夢フォーカシングを開業カウンセリングルームの柱の一つとしてうまくヒットさせられなかったことも、私の心残りのひとつである。
夢フォーカシングの基本的なやり方を実践的にマニュアルとして改めて書いてみることも、関東を離れる前にやってみたいことである。
しかし、これを機会に、まずは、「夢フォーカシング」技法云々以前の問題として、そもそも、カウンセラーなら、流派を問わず、面接の中でクライエントさんが報告する夢を、面接内で役立てることは実はそんなに難しいことではないのではないかということについて問題提起したい。
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クライエントさんが夢を語った場合に、それを単に受容的に聴き、面接記録にとどめ、事例検討会やスーパーバイザーに、「この夢にはどんな意味があるのか」と問いかけるだけしかしないカウンセラーの方は、現実には少なくないようである。
たいていのカウンセラーは、見た夢の意味についてクライエントさんに面接の最中に問いかけられたら「引いて」しまい、その場ではj柔軟かつ積極的には取り扱えないという現実があるように思う。
これからカウンセリングを受けようという皆様。
意外かもしれないけども、この点では期待はずれに終わることが少なくないと覚悟したほうがいいと思う(^^;)
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はっきりと断言したいが、フロイトやユングの夢分析についての体系をきちんと学ばなくても、現場カウンセラーとしてそこそこの域にある人は、クライエントさんの夢を面接場面で生産的に活用できる。
面接場面での夢の扱いにおいて、解釈のための知識はほとんどまったく必要ないと断言したい。
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夢の意味を知るとは、夢に意味について、まるで辞書を引くようにして答えを出すこととはほとんど関係ない。
たとえば、
A:「狭い洞窟(や長い穴)をもがきながら必死にどこかに行こうとしている」
という夢を見たからといって、
「子宮から膣を通って外に出ようとしている。親離れしたい気持ち、生まれなおし、死と再生」
などという知識を単に「知っている」ということだけでは、ほとんど何の意味もないと思う。
カウンセラーは、クライエントさんが、その夢の中で、具体的にどんな気持ちで、どんな風に実感しながらその体験をしていたかに、身体ごとクライエントさんの身になって追体験して味わってみるつもりになるといい。
A1:「井戸みたいなところを登ろうとしていて、地上から光がかすかに差しているんだけど、上から誰かが土を少しずつ入れて来るのか、口のなかに土が入ってきて、ジャリジャリして、それを吐き出すだけで、一向に登れないんです」
.......とクライエントさんが夢体験を語る場合と、
A2:「私の身体は横向きみたいなんだけど、壁は何かゴムみたいで、ぬるぬるしていて、いくら前に進もうとしてもなかなか進まない。でも、私はそのぬるぬるを感じながら、少しは前に進めるかなともがいているだけでも、何か希望のようなものは感じていて、その状態が、不安というより、何か心地いいんですよ」
.......と語る場合とでは、実感の上でかなり別次元の、その時のそのクライエントさんなりの実感体験を夢の中でしていた可能性があるのではなかろうか。
いきなりその人の夢体験を、一般化、抽象化し過ぎないことである。
ここまで追体験できるためには、クライエントさんがまさにその夢の中でどんな体験をしていたのかについて更に語ってもらう必要があることが少なくないことはいうまでもなかろう。
●「その夢を観て自分ではどう思った?」
●「夢の中ではどんな気持ちでいたの?」
この水準の問いかけですら、クライエントさんに試みていないことが少なくないようにも思う。
これだけですら、夢についての更に詳細な本人の描写や、夢の中での(あるいは、夢についての)本人の気持ちが語られ、(現実のクライエントさんの状況を含めた)クライエントさんの心情の理解が深まることは多い。
また、夢を本人がどう受け止めるかそのものに、その人がすでにカウンセリングの中で語ってきた現実状況の受け止め方と共通の認知様式が見出せることも少なくないものである。
更に、クライエントさんの夢の中での体験の実感を、カウンセラーが自分の身体に呼び起こすつもりで受け止めていたら、それだけでいろんな連想がカウンセラーの中にも生じるはず。
そこから、クライエントさんに何らかの応答をする糸口が開けるはずです。
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*そういう時の、カウンセラー側からの誘発的な質問のヒント:
●1.夢の中のどの部分が一番印象的だった?
