治療は患者の権利であって義務ではない。
昨日の朝、長い夢を見た。その夢の最後で、関東でお世話になったある先生との対話の中で私の中に思い浮かび、自分でも得心した途端に目を覚ました言葉である。
ここでは、私はカウンセラーを生業としているのだから、当然心理療法を含むセラピー全般をまずは指しているのだが、どうも夢の中の私は、そこに薬物療法も含意していたようである。
ひろく医療全般にすら拡張してみると興味深いのだが。
*****
例えば、鬱状態を「治療する」のは誰のためなのだろう。
家族や職場などに「迷惑をかけない」ためなのだろうか?
職場復帰のための労働者としての「義務」なのだろうか?
認知症の治療は家族や社会に悪影響を与えないとことまで老人が回復する「義務」があるからか。
医者や心理療法家は、患者やクライエントを「治癒すること」(健全な生活に戻すこと)を強いるのが「正当」なのだろうか?
カウンセラーや精神科医の提起した、成熟や人格的成長についてのある具体的な到達目標を、クライエントや患者は目指「さねばならない」のか。
社会に害悪をもたらす犯罪者や、働かない人間は、「セラピー」によって改善されることを甘んじて受けねばならないのだろうか。
患者やクライエントさんは、治療者の意図する治療目標に同意し、協力する「義務」があるのだろうか?
*****
単に社会的身分や給与や休暇の保証、治療機関や治療スタッフの整備という観点を超えたところで、個々人の行使可能な「権利」の保証という観点から、治療を受けること、カウンセリングを利用することをとことんとらえてみたら、どうだろう。
ひとつの逆説として。
肉体的/精神的健康とは何かを我々は専門家から押し付けられ、それに従わねばならないのか?
あなたは、医者やカウンセラーの言われるがままに「治されねばならない」のか?
「治したい」と思わねばならないわけではない。
現状の精神的/身体的な苦悶や苦痛や差し障りを、自分なりに「何とかしたい」ので、あなたが精神科医やカウンセラーを専門技能者として「雇う」のである。
その「雇用費用」を補償したり援助したり調整したり肩代わりするために、企業や団体や行政機関やNGOが資金を出したり、専門家を「雇い」そのための場と機会を整備するのだとすれば?
.........以上、ひとつの思考実験として。
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