来談しているのが「クライエントさん」である 2
以前同じようなタイトルの記事を書きましたが、少し違った観点から、ケーススーパーヴィジョンの時に、思ったこと(このネタ、もう、ayuと無関係だから、念のため)。
例えば、親が鬱病みたいなので、ということで相談においでの方がいたとします。すでにその親は医療等適切な援助には一応つながっているんだけど、どう関わっていったらいいのか困っているので相談においでになった....としますね(こういう相談内容でのカウンセリングも、あり得るのです)。
こうした時に、カウンセリングの内容が、その鬱病の親御さんの状態はどうであり、親御さんにとって、どういうあり方がふさわしいのか、という方向で、面接がどんどん進んでしまうことがあり得ます。
こういう時、思い出すべきなのも、「来談しているのがクライエントさんである」という原則なんですね。
つまり、カウンセラーは「鬱病の親を抱えて困っているクライエントさん」の相談をうけているのだということを忘れないこと。親ではなくて、相談に来た娘さんが主人公であり、親についての娘さんの悩みをきいているのだ、というスタンスを見失わないことです。
「お父さんと関わる上でどういう時にあなたは困りますか?」
「お父さんと関わっていて、あなたはどういう時に嫌になりますか?」
みたいな問いかけをしていくこと(少なくとも、そういう観点を抱きながらから話を聴いていくこと)も忘れてはならないのですね。
さもないと、いつの間にか、その相談に来た娘さんを、いつの間にか、お父さんの治療者として関わる方向にのみより一層引きつけ、より一層悩ませる方向になる場合があるわけです。
例えば、上記の問いかけに対して
「......お父さんのそういう話をきいていると、私なしではやって行けそうにもないような気がして、これからずっとお父さんの面倒を私がみなければならないのかな......という気になってしまうんです。母は亡くなってるし、結婚したお兄さんは全然面倒見る気がないし、そばにいるのは私だけになるんですよね」
ここで一転して、話が、
「でも、実は最近彼氏ができたので、彼と会っている時は、お父さんのことを忘れて、気が紛れるんです」
という話になり、
「彼と結婚したら、お父さんのこと、どうしたらいいんだろう......」
という話がはじめて語り出されるかもしれないのです。
こうなると、「鬱病のお父さんと、自分の恋愛との間で板挟みになっている娘さんの悩み」
という側面が、一気にクローズアップされてくることになりますよね。いよいよ、悩みの主体は娘さん自身ということになります。
面接場面に現れていない、第3者についての相談を来談された方から受ける時、その第3者をいかに援助すべきかについてのコンサルテーションも大事ですけど、その第3者について悩んで相談に来た人の全体を見失わないようにしないとならないわけです。
精神分析的にいえば、父親と娘さんとの間の転移-逆転移的な相互作用が、今度は順送りに娘さんとカウンセラーの間の転移-逆転移的な相互作用にいつの間にかなってしまうだけに留まらないようにすることとも言えるかもしれません。

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