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2006/11/15

身体の中のneutralな感じの部分を大切にするとフォーカシングは楽に進むことが少なくない -フォーカシングのコツシリーズ 1-(第2版)

 そもそもフェルトセンスとは何か?

 「何か気がかりな事柄についての漠然とした曖昧な言葉にならない感覚」

というのが一番古典的な説明でした。

 この、フェルトセンスとは何か?

 私は「フェルトセンスを」感じているのか?

.......ということに初心者の皆様は得てして振り回されます。

 私は、何とアン・ワイザーさんが日本に来日される(1994年)に先んじて、すでに、1990年の段階で

 「自分の日常や状況や存在のあり方と、何か、(somewhat)、どことなく(somewhere)、何となく(somehow)響き合っているかのようにも漠然と感じられなくもない気分だとか居心地だとか身体の感じ『のようなもの』」

.......であればフェルトセンスとみなしていい、という、ある意味でアバウトな定義を公式に表明した日本で最初の人間であります。

研究業績一覧参照。1990年の3本の合計著作・論文で言及しています)

 身体の感じそのものとの直接の関わりを大事にし、ボディワークをフォーカシングに取り入れるという試みは、当時「東京フォーカシング研究会」と呼ばれた、白岩紘子・井上澄子・川村玲子(故人)という3名の先生が独自の形で既に展開していて、私も大学院1年目まで、2年ほどその場に参加させていただいていたのですが、当時はこのアプローチはフォーカシングなのか? ということそれ自体論争になっていました。

 私は、身体の外側からアプローチするものとしてのボディー・ワークには、いい体験でしたけど、積極的な関心までは抱いていなかったのです。私は当時から生意気にも「独立学派(中間学派)」であると自称している、ひとりフォーカシングにこだわる人間でした。

 そして、ただの身体の感じとフェルトセンスの違いに拘泥することそのものが、何かフォーカシング学習者を戸惑わせるばかりで、「ただの身体の感じ」であるかに思える感覚でも、それに触れていけば、そこからいくらでもフォーカシングに持ち込めるチャンスは自然と何回もめぐって来るんだから、と、そのへんで論争になること自体、内心はため息をついていたのであります(^^)

 私が、「昼食後だからおなかが張るに過ぎない」と自分で主張するフォーカサーの方とすら、そのおなかの感じを出発点にしてフォーカシングのガイディングをして、ご本人も私も驚くような、その人の抱えた子供時代から現在の対人関係にまで通底していた問題についての連鎖反応的気づきに結びつくセッションが、初心者のフォーカサーでも遅くとも2セッション目で可能なことすら少なくないことを、かなりありふれた現象と思っていることは、既にこのブログのこの記事で実例と共に詳しく述べたとおりです。

 そして、身体の感じに注意を向けることが「順調に」進むと、「身体感覚の局在化」現象が進行する、ということも1990年に論じています。つまり、不快だった感覚それ自身が、「自ずから」次第にその領域を狭め、いわば「コア(核)」の部分へと濃縮されて行き、感じの質としては「更に」鮮明かつ細やかに感じて来るのに、同時に楽に抱えていられるようにもなる、という現象を見いだしていました。

 そして、裏を返すと、身体の中のいろいろ気になる感覚を、ゲンシュタルト心理学でいうと「図(figure)」とする形で浮かび上がらせている「地(ground)」の部分の感覚、つまり、身体の感覚として注意を向けられていなかった部分の、それまでneutral(中立的)だった感覚や、それどころか実は「いい感覚」ですらあった部分を、敢えて、図と地を反転させて(!)感じてみようとすると、不快な身体の感じの局在化は自然と進行し、適切な距離が見いだされることを、自分のひとりフォーカシング体験の中から気がついていました。

 さらに、自分の気になる、得てして不快な身体感覚に関わる際には、そのneutralな部分の方に意識の「居場所」をおいて、「そこ」から、いわば身体内に幾つか島のように点在する感覚を「見やる」、あるいは時々その局在化された感覚の表面にセンサーを伸ばして時々タッチするぐらいのつもりで注意を向けるといいことに気がついていました。

 それは、その頃村瀬先生から入手した、Mary MacGuireの境界例水準のクライエントさんとの関わりで"solid place"......「確かな居場所」とでも訳しましょうか....を見いだし、そこから関わりづらい感覚と関わるやり方と、発想が重なることに気がついたわけです。

(マクガイアは、そのクライエントさんの過去の「たったひとつの」いい思い出をありありと想起して感じてもらうことで、クライエントさんに"solid place"を見いだしてもらったという点で、「時間軸」上に求めたのに対して、私は身体内感覚の「空間軸」上に見いだ点に違いがあったのですが、実は共通の観点が含まれていると思いました。これは、感じと単に距離を取るというより、身体感覚自体としてのdisidentificationを生み出すと言うべきでしょう)

 確か私が池見陽先生から、「アン・ワイザーというトレーナーが最近言い出していることと君の技法に似たところがある」と聞かされたのは、1991年だったはずです。

 アンが実際に来日する3年前でした。

 この、"neutaralな感じの場所も感じられる?"という言い方、私をガイドとするセッションの体験がある方には、おなじみな、私秘伝の「隠し味」です。

 ただし、この教示は、さりげない「誘いかけ」であるべきであり、下手に「狙いすまして」強迫的に使うと、うまくいきません!! 

 フォーカサーの「身体」が、ガイドである私からの「操作」に反逆しますので!! この反逆は、全く自然かつ健全な、フォーカサーの「心身の」営みです!!


 ガイド(トレーナー)は、

「フォーカサーに『うまく』プロセスを『生じさせよう』」

という、ガイド自身の

『我欲』

に屈してはならないのです!!


 それから15年以上、なぜか、いまだにこの教示のまねをする人とは、私は直接出会ったことないんですが(^^;)
 
******

 もうひとつヒント。

 「フォーカシングするのは、自分にとって楽な姿勢なら、立ったままでも(!)、横になってでもいい。「中途でうやむやなままに眠り込んで」も、「ただ単に寝ようとして眠る」よりは暗黙のうちにプロセスが進み、寝覚めがいいことが多いので、寝てしまったことを後悔する必要はない」

 ......どの文献か忘れたけど、これまた、1990年までに、既に私はどこかで書いていた筈です(^^;)


 
*******

 この当時、私はアニメ雑誌の読者投稿常連でもありました(^^)

 その後、実際にアンの初来日時に、いきなりアンと意気投合し、そして更に、私の人生経験と臨床経験のための年月が流れたのです(^^)
 



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コメント

 第2版では、初版の内容だけでは誤解されかねない側面について、補足.改訂しました。

 重要な補足ですが、このことについては、この後更に書くつもりの内容によって更に補完されて行くと思います。

 

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