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2013年1月 7日 (月)

「『信』なき理解」(再掲)

, 看護のための精神医学第2版「看護のための精神医学 第2版」(中井久夫 /山口直彦 共著)についての、私なりの感想と、そこからの連想をつづることにします。

   

「『信』なき理解」
    ある種のクライエントさんはさらされている」

という言い方が著作の中に出てきます。

 まずは「この言葉が私の目にとまっただけ」の時点での私なりの感想をお書きします。

*****

「『信』なき理解」とは何か? いろいろな言い方ができそうな気がします。

   1.クライエントさんの発言や行動について、
    カウンセラーの側が、
    「理解しよう」
    「受容的に受け止めよう」
    とがんばってはいるけれども、
    カウンセラー自身は、
    本当のところは、
    クライエントさんの言動に違和感や嫌悪、恐怖
    あるいは、予後に対して不安を感じているのに、
    理解した「ふり」だけをしてしまうこと。

   2.更に、クライエントさんも、
    カウンセラーのそうした「理解ある」態度を
    「ほんとうに『真に受ける』」か、
    あるいは、
    薄々違和感や抵抗を漠然と感じていたり、
    それどころか
    「全然私の気持ちの
     大事な勘どころををつかんでもらってない」
    とはっきり感じて「いた」のに、
    面接の場のなごやかな空気を壊したくなかったり、
    不満や異論を唱えたらカウンセラーに嫌われたり
    怒られたりしそうなことへの恐怖のために、
    本音を抑えて、表面だけ「理解してもらえたフリ」
    をいつの間にかしてしまっている。
     ところが、クライエントさん自身も、
    この「ほんとうは理解されてない」違和感を
    「抑圧」してしまい、
    「自分は『十分に』理解されている」
    と思い込む方向に、
    「反動形成」、あるいは
    「理想化転移」を治療者に向けてしまう。

  3.その結果、最悪の場合、
    カウンセラーは「理解したつもり」
    クライエントさんは「わかってもらえたつもり」
    という
、     「偽物の相互理解」の「つながり」幻想
    両者に共有される

     (この「3.」項は、「藤嶽法」の創始者である、三重のカウンセラー、藤嶽大安氏が、すでに2005年の日本人間性心理学会第24回大会発表論文集(こちらを参照)でお書きの表現を拝借しました。)

  4.しかし、この「偽りの蜜月」は、
    何かのきっかけで破綻する。
    「このくらいのこと、
     もういわなくてもわかっているはず」
    と、クライエントさんも、
    カウンセラー自身も思い込んだ結果、
    ある日それが「錯覚("illusion")」であったことに
    双方が直面する、悲劇の瞬間が訪れる。

  5.これをきっかけに、
    クライエントさんはカウンセラーへ
    「猛烈な怒りと恨み」を抱き、ぶつけ始める。

  6.カウンセラーの側は、
    そうした、クライエントさんからの
    「突如の、理屈を超えた怒り」を
    ぶつけられて、
    傷つき、
    途方に暮れ、
    無力感を感じるか、
    逆に、そういうクライエントさんに
    怒りや嫌悪を感じる。

  7.クライエントさんは、この傷つきのために、
    その後別なカウンセラーに相談する際も
    最初から不信感を抱えてしまい、
    すっきりあっさりとは本音を言わなくなる
    傾向が更に強まる。

  8.医者やカウンセラーの方は、その後、
     「このタイプの」クライエントさんだと察すると、
    最初からクライエントさんに「防衛的」
    になり、「苦手意識」が強まり
    「真剣に」クライエントさんの話を聴く
    誠実さを失っていく。

  9.1.に戻る(^^;)

******

 こうなることを防止するのには、ひとつには、クライエントさんの話を「ウン、ウン」とあっさり受け止め、話させ続けるのではなく、小刻みに伝え返しをし、 カウンセラーの側の理解が何かズレていないかを、カウンセラーの側から率先してやさしく小刻みに丁寧に確認していく姿勢が大事と思います。

  「私の言うことが
   何かピント外れだと感じたら、
   あなたは決して遠慮することなく、
   クレームをその場で私につけてね。
   あなたをいつの間にか誤解したくないから、
   早めにクレームもらえた方が、
   私は心からあなたに感謝します

 これは、新しいクライエントさんとカウンセリングをはじめた早い段階で、最近の私はクライエントさんに必ず伝えます。

 そして、私の理解の誤りをクライエントさんに実際に指摘してもらえるたびに、

   「私の理解がずれていたことを
    あなたが、
    率先して言葉にしてくれたことに
    感謝します」 とすら時々言い添えます。

    これ、実は”Focuser as Teacher"で述べたことを、一般面接の中で、カウンセラーの側からクライエントさんにそれとなく促進するための、さりげない工夫であると、気づいていただける皆様、結構あることかと思います。

********

 さて、カウンセラーをはじめとする「援助職」の人が陥りやすい「形だけの受容」が引き起こす、ある意味ではより不幸で深刻な問題について、続編で論じたいと思います。

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    ちょうど紅葉の時期と見事に重なり、車窓も徒歩もひたすら紅葉の山づくしでした。このページの写真は、島根の足立美術館の紅葉の最盛期です。

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