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2006/10/19

オランダという国が、驚くべき「合理主義」「自己責任」の国であるということ(第2版)

 オランダという国は、プロテスタント中心に当初国が築かれ、国土も干拓による人工なら、国民も亡命者や移民を大量に受け入れる人工国家で,極度に個人主義的な歴史を持っているせいか、スペインからの独立を勝ち取って以降、常に近代の最先端を、良きにつけ、悪しきにつけ、走ってきた国です。

 東南アジアにおける植民地支配の問題は、戦後のインドネシア独立まで、後味の悪いものを残しました(そしてオランダの戦後の国力を一度一気に疲弊させたようです)。

 しかし、日本が鎖国の時代も、直前の島原の乱に幕府側に援軍するという駆け引きを経て、ポルトガルを追い出して、「出島」という長崎のたいへん小さな「人工島」=「人工極小植民地」(明治以後、周囲がみんな埋め立てられて、長崎市街地の中で、その形態の一部が川筋にわかるだけになっていたということは、長崎観光した人なら知らない人とはないでしょう。後日調べたところ、今や「出島再現プロジェクト」がどんどん実現されているとか......)にのみなら居住することが許されるという、日本を脅かさない絶妙の条約によって、日本と西洋との交易を「独占」し続けることができた、唯一例外的な西洋の国として残った。

 そのあたりに、地理的には小国であるオランダが、イギリスやドイツ、フランス(その後一度オランダを占領しましたが「併合」には至らず)、スペイン、ボルトガルを向こうに回して、通商国家として独立を保ちつつサバイバルする「合理主義性」が現れています。

*****

 ある意味では、香港は条約の期限切れをきっかけに手離しても、未だにスペイン側の「ジブラルタル」という海外領土には結果的に固執している、イギリスの方が、ある意味では意固地なまでに、近世はじめと同じ「制海権」に固執している。イギリスの通貨のままで、イギリスの海軍基地で潤う現実で、住民投票の「投票数」を維持し続けているだけともいえます。スペインは今やバスク地方の自治をあそこまで認めているくらいなのに。

 (後日記:もっとも,スペインもジブラルタル海峡の反対側に「セウタ」という領土をもっていることを私は知りませんでした。アフリカ人のヨーロッパへの密入国の拠点とか。いやはや.....)

 本からの知識や滞在者の話を伝え聞く限り、いかに植民地時代の暴虐な海外支配の歴史を背負っていても、イギリスの風土と国民性は大好きだし、ウィニコットを生み、バリントに活躍の舞台を与えた、精神療法史上の業績は決定的だし、イースト・アングリア大学のバートン先生と、彼が率先して生み出した、パーソン・センタードの、今やロジャーズを生んだアメリカにすら存在しない域の専門家教育システムは画期的ですけど(^^)

*****

 それはそうと、オランダの話に戻ると、「アムステルダムの『飾り窓』」といえば皆さんもご存じのように、オランダでは、売春が国営です。そのようにして、性病やエイズの危険を含めて厳重に国家管理し、「裏の世界の人間」と切り離す方が、売春婦自身や、国民全体のため、という、驚くべき「合理主義的」発想の制度が議会で可決されて、実行され続けてけています。

 これは、カトリック系住民があまりいないからこそ実行できたことでしょうが、日本の北端と南端の距離感覚でいえば、「国内旅行の距離」に、バチカン(ローマ法王庁)はあるわけです。こういう「地政学的」政治のあり方って、日本では想像できない距離感ですよね。

 もちろん、国内にもこの法制化に「違和感」を持つ人はたくさんいるでしょうが、売春婦自身と、性病やエイズ感染の危険,国民全体の利益、そしてそれでも売春する人は「自己責任」の人しか残らないはず、という観点から、「理性的に」受け止めているのでしょう。

****

 もう一つ、「飾り窓」ほどには知られていないのは、麻薬の合法的な「喫煙」が認められている種類の範囲が、欧米先進国で最も広い国(のひとつ)ということだと思います。

 これは、私、昨年、カナダのトロントでのフォーカシング国際会議で、「フォリー」という余興の会でのオランダからの参加者(私と同じ国際認定資格を持つ、立派な臨床実績を持つ、年配のコーディネータの著名な先生すら含む)の寸劇でさりげなく演じられ、その時、日本のフォーカシング教師として有名な○○さん(本人の許可いただいてないので、匿名!)から、現場実況中継で「解説」してもらって、私もはじめて知ったことだったりします(^^)

 これでは、オランダでは、麻薬が高価にもならないので「組織」の収入源になりようがない!!

