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2007/08/13

朝青龍の「精神面」ケア

●朝青龍、精神面ケアの医師を一本化=大相撲(msn=時事通信)

 他の記事によれば、彼を「自宅謹慎」処分にしているわけではないことを、今日文部省に広告したそうで、私もその点では誤解していた面がないとはいえないかもしれない。

 もっとも、彼の家の前には報道陣びっしりだろうから、心身が相当不安定であれば、とても外出する気にはならないだろうし、記者会見よりも治療を優先する方向は的確だろう。

 この前ASD(急性ストレス障害)と診断した協会指定医に、今後診断と治療を一本化するにしたことは、納得できる。どうみても一人めの人の専門能力は疑わしいので。

*****

 ただ、些細なことに見えるかもしれないけど、「精神面」のケアという言葉に使い方には用心したほうがいいと思う。

 恐らく、「身体の故障そのもの」と区別する観点から、こうした言い方がなされているのかもしれない。それは想像できるし、やむをえない言い方かもしれない。

 しかし、うつ病にしろ、ASDにしろ、(今回の例では当てはまらないにせよ)統合失調症にせよ、およそ「精神だけの」病というものは多くの場合存在しない

 一見古臭く見える「神経の」病という言い方には言い得て妙な一面もある。つまり、神経系というのは、身体のすべての働きを統括しているわけで、多くの場合何らかの身体症状も随伴する。むしろ全身の症状の一部が精神症状といってもいいくらいである。

 たとえば欝状態の場合、その障害は身体機能に及ぶのが普通である。睡眠のみならず、食欲の低下(これは、この前の記事でも書いたように、むしろ、おいしいという感覚の衰弱から、むしろ過食を導き出すこともある)、疲労しやすさ、更には免疫力の低下すら引きおこす(これは、いわゆる「似非科学」の免疫力の話題とは次元が異なる)。

 そのため、皮膚に吹き出物が出たり、一度何か他の身体病を起こすと、通常よりも不可解なまでに治りにくかったり。それどころか、虫歯末期の治療において、神経を抜いた後の膿が、歯科医から見ても、本人から見ても、不可解なまでに止まらない(たとえば一ヶ月以上)ことなどありふれている。

 以前にも神田橋先生の名言として引用した、「こころは病まない」というのは、いわゆる「精神疾患」が、さまざまな「身体症状」の一面であるに過ぎないことを指していわれた逆説である。

 身体のケアがこころのケアという側面があるのである。それを神田橋先生は「養生」とよび、重篤者への心理療法への誘惑への戒めとしたわけです。こうした考え方は、中井久夫先生にもあるし、多くの精神科医がこころえているところです。

 身体までどうにも思うに任せなくなるから欝なわけです。信頼できる人との対話などは、重たい欝でもできることも多い。むしろ、そういう時「だけ」、その人なりに、一番元気になれるものだったりします。このあたり、まだ世間では「引きこもり」と「欝」の違いが浸透していない

*****

 私は、相当量の抗うつ薬の処方が必要な頃すら、ネットでは今よりも多くの文を書けていた時期があるし(ここではなくて、別のクローズドなメーリングリストですが)、カウンセリングもまったく滞りなくできていたのです。限られた時間なら.....ですが。

 おかげで、そういうさなかに、カウンセラーからも(!)「お元気そうで何より」といわれることも多くて、「なるほど、そんなふうに見えるんだ」と、カウンセラーとしても勉強になりました(^^;)。何しろ、「どうして午前中の催しには出てこないのだろう?」.......あの、「日内変動」って知りません? カウンセラーも、ある水準以上の欝の世界は、リアルには知らないんですよね。自分の体験だけに引き付けるのは間違いの元と知りつつも、やはり私の「肥やし」になっています。

 ここぞと決めた限られた時間に人と対話できる以外は、日常のことがほとんどできずに、ひたすら横たわっていないと全くもたなかったのに。

 カウンセラーとして、専門家として、自分を見つめるもうひとつの視点が冷然としてあるから、何とか自分を支えられてきたのが、私の「業」のようなものですね(^^;)。「うわあ、これが『希死念慮』か、なるほど!」....とか、冷静な「もう一人の自分」がいましたから。わずかな使えるエネルギーの配分にも、専門家的な用心をするわけで。

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