奥華子の"TIME NOTE" (第2版)
1. さよならの記憶
2. 僕が生まれた街
3. ガーネット(弾き語り version)![]()
4. プレゼント
5. 恋
6. 小さな星![]()
7. 恋の天気予報
8. 君のためならできること
9. 変わらないもの![]()
10. 桜並木
11. タイムカード
(ポニーキャニオン PCCA-2440)
「時をかける少女」きっかけに急遽購入。予備知識ゼロ。
しかし、いきなり、アルバムそのもの全体に、一聴して,見事にはまってしまった。
こういう経験は、J-POPの領域では、ayuのアルバムと
ELTのBest 2以来実に久しぶりで、私としては何とも画期的である。YUIのアルバムには、ここまで「一聴して肌に合う」感触がつかめないままペンディングになっているのとは、鮮やかに好対照。
なぜなのか?
昨日、買い物のために街に外出する時も聴き続けながら思いをめぐらす中で、どんどんそれは「論理的な(^^;)」言葉に私なりになって行った。
*****
この人は,徹底的に,キーボードの弾き語りと共に曲を作って,歌って来たアーティストであろう。
このアルバム、一つ間違うと一本調子になる危険を冒して、徹底的に、本人の弾き語りとしか思えない、キーボードによるミディアム・テンポのバラード中心でアルバム一枚押し通すという「暴挙」を、ファースト・アルバムらしい(追記:セカンドだそうですね。誤り)のに、徹底している。
ところが,現実には、この,彼女の資質にまったく逆らっていないようにみえるアプローチが、このアルバムを、まさに彼女にしか不可能な魅力ある世界へと、全くの自然体で完結させることになっている気がする。
ストリングスなどをフューチャーすることもあるが、それも補助的な彩りという程度、ほとんどの曲で、キーボードと彼女の声が、徹底的に「主役」であり続ける。
リズムをキーボードそのものが刻めるので、ドラムスを非常に控えめに、ほとんど全く使用しない。極論すれば、ドラムスを使った曲ですら、ドラムスのパートを省いても演奏に何の支障もない曲がほとんどではないか!! これは全く賢明な,実に潔い判断である。
このことから,この人は、普段、キーボード一本での路上ライブで歌と曲作りを鍛えて来た人と推測できる。
(追記:これも,あとで調べたら、アタリでした)
*****
私なりに思うに、ギターが友達だったタイプのシンガーソングライターと、キーボードで曲を作って来た歌い手は,いろんな意味で曲作りのセンスが異なって来るように思う。
ひとつは、「平均律」楽器であるキーボードには、ギターのような調弦による和声の制約というものから開放されているところがあると思う。これは,今,私自身が、調弦が必要な楽器の練習をはじめたから、より実感としてわかるようになったこと。
だから、和声の移ろわせ方が、独特のデリケートなものになる。この人は、クラシックの正統的教育もきちんと受けているな、というのも、和声進行のクセのなさみたいなものから一聴してわかる。
(追記:これ、あとで調べたらあたりでした。音大も出てるものね。トランペット科という、意外な選択だけど、そこしか入れなかったんでしょうね(^^;))
また、ギターが友達の人は、これも楽器と演奏法の性格から来るものたと思うけど、早くから3拍子系の曲を作りたくなるものだと思う。なぜって、伴奏の分散和音の演奏をしやすいからである。
ところが、彼女は、まるっきり正反対。このアルバム、3拍子系の曲がほとんどないのである。はっきりいって、この人、3拍子系の曲を、まだ作り慣れていないとすら断言できる。......無理して作らなくても、この人の場合にはまだ,引き出しに余裕がありそうだけど。
******
歌詞を聴いていると、まるで高校生あたりの心情を歌ったかに見える曲が一見多くて、「なんだ、十代向けの域を出ていないな」と感じる人もあるかもしれない。
しかし、このアルバムの最後に入っている、「タイムカード」を聴いて、はっきり、それは違うと思った。
この人、メジャーデビューするまでに、学校を出て、一度社会に出る中で、認められるまでに、それ相応の辛酸をなめている。その,生々しい痛みの軌跡が、この曲になって突如噴出している気がする。
この、ラストの曲、ライブの最後の曲として、聴衆への感謝を込めて歌ってるんでしょうね(^^)
*****
レコード会社が,今のところ、彼女の資質に逆らわない方向に育てているあたり、幸いです。
今後、下手にいじるなよ、全く。
マイペースで、少しずつ領域を広げて行けば、戦略的に「作られた」癒し系なんて目じゃないくらいの音楽的潜在力あります、この人。
この辺、クラシックがベースにある私には、ビンビンわかります。
追記:ファーストはこのアルバム。
奥華子/やさしい花の咲く場所
【追記】奥華子さんのインディーズ時代の総決算ベストバム最終作、![]()
"vol.best"がiTunes storeに載りましたね!!