麻薬をたしなむことですら、「自己責任」の国、それがオランダです!

*****

 ところで、フォーカシング国際会議での、このフォリーという催し、ほとんど「学芸会」といいたくなるくらいに、各国の参加者が「凝りまくり」ます。日本人グループも、休み時間に顔を合わすと、それをどうするのかについての、参加者間の「稟議(りんぎ)」...といっても、何ともイージー・コーイングで、ケ・セラ・セラ(=なるようになるダバないダバさ)な「稟議」でしたが....が重ねられ、気がついたら、私は、いつのまにか乗せられて、日本の「応援団長」の再現をやることになった。

 しかも、中学時代に生徒会で応援団員やらされた実体験あるから、フォリーの「本番」の「舞台の上」では、日本からの参加者すら驚愕させる、応援団長本来の「本格的な」声の出し方でやって、「日本の男性って怖いんですね」という誤解を、国際会議的に(?誤字にあらず)振りまいたのが、他ならぬです


 こういう時に、当時まだ身体のためにアルコールやめていたままの中でも、下手に恥ずかしがらないで、「本気で"playing"できる」あたりに、私に英会話力以外の秘めたる国際人としての可能性が「すでにあった」(???)ことに「自分でも目覚め」はじめたわけですが。


 (これについては、門外不出の、貴重なビデオによる歴史映像資料が関西の某大学研究室に保管されているとのこと)

******

 そういえば、トロントの街中でひとりで探索した時も、ちゃんと「指定された喫煙スペース」で煙草を吸っているだけでも、怒鳴ってきたり、数名で明らかに陰口を始める人たちはいました。"smoking"って単語をあそこまで連発されれば私でもわかります。驚くなかれ、チップをけちったせいか、他にも私が店に入る前から悠々と煙草を吸って座り続けている人がいる飲食店の喫煙スペースで、

「あなた、あと10分ね(You are after 10 minnits!)」

という、さすがに私もわかる、凄い言葉を、ウエイトレスさんから浴びました。カナダ人はアメリカ人よりかなりソフトな国民ときいていたのですが。

 私は「分煙」には賛成です。だから、東海道新幹線で喫煙できるのが、グリーン車1両を除くと、両端の4両にまでなってしまったのは自然な流れと受け止めています。吸いたければ喫煙車や喫煙スペースまで歩くし、「喫煙車」でも、子供が乗っていたら遠慮するし、となりに座る人がスモーカーでなさそうな時は「吸っていいですか?」と声をかけることまでします。(これが、がらがらに空いたこだま号の自由席喫煙車しか原則的に乗らない、という、この前の「こだまセラピーの勧め」の記事で必ずしも強調しなかった、ひとつの理由です。

 でも、「喫煙の本人への害は自己責任」という立場です。

*****

 それにしても。過去、「禁酒法」を敷いたと思ったらマフィアをのさばらせ、未だに「銃を自由に買える」ことには多くの州でこだわったり、今では喫煙者や太り気味というだけであざけりの対象となるアメリカって国の国民の過半数が未だに浸る、子供みたいな「正義か悪か」のalternativeさって何? っていいたくなります。

 食生活が戦後急激にアメリカナイズされたばかりに、和食を離れ、脳卒中と心臓発作のリスクが昔より高くなり、その意味で動物性の油分の取りすぎに用心すべき日本人とは異なり、体質的に、肉食中心文化の欧米人は、「中年以降、一気に太ることへの身体的耐性」が高い人が、比較的多い筈なんですが。

