フォーカシングとトラウマについての記事がTFIの日本語版WebSiteにupされました。(第2版)
こちらです。
欧米のフォーカシング実践家の間では、フォーカシングのトラウマへの適用は大きなムーヴメントになっています。日本にもこの問題に真っ正面から取り組んでおられる方は少なからずおられますが。
ここで紹介された記事は、そうした臨床実践のレビューとして有益だと思います。
この記事の中でも、
> クライエントは、セルフ-自己-のために、『好奇心』と尊敬と思いやりをもって回復過程へと進むことができるのである。
> 相手に権限を任せること
.....と書かれていますね。
私はトラウマの専門家とはとても言えませんし、手前味噌ですが、先日、鬱状態のクライエントさんへのフォーカシングへの適用の一般原則について私がお書きした内容に通じます。
日本では鬱状態のクライエントさんへのフォーカシングの適用は、困難度が高く、もっぱら「距離を取る」「置いておく」技法のみが重視される流れにあります。しかし、私の経験では、フォーカサーに好奇心と能動的関心を呼び起こし、日常での小さなアクション・ステップ(行動変化を伴うステップ)をみつけだすことそのものを「ゲーム感覚で」探求してもらえる主体としてふるまってもらえる方向に導けると、結構「正攻法」でも通用する、と思うようになりました。
「受け身でいるしかない圧倒的体験」であるという点では、鬱状態とトラウマには共通項もあるかと思います。
*****
もう一点述べれば、今回ご紹介したレビューでも書かれていますが、トラウマ体験は「凍り付いた」体験様式の元に置かれていることが多い。つまり、以前ご紹介した、「凍結した全体(frozen whole)」.....フェルトセンスとしての「暗黙の細やかなディティール」を感じられない次元に深く根を下ろしてしまっていることが多い。
それを、単に情動として「無理に」発散させるのではなく、
1.いわばろうそくの芯に灯がともった(言語化、イメージ化、ぴったりのポースなどによる「象徴化」)の結果として、徐々に液体の「ろう溜まり」(フェルトセンスとして体験可能な曖昧で微弱な感覚)が生じ、(「推進(carry forward)」
2.今度はその「ろう溜まり」の液体の蝋が暖められた結果として、少しずつ固体の蝋(「凍結」した体験)の部分が緩んでいく(=「再構成化(reconstituting)」)
.....のと同様の、地道で無理のないステップの刻みが必要なのだろうと思います。
あるいは、セラピストとの関係性の<絆>と、安全な「抱え」の構造、クライエントさんの自発性・自立性を尊重することそのものが、暗々裏のうちに「再構成化」を進展させ、それまでフェルトセンスとして感じる潜在性がなかったものを「緩めて」、少しずつ、辺縁(edge)で「感じ」やすく、そして「そこ」に注意を向け、その存在を「認めてあげ(acknowlegde)」やすい方向に「自然解凍」して行くとも言えるかもしれません。
*****
最後に、この記事の日本語訳をプロデュースして下さり、その訳のアップロードとをfocusing-netにお知らせ下さった、日本フォーカシング協会のTさんと、実際に翻訳されたOさんに感謝申し上げます。
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