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2009/07/29

「何かを本気で学ぶためには、人は一度孤独にならねばならない」

 解決指向フォーカシング療法(SOFT)を編み出した、バラ・ジェイソンは、フォーカシングのコミュニティの中で、フォーカシングを十分に学んだ後で、解決指向アプローチの訓練を受け始めた人である。

 バラは、解決志向アプローチにおける、非常に積極的で、指示的なアプローチについて、最初は非常に戸惑うところが大きかった。それどころか、

「実際私は、フォーカシング・コミュニティの仲間たち、特にジェンドリンが、私にあきれ果てるのではないかと心配で、数年間秘密にしていたほどでした。自分のしていることを知られたら、コミュニティから追い出されるのではないかと怖れていました。
 それも今は笑い話です。このSOFT(解決指向フォーカシング療法)アプローチをフォーカシング国際会議で初めて発表したとき、フォーカシング界の仲間の多くがすでに解決アプローチを取り入れていることを発見しました。そして、その人たちもまったく同じようなためらいを感じながら、解決アプローチを取り入れていたのです。ですから、私たちは言わば、表現がふさわしくないかもしれませんが、一致に『カミングアウト』したのです」

・・・・バラ・ジェイソン(日笠摩子監訳)解決指向フォーカシング療法―深いセラピーを短く・短いセラピーを深く:邦訳pp224-5

 この部分を読んで、私は、臨床家としての自分の現状への物足りなさをバネにして、孤独の中に新たな道を模索して、トンネルを抜け、同じような孤独の道をたどってきた「同志」が実は身近にいたことに気づいて報われる思いがするところまで突き抜けて来た、バラという人の等身大の生き様が伝わってくる気がして、ある感慨を覚えた。

 このことを伝えたフォーカシング関係の知り合いが、私に紹介してくれたのが、タイトルに掲げた、

「何かを本気で学ぶためには、人は一度孤独にならねばならない」

という言葉である。

 これは、落合信彦「アメリカよ!あめりかよ!」 という本に出てきた言葉らしい。

 落合氏のアメリカ留学時代の体験についての自伝ノンフィクションとのことだが、この著作の中でさりげなく独白のように書かれている一句とのこと。

 今の時代、若い臨床家の皆さんは、四半世紀前の私の修行時代と比べると、比較にならないくらいに整備された学ぶための場を持っている。邦訳された多くの専門的な著作、ワークショップ、セミナー・・・・むしろ、浴びせられるような情報の洪水に、大学の専門課程に進めは接することができる。共に学ぶ仲間の人数も、以前の比ではない。

 しかし、早くからそうした情報や知識を「学ばされる」状況に、色々目移りしながらもアップアップしてしまい、消化不良になる危険とも隣り合わせの中におかれているのではないか。

 日本の心理臨床の世界は、すでに、草創期の、自ら道を切り開くチャレンジングでベンチャーな開拓者の時代ではなくなりつつあるといえばそうかもしれない。しかし、そうした恵まれた環境の中で、実は自分のしっかりとした立ち位置を見つけるたという実感も感じにくい、薄氷を踏む危機感とも実は隣り合わせの状況ではないかとも思える。

 ただ、既成の集団や組織やコミュニティーに埋没しているだけでは、実は今の自分が現実に直面しつつある「漠然とした、マイルドな違和感」や危機意識を直視できなくなる場合もあると思う。

 私に、上記の落合信彦の言葉を紹介してくれた人にとっては、中学生時代の座右の銘のような言葉だったという。

 私も、この言葉は、実にいい言葉だと思う。

 落合信彦については、いろいろ毀誉褒貶があるらしいが、この言葉は思わず紹介したくなった(^^)

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コメント

先生、いつもお世話になっております。
「孤独な状況」というのは、見ようと思えば心底モノが見れる状況だと、以前から思っておりました。
ただ・・・、孤独の持ち寄せてくる切なさに目が曇って負けてしまうことが多い私ですが。

余談になりますが・・・、私の大好きな小説化、村上春樹氏は「自由と孤独は闘って勝ち取るものだ」と何かの本で言っていました。

言葉って不思議です・・・。
暗示的な表現の方が、ぐっと胸に突き刺さることの方が多いです。


徒然なるままに。

かしこ


追伸:50万アクセスおめでとうございます。

 輝々さん、ようこそ。

 現実の状況の中に留まり、しかも自分の「立ち位置」を守る。それはたいへん孤独な営みという側面があると思います。

 今の自分が「甘んじている」(ある意味ではそれによって「守られて」もいる)環境からの(少なくとも精神的な)出立という側面がないと、対象に食らいついてでも何かを自分の納得のいくように「ものにする」(断じて、周囲がそれを「単に」承認するかとか、居場所を与えてくれるかではなく)ということはできない気がします。

 ・・・・それこそ、何か抽象的に響くのは承知ですが、思い浮かんだことを。

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