 どうも、いわゆる「アルカイダ掃討のための軍事行動」は、9.11後、初期の段階から、ブッシュ自身というより、外交に弱いフッシュ大統領の足元をみて取り入った、「とりまき」の二人の政治家(副大統領と国務長官だっけ?)が、ニクソン政権、父ブッシュの頃から営々として築き上げた、政治的実権を最終的に掌中にしたいがための、「シビリアン・コントロール」の次元での実権掌握の際の情報操作が原因で、それは、クールに「テロ撲滅に軍事力が必要」と考えるCIAの特殊部隊を指揮する首脳たちからしても、「全く見当違いの形での軍事作戦」の展開という「理不尽」になっていたらしい、というドキュメンタリー「“テロとの戦い”の真相」は、つい先日たまたまNHK衛星放送で再放送で見ました。(こちらも参照)

 実は、その日の晩、私は、「心理臨床学会第25回大会」で大阪にいた!!

 「台風がそれるといいですね」と、懇親会の最後に倉戸大会準備委員長に挨拶した後、台風の進路を気にするあまり、「珍しく」ホテルに帰り着くなりテレビをつけたら、台風情報に続いてこのドキュメンタリーの再放送をやっていたわけですね。

 その「前編だけ」、と自制したのですが、「前編に関しては」思わず見入ってしまい、その結果余計に睡眠時間が減った。

 その結果、翌朝、強引に目覚ましで起き上がって、午前6時のニュースを見た際の、天気予報と学会参加についての「的確な判断力」が失われた.....。しかも疲労困憊していたので、そのまま、何と、フェルトセンスのお導きのままに、難波から近鉄の名阪特急で近鉄名古屋まで「完璧に爆睡」して、少し持ち直し、「名古屋始発のこだま号」に乗り換えた後に小田原で乗り越す心配を「事前に軽減した」形で、小田原乗り換えで大船に帰った.....

......ことの真相とは、これくらいにシミュレーション不能な、小さな「偶然」と私の「体調優先」の積み重ねなのだ。

******

......ということで、msnエンターティメントの、"THANK YOU FOR SMOKING(邦題「サンキュー・スモーキング)"という映画についての記事、たいへん楽しく読みました(^^) 「スピンニング」っていうんですね。情報操作のことって。

 そして、ウェブ版毎日新聞の、ネットに関するこの記事には、ちょっと言葉がない........

******

 わかってるの?某サイトの「..........さん」。

 ある人が「見た」「聴いた」現実は、現実のほんの一部分の、勝手な自分に都合のいい拡大解釈ということはいくらでもあるということ。

 それが『スピンニング」ではなくて、「純粋かつ独善的な正義感」の産物だとしても。


 臨床心理士として、自戒を込めて。

*****

 日付変わって、今日は定休日ですから、ここまで書いてしまった.......

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コメント

 ウィキペディア等を参考にして、だいぶ肉付けしたので「第2版」としました。

 それにしても,オランダというのは、ある意味で欧米文明が生み出した最も高度に「進化した」形態の社会を築いているともいえます。それは、国の面積も人口も小国だから可能だったともいえます。

 しかし、逆に言うとあまりにも「合理主義的な」国であり(さすがデカルトを育てた国)、曖昧性の排除を徹底した国と感じます。住みやすいと感じる人と、まるで逆の人があるでしょう。

 そして、感性や感情・身体性と、知性・理性との関わりをどう主体的に統合して行くかという課題が大きくなり、フォーカシングの有能な専門家をたくさん輩出しているのも、全く自然なことと思います。

 西洋を考える際に、その「影」の部分を,現在一身に背負い込んだのがアメリカとするならば、「光」の部分を体現する国家といえます。

 私たちは、「西洋」を眺める際に、アメリカと同じくらいにオランダという国をよく知り、「体験」する必要もあるのかもしれない。2つ選ぶならこの2国かも。オランダに生きるということの「生きづらさ」を含めて。

 カナダはアメリカと国境を接しているのに、ある意味で凄くヨーロッパ先進国的で、だからこそ私は昨年の10日近い旅の中でなじめた気がします。

 その意味では,今年(2006年)のオランダでのフォーカシング国際会議に出席する資金がもはやなかった(^^;)のは残念。

 でも、この国は,今後確実に,カナダとならび、フォーカシングの「最先進国」の一つとなり、今後数年に一度国際会議も開催される気もします(^^)

 

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