「フォーカシング指向心理療法」とは?
「フォーカシング心理療法」のセラピストというのは、カウンセリングのプロセスを、クライエントさんが感じている、言葉にならない「実感」(=フェルトセンス)と「照合」しながら進めるように、絶えず気配りできるセラピスト(カウンセラー)のことである。
クライエントさんには、自分の実感が求めて行く方向にカウンセリングを進める「主導権」があるわけですね。
だから、例えば、クライエントさんが、
「きのう、職場で凄い失敗をして、家に帰ってからもそのことがあとを引いて、きょうまでずっと落ち込んだ気分でいたんです」
と話していて、カウンセラーが、
「試しにその落ち込んだ気分のそばにやさしくたたずんであげることはできないでしょうか?」
という提案(フェルトセンスに触れるための典型的な提案)をした際に、
「......あの、今はその落ち込みに触れて行くより、まずは、きのう職場で何があったのかをじっくり話してみたいんですけど」
とクライエントさんが言い出したならば、まずはそのことをカウンセラーは受け止め、優先せねばならないことになる。
つまり、クライエントさんの、フェルトセンスに今は触れたくないというフェルトセンス(!)を優先するのが的確である。
こういう時に、クライエントさんに、「ほんとはその落ち込みそのものに触れなおすなんて嫌なんだけど、カウンセラーの先生が求めて来たことなんだから、そのとおりやらないと」という方向に向かわせないための柔軟な配慮ができるか?
*****
更にいえば、その後の展開で、
「昨日のような仕事上のトラブルを起こさないためにはどうしたらいいのかの対策を具体的に、(カウンセラーの)先生と一緒に考えてみたいんです」
と,クライエントさんが言い出したら、どうするか?
「なるほど、では、私とあなた、それぞれが、どんな対策が考えられるか、これまでうかがった話全体を感じなおしてみながら、探ってみるための時間をしばらく取りましょうか」
などというふうにして、沈黙の時間を数分持ち、その後で、まずはクライエントさんの対策案を言葉にしてもらい、続いて、その案の「しっくり来るところ」「しっくり来ないところ」を感じなおしてみてもらうことも出来るかもしれません。
当然、カウンセラー側の案も、クライエントさん側がそれを「しっくりくるかとうか」感じなおしてもらう沈黙のひと時をお取りすることになるでしょう。
.......このくらい、柔軟でなければならないのが、フォーカシング指向心理療法だと思います。
*****
このようにこの記事で説明してみるヒントになったのが、この本。
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