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« クライエントさんの真の洞察の瞬間、カウンセラーはクライエントさんに「追い越される」。 | トップページ | 「心は更地 安らぐ表現」 -鬱とフォーカシング-(再掲) »

2013年1月 6日 (日)

カウンセラーとしてしか生きられないからカウンセラーをしているだけ?

 確か中井久夫先生がどの著作かでお書きになっていたことなのですが、

 「他科の医者から精神科に転じた医者というのはたいへん多い。しかし、精神科から他科に転じた医者というのはほとんどいない」

 私はこの言葉がずっと気になっていました。  「他の職種の社会人経験を経てカウンセラーになった人は実に多い。しかし、カウンセラーを捨てて他の職種の社会人になったという人の話は滅多に聞かない」  というのも真実な気がして。

*****

 文筆業を別にすれば、「精神科医」としての経歴もあって、他の業界でも成功した人、というのは、世界的に見ても、滅多に聞かない気がします。

 既に亡くなった指揮者のジュゼッペ・シノーポリも、精神医学を学んだ経歴はありますが、現実の臨床現場に出た経験がある、という叙述を少なくとも私は知りません。博士の学位をいくつもの分野で取ることそのものは、ヨーロッパのインテリではありふれたことですから。カール・ベームも「法学博士」だったと思いますし。

*****

 精神科医が医者全体の中で占める比率は、人数的にはたいへん少ないと聞いたことがあります。しかも、欧米の方が必ずしも精神科医のシェアが高いというわけでもないとすら。

 カウンセラーは、精神科医よりはるかに新興のprofessionです。もともとカウンセラーの実人数が人口比的に少ないから、「カウンセラー出身」の他業種でもひとかどの人材になった人のことが話題にならないだけかもしれません。臨床心理士ですら確かまだ1万数千人ですから。

 

少なくとも、「人生の達人だから」カウンセラーになるわけではない。

 それなら、当然のごとく、カウンセラーを廃業して他分野で成功して有名になる人がもっと出てきてもいいはずと思います。(繰り返しますが、著述業は除きます)

 カウンセラーとしての有能性が、その人の社会人としての適応の良さを前提としないことは確かです。

 もとより、どんな分野でも、自分の専門を離れたら、生きる術をまるで見失う人は多いと思いますので、ことカウンセラーが特別ではないとも言えるでしょう。

 でも、「大学の先生」でも「著述業」でもない形で、そして単に現場臨床への挫折感を体験して他業種に転じるのでもない形で、「カウンセラー時代」を人生のひとつのステップとして、広い意味での「援助職」以外の別な領域で生きるようになったことに自負を感じている人(有名である必要はないです)に、実際に巡り会って、お話をうかがってみたいと感じている私がいるのも確かです。

できれば、自分もそうなりたいと、私は今でも思っているのかもしれない。

 向こう10年は、「一介の現場カウンセラー」として、どこまでやれるのか試してみたいのですが。

 45歳になり、人が一生にできることは、たいへん限られたことだと実感を持って感じつつも。

 でも、ユングが「人生の後半からが真の個性化だ」、といったことも真実かな? とも、最近感じます。

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    ちょうど紅葉の時期と見事に重なり、車窓も徒歩もひたすら紅葉の山づくしでした。このページの写真は、島根の足立美術館の紅葉の最盛期です。

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