含めて、重厚過ぎない、むしろすっきり目の、実にいい演奏ですね。

 そして、確かに、玉木宏さん演じる千秋の指揮「演技」は、恐らく「役者が演じた」過去の全世界の映画の中で、一番「本物」です。

 ・・・・などと、敢えて「音楽面」中心という、少しいじわるな(?)、手短な感想にさせていただきます。

 個人的には、あの、興行収入日本記録を持つという「踊る大捜査線 2 レインボー・フリッジを封鎖せよ」の遥かに上を行く、「TVシリーズ」の余勢を勝って作られた「映画」かと。

 この映画をいきなり予備知識なしに観た人も、十分満ち足りた時を過ごせたであろうと思います(^^)

のだめカンタービレ 最終楽章 前編 スタンダード・エディション [DVD]

【追記 10/10/22】: ついに「最終楽章 後編」の感想もUPしました!!

blogram投票ボタン
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ
携帯アクセス解析
ビジネスブログランキング
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 
メンタルヘルスブログ 心理カウンセリングへ
にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

より以前の記事一覧

コメント・トラックバックについて

  • このブログのコメントやトラックは、スパム防止および個人情報保護の観点から認証制をとらせていただいております。これらの認証基準はかなり緩やかなものにしています。自分のブログの記事とどこかで関係あるとお感じでしたら、どうかお気軽にトラックバックください。ただし、単にアフリエイトリンク(成人向けサイトへのリンクがあると無条件で非承認)ばかりが目立つRSSリンク集のようなサイトの場合、そのポリシーにかなりの独自性が認められない場合にはお断りすることが多いことを、どうかご容赦ください。

最近のコメント

はてなブックマーク


最近のトラックバック

last.fm


フォーカシングの本1

フォーカシングの本2

フォト
2012年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29      
無料ブログはココログ

banner

  • 携帯アクセス解析
  • Google Sitemaps用XML自動生成ツール
  • Firefox3 Meter
  • ブログランキング・にほんブログ村へ

ブログパーツたち

  • track feed カウンセラーこういちろうの雑記帳
  • アクセス状況
    アクセス解析

カテゴリー