ウィットというものが関係の場に成立しない国、日本
●【正論】京都大学教授・佐伯啓思 「民意を問え」という政治暴論(msn=産経)
「いまの国会に足りないものは率直な議論とユーモアであり、多過ぎるものは野卑な言動である」と。その原因は何か。それは、指導者や政治家が、市民や消費者、労働者、国民、といった目に見えない集団の力におもねり、その力の前に平身低頭しているからだ、というのである。
私なら、「ユーモア」ではなくて、イギリス風の「ウィット」と置き換えるだろう。
日本の国会の論戦はこの点をなんともはやはき違えている。
麻生首相の熟語の読みの力の低さを、パネルまで持ち出して、国会の場で「テスト」しようとすることなど、これこそ大人が子供に「いじめの手本」をして見せているようなものでしかない。
日本人は、ウィットの言い方も受け止め方も知らない。そもそもウィットとは、ウィットをウィットとして受け止めてくれる相手があってはじめて成り立つものである。つまり「関係の場」があって始めて成立する。
もし、ウィットを「仕掛ける」人が、周囲にそれがウィットだと気がつかせ、相手に傷ついたとばかり感じさせずに、「こりゃ一本とられた」と感じさせ、場を和ませ、良質の「ウィット返し」を引き出すことをきっかけに、双方に真剣かつ建設的な共同作業としての議論を活性化するきっかけを作れるとすれば、そういう人物こそが、まさに真の意味での大政治家の器であろう。
そういうウィットを、単なる陰険な応酬ではなく、場の安全に守るための一種の騎士道精神に基づく交渉術、つまり、平和外交のための成熟したスキルのようなものとして受け止められるようになることこそ、真の意味でのグローバル化であることはいうまでもなるまい。
****
「北朝鮮の金正日が自らの健康状態に言及した」という公式報道がなされたこと(いうまでもなく、それがほんとうにご本人が主体的に口にしたかどうかなど問題ではない。北朝鮮首脳部が国策としてそういう国内・国外へのアピールを選択したことが大事なのだ)は、暗に、北朝鮮が、今後ドイツ統合の際と同じようにして問題解決する可能性を視野の選択肢に入れたことを示唆すると私は理解している。
(今後10年の展望としても、後継者を指名するのではなくて、当面金正日が指導者であるという体制を堅持するという意思表明でもあるはずだ)
そうした際に重要なのは、韓国は言うに及ばず、中国・日本・アメリカが、この問題の解決の上で堅く連携して、「できれば平和的かつ緩やかに社会システムを変化させ、鎖国的でなくなって行こうと模索する北朝鮮への、ロシアの軍事進入による、北部朝鮮地域のグルジア化」を断固阻止することであることはいうまでもあるまい。
幸いにして、現在北朝鮮となっている地域は、正式に「ソビエト連邦」に組み込まれた歴史が存在せず、過去の長い歴史において、実は中国や日本に屈すること以上に、北部・中央アジアやロシア側の覇権下に「直接」置かれることに対して、圧倒的な拒絶反応をしてきた長い歴史を持つ(高句麗時代を含めて、沿海州に近い辺境地域は微妙だろうが、この点では専門ではないので留保する)。
****
これから10年の北東アジア地域とロシアとのかかわりにおいて日本の政治家に必要な真の意味でのしたたかな外交能力を思う時、絶対に今後首相になるべきではない人物は、恐らく石原慎太郎であろう。彼は、東京オリンピック開催まで「東京都知事」でい続けてもらい、国政に乗り出さないでもらわないと日本ばかりかアジアの大衆にとっても大迷惑である。
よって、日本は、どんな根回しをしてでもいいから、東京オリンピックを誘致すべきである!! そのことと引き換えに、石原氏は政権への野望を未来永劫捨てるべきなのである。
なぜなら、石原氏に存在するのは、ウィットからは程遠い、ただの独裁者気取りの無神経さだからである。そこには何の「精妙さ」はない。よきにつけ悪しきにつけ、ここ四半世紀の世界に躍り出た最大の政治的才能である、プーチンと渡り合えるわけがない。
参考:●没落…新興寡占資本家 進むロシアの国家支配 (msn=産経)
金融危機の打撃を受けているロシアで、ソ連崩壊後に台頭したオリガルヒ(新興寡占資本家)と呼ばれる大富豪たちの没落が決定的になった。かつて優雅な生活や浪費ぶりで話題をさらったオリガルヒは一転、公的資金による救済を国に仰ぐ身だ。政権がこれを機に新興財閥への国家統制を推し進め、経済の主導権をオリガルヒから奪還するとの見方が強まっている。
敢えて言うが、石原政権ができるくらいならば、橋下政権が今後の日本の内政を数年支えるくらいの方が望ましい。
そうしたうちに、10年後には、新しい世代の中からこそ、ウィットに富んだ、真の政治的指導者は現れるだろう。
現在はまだ30代だったりするかも(^^)
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