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2013年1月 6日 (日)

「症状」こそ「自然治癒」の働き、という場合もある。 (再掲)

神田橋條治先生の"「現場からの治療論」という物語"p.56-57から、 幾つかの部分をご紹介し、 今回は、かなり詳しく、 私なりの解説と感想を添えさせていただきます。

「動物が内なる自然治癒力の活動を助けるべく、状況を設定する活動があります。その中心となるのは環境の整備と退行であり、ともに生体の活動域を縮小して、生体恒常性の営みに専念できるようにすることです。典型は、いわゆる『元気がない』状態です」  

神田橋先生は、動物が病気になったり消耗したりした時の、動物自身に備わった回復のやり方をモデルにして、人間の一番自然な回復過程とは何かを原点から問い直そうとしているのです。

 

自然治癒力の活動それ自体が病の本質と誤認されがちです」。

 わかりやすく言えば、発熱、嘔吐、炎症、下痢、疲労感、無気力、鬱状態などが、「自然治癒力の働きそのもの」なのに、それ自体が「病気の本態」であると誤認されやすく、それらの「症状」を「治療しよう」とするという「余計な人工的介入」なっている場合があるのではないかという、根本的な問い直しですね。

 例えば、激務で無理して働き続けた人が、その後かなりの長期間「鬱状態」になるのは,生体恒常性の「全く自然な営み」であり、その鬱状態を「病気の本態」としての「症状」とみなし、「鬱でなくなること」を「治療の目標として」、人為的に、薬物や精神療法で「積極治療」しようとするのは、不自然である、という発想「も」必要ということでしょう。

治療は,有益な時も、無効の時でも、必ず生体に対して有害な作用をもたらします。そして副作用として表現されるものは、もっぱら生体[恒常性]の対処反応であり、歪み自体ではありません。(中略)治療者は、治療の名のもとに、どのよう歪みを引き起こしているかについて、五感と想像力を駆使して推察する必要があります。」

 神田橋先生は、積極治療が必要なのは、人間それ自体の持つ自然治癒力だけでは手遅れになる危険があるその「勘所(得てしてごく短い期間)」を外さずに行使する、一種の「危機介入」のようなタイミングであるとお考えだと、私は理解しました。

 つまり、小さな傷なら、細菌感染を防ぐための消毒とかをして患部を保護する手当で十分なわけですね。場合によってはバンドエイドやリバテープ(九州内の人だけわかる)を何かと小さな傷に張りまくると、逆に傷の箇所が乾燥しないどころか、むしろそのバッドの部分に汚れや細菌を「増殖」させ、化膿をひどくする装置にもなる。

 白血球や血小板が傷を修復しようとしている過程で生じた痛みや発熱に「身体が負けてしまう危険がある」ような傷の状態のみに、痛み止めや、化膿防止の薬剤を最小限使うのが適切ということになります。

(例えば、前歯を抜歯すれば、縫合もしないまま、しばらくガーゼや脱脂綿を「噛んで」いるように求められはしますし、「念のために」痛み止めの薬も渡される歯医者さんもいますが、大臼歯の抜歯の場合のような「縫合」もないことが多いでしょう? 「縫合する」方がその傷の回復という自然治癒力の発動効果が高まるから縫合するだけのことです)

*****

 一般に精神医療において、薬A群の「副作用」止めのために、更に薬B群を追加することがあります。  更に今度はその薬B群の「副作用」を止めるために、薬C群を出すことすらあります(^^;;;)

   せめて「薬B群」まででまとめられない医者は、真の現場臨床経験に乏しい医者だと、ベテランからは見られていることが多いでしょう。


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    ちょうど紅葉の時期と見事に重なり、車窓も徒歩もひたすら紅葉の山づくしでした。このページの写真は、島根の足立美術館の紅葉の最盛期です。

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