....もっとも、このアルバム、インディーズ系を置いてるCDショップでは入手しやすいアルバムだったみたいですが。
でも、これで、超絶ピアノパートの隠れた名曲、
「自由のカメ」が、単独でも簡単にネット購入できるようになりました!!
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読ませていただきました。
めちゃ音楽に詳しいんですね。
いいものは拡がるんですねー。
投稿: トラブルバスター | 2007/05/03 18:28
トラブルマスターさん
ハンドルからみて、何と公式サイトのBBSの管理人さんがじきじきおいでいただきましたようで、まことに恐縮と感謝の極みであります(^^)
こういうことはayuではあり得ないことです。まったくもって慶賀の至り、本日はお日和もよく、♪祝いめでたの若松様~よ、鶴と亀とが舞い遊ぶ♪ でございます。
ともかく、聴いてみて私のNo Way to Sayな「何か」がよほど「激しく同意!!」しないと、こういうアルバムの感想をお書きする気になりませんでした。奥さん(....って、「奥さん」じゃないやい!! ....て、すでにきっと彼女にとっては超使い古されたネタでしょうけど)の今後のご活躍にを楽しみにさせていただきます。
お仕事がんばってください。
投稿: こういちろう | 2007/05/03 21:52
読ませていただきました、
すごいですね、
漠然と、モヤモヤ思って(感じていた)華子さんへの感想が、文字になっていた。
という感じです。
ちゃんと裏づけされているところもすごいですね。
是非、路上ライブを見ての感想もお聞きしたいし、
ホールライブも、感想が聞いてみたいです・・・。
投稿: asuka | 2007/05/04 01:19
asukaさん、ようこそ。
ファンになってまだ48時間経過していない(^^;)私が、何がずっとファンなさっていたみたいな皆さんにアルバム評をほめていただけると、もう無茶苦茶くすぐったいといいますか。
逆に言うと、こういう、まったくあたりまえのはずの観点から「まっさらに歌を聴いて」、評価していくみたいなアルバム評が、音楽関係のマスコミで見失われているのかな.....と心配。
結局のところ、歌手は「売り出して」「作る」ものではない。いや、作ることはできないと思ってます。聴かれるようになる歌は、結局作った人、歌う人のパワーが伝わるかどうかだけだと思います。
多くの人に聴いてもらうきっかけとして、今の時代はドラマやアニメやCMとのタイアップというのでやむを得ないけど、あとは聴いた上で「体感」できる持ち味とは何なのかを、ストレートに言葉にしていく人が増えていき、それが別の実際に聴いている人の感性の琴線にも触れるコトバになる....という形でどんどん増幅していくことでしか、深い次元で歌が「広まる」ことはないと思う。
そして、そうした聴き手たちの「感性を通した」コトバにアーティストも元気をもらい、何かが「通じた」と感じて、それを自分のエネルギーに変えて、更に自分の境地を、自然な形で深めることに結びつくという、いい形での相乗作用が進むものなのではないかと思います。
特にそれは、彼女のような、エキセントリックさは微塵もない
「聴かせる『本格派』」
の場合はこの点が何より決定的かと。
遠からずライブのお姿にも接してみたいですね。
ayu様だと、仮にスゴク近い席に当たっても、遠すぎて遠すぎて(爆)
投稿: こういちろう | 2007/05/04 03:22
自己レスです。
ついに奥華子の曲たちがiTunes music storeに登録されました。このアルバム"TIME NOTE"は、天性の歌姫の傑作であることを味わうベストと思います。
投稿: こういちろう | 2007/09/29 16:18