長い夢でも短い夢でも、クライエントさんにこのように聞いてみると、カウンセラー側の想像とは別の、あらすじからは省略そうな一見地味な部分をクライエントさんは語り出する場合があります。
A1:の場合だと、
例えば、
ア:「地上からさし続ける一筋の光が何より印象的でした」
イ:「その光が時々さえぎられてチラチラするのが不思議と面白かったです」
ウ:「実は光そのものではなくて、紺碧の空の色に惹かれていたことに気がついた」
(井の中のかわず大海を知らず、されど空の青さを知る.....などとカウンセラーが連想したりして)
エ:「実は口の中に入ってくる土のじゃりじゃりする感じはうっとおしかったけど、上から土を投げ入れる人らしきもの......実は姿は見えないんです......への恐怖とか憎しみとか、このまま埋まってしまうじゃないかという不安は感じていなかったんですよ」
..........などと、カウンセラーの予想外のことを言い出す可能性があります。
こうした場合、カウンセラーが自分なりの解釈のこだわりとしての「これが重要だ」という理解に固執するべきではないと思います。
そではもはやクライエントさん自身の夢体験を大事にしながら相手をしているのではなくなります。
カウンセラーは、クライエントさんの反応に基づき、改めて感じなおして味わってみる必要が出てくるかもしれません、その結果、それまで自分なりに身になって感じてみていた感覚それ自体が大幅に変化するかもしれません。
そして、仮に今述べた、エ:のパターンだったとすると、
Co:「ジャリジャリ感が印象的だった?」
Cl:「ええ、それをウザイと感じたんですけどね」
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ここで、
●ヒント2:夢の中での実感と同じような感じを現実場面でも味わったことがあるかどうか?
「夢の中で感じてたような、そういうウザさって、最近でもいいし、以前にでもいいけど、実際に感じたことありそう? ちょっと探してみるのも面白いかも」
これに対して、クライエントさんは、例えば、
「そういうウザさ........そうですねえ。ある気がする。すぐにおもいうかばないけど」
カウンセラー:「しばらく探してみたら?」
「こういうウザさか。.......(沈黙20秒)......何か言おうとすると、いろんな横槍が入るように感じるんです。横槍って言っても、その人たちは私を言い負かそうとか、押しとどめるとか、批判しているしているわけではなくて、私と関係ない話を自然に投げ出しているだけ。......そう、そういう人たちは、ごみをゴミだめの穴にポイと捨てるような世間話のつもりで話しているだけで、その下に私がいるとかも気がついていない。......そういう世間話を聞くだけで、ウザイんですよね。最初言いたかったことをそのまま口をついて出なくなって。そういう人たちを別に憎いとは思わないんだけど、それくらいで言いよどむ自分が情けなくて。なぜそういう世間話だけでウザイのかとなると自分でもわからなくて」
などと話し始めるかもしれません!
夢の中での体験が、その人の現実生活の暗喩になっていることをクライエントさんが鮮やかに語りだすわけですね。
こうなると、カウンセラーが多少更にアシストさえすれば、もはやカウンセラーのありきたりの解釈では到達不能で、ひょっとしたらそれまでのカウンセリング全体で話題にすらなっていなかった、
* 週刊誌的な俗っぽい話を耳にするだけで調子が狂う自分って潔癖すぎるの?
* 私の仕事への姿勢は純粋すぎるのだろうか? もっと「『泥』臭さ」も必要?
* 仕事にも恋にも、「清『濁』あわせ呑む」したたかさがいいのだろうか?
.......などというさまざまなテーマについて、カウンセリングが進み出すきっかけになるかもしれないのです。
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同じシチュエーションで可能そうな、カウンセラーからの別の問いかけ:
●ヒント3:クライエントさんの実感に即して、夢のストーリーを三題話くらいに要約して提案してみることもできます:
「何かを必死にやっていた。
一歩足を踏み外すとおしまいだ(奈落の底に落ちてしまう)と感じている。
何かが自分に降りかかってくるのがウザイ」
すると、クライエントさんのほうは、
「いや、夢の中では、そんなに一歩誤ればおしまいになるような恐怖はないんです。結構「踏ん張れている」なと。多少はいろいろ降りかかってはくるけど、口の中のシャラシャラがウザイ、ぺっぺっ、くらいでしのげている自分がいるんですねえ」
こういう展開でも、何も問題がない。
カウンセラーにとって、思いのほかしたたかなクライエントさんの一面にはじめて気がつくきっかけになるかもしれません。これだけでも生産的でしょう。
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●最後にもうひとつ、これはクライエントさんの対話では直接言わないとしても、役立つヒント:
クライエントさんの語るいくつかの夢を、シリーズとして捕らえてみることはいろいろな連想を生みます。
特に、内容が一見別の夢のようでも、実は共通のパターンが隠れていることがあります。
「自分が再受験をして、思いもよらないくらいにいい大学に入れた夢を見ました。学生や教授も歓迎してくれます。でも、私は、いつ、自分の能力がその大学にふさわしいものではないか、化けの皮がはがれることを少し恐れているようです」
「私は戦闘ゲームの世界の住人になっています。自分の身体にビームが打ちこまれる痛みを何回も感じているのですが、なぜか死なないでゲームに参加し続けているみたいです。幽霊になったのかな? それだけでも凄い急迫した恐ろしい体験なのに、そのゲームがバージョン・アップしたらしく、敵の攻撃が更に恐ろしい兵器に変わって行くのです」
この二つの夢の共通パターンとして、あなたは何を連想しますか?
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私が、クライエントさんが見た夢を題材にしてカウンセリングを深めるのには「知識」は要らないと申し上げた意図が、少しは伝わるでしょうか?
もっと別の種類のカウンセラーの柔軟さと感性の豊かさなんですね。
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.......なお、
この記事(第3版追加部分)には、
異次元ワープじみた余談がある。
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