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2006/10/02

薬物療法より精神療法の方が「高尚な」ことである、という誤解

 前の記事の改訂第3版で、

> 薬の配合だけで、
> いわゆる「健康な」状態と同じ状態を作れる
> というのは全くの「幻想」ということです。

という一節を付け加えさせていただきました。

 これだけでは「更なる誤解」を与えかねない....とも感じましたので、以下のことを述べさせていただきます(^ ^)

*****

 私は、上記のことを薬物療法への批判として書いたわけでは決してないのです。

 それどころか、

 「下手な」カウンセラーに
 毎週、1時間、何十回も通うよりは、

 「経験深い」精神科医だけに、薬物療法併用の
 10分間診療で、2週から4 週に1度、数ヶ月通う方がよい場合が多い、

断言したいと思います!!

*****

 これは中井久夫先生や神田橋條治先生の著作に繰り返し出てくる指摘なのですが、いわゆる「こころの病気(私はこの言葉は基本的に好まない、と以前書きました。いわゆる「統合失調症」の妄想状態ですら、だれでも生涯繰り返して「2時間ぐらいずつ」は経験している筈、と中井先生は示唆していたと思います)に出されるお薬の効き目は、純粋の薬理学的・生理学的作用のみでは判定不可能です。

 その薬を出すお医者様の患者さんへの応対のありようと、薬の薬理効果が、ワン・セットになったものなのです。

 このことを、バリントという精神科医は、「医者という名の薬」と名付け、中井久夫先生はこれらの効果が半々ぐらいと思いなさい、と、精神科医向けの著作で繰り返しておられます。

 ....と言っても、ここで私は、個々の患者さんの「体質差」のことを申し上げようとしているのでもありませんし、いわゆるプラシーボ効果(薬そのものの効果ではなく、薬を飲んでいるという安心感がその人を癒している)のことを申し上げようとしているのでもありません(^^)

****

 はっきり申し上げます!!

 もし、「1時間の」カウンセリングやセラピーの方が、「10分の」問診と薬物療法より、何か「高尚な」ことであるかのように考えている、精神科医やカウンセラーがおられたら、私はクライエントさんにお勧めすることはいたしません!! 
 
 本当に「現場臨床」の修練を積んだ精神科医の「2週」に一度、10分の問診は、「平均的」カウンセラーの「毎週」1時間のカウンセラーのカウンセリングやセラピーほど「害はない」!! ....とすら!!!

 (これを、病院の「付属機関」ではない、開業カウンセリングルームのカウンセラーである私が「敢えて」言わざるを得ないこと......完璧に「自分の首をも絞める」かに見える発言ですから!.....に、読者の皆様があっけに取られるのを覚悟で書いています!!)

 いわゆる、カウンセリングや心理療法の方が、「深く」て「高度な」ことである、と言い出す専門家は、「身の程知らず」であると申し上げたいのです!!

 一番信頼ならないのは、

「あなたにはセラピー(カウンセリング)が『必要』です!!!!」

と、自信を持って言い放つ精神科医やカウンセラーです。

 こういうカウンセラーのクライエントさんに限って、新しく通い始めた精神神経科の病院で、

 「以前、○○セラピーを受けていたのですが、むしろ症状がひどくなってしまって」

などと愚痴をこぼされ、「精神医療業界」に、

「だから、臨床心理士のカウンセリングやなんて、役に立たない『気安め』なのさ」

という悪評を振りまいていることが少なくありません(^^;)


 .....もとより、そういう悪評を立てるお医者様の多くは、患者さんの多くに「いつまで通院しても、症状変わらない」と内心思われていたりするものです(^^;;;;)

*****

 要するに、薬物療法と精神療法を、同じはかりにかけて『優劣を論じる』ことほど『空しい』ことはありません(^^;;;)

 「医療」と「カウンセリング」の『優劣の比較』も無意味です。

*****

 ちなみに、心理療法においても、例えば

「『精神分析』よりも『認知行動療法』の方が優れている」

などというような、一般論としての流派間の比較は無意味なんですね(逆に入れ替えても同じです(^^;))

 私は、薬物療法を主とする精神科医の方も、狭義の「精神分析」系の先生も、「ユング派」の先生も、「ロジャーズ派の」先生も、「行動療法の」先生も、そして「フォーカシング」の先生も(^^;)、あるいは「何派」も表明されない先生も、優秀な占い師や「近所のたばこ屋のおばちゃん」ほどにも助けにならないことは、ありふれていると申し上げたいのです。

 そのことに「謙虚な」専門家のみが専門家としての資格がある、と感じています。

 そして、「実際」そういう感じ方ができている専門家の方々こそがクライエントさんにとって、「親兄弟や同僚や友人や恋人」では得られなかった」相談相手、援助者(^^)としての「真の」専門性の持ち主なのだと思います。

 その理想像の体現者として、「例えば」、中井久夫先生と神田橋條治先生がたどり着かれた境地がある、少なくとも、これらの先生が『理想』として指し示した方向を、私たち、後継世代の専門家は、更に前に進めるべきと感じています。

 もとより、一介の無名な精神科開業医や、現場カウンセラー、ケースワーカー、など皆様のなかにこそ、著作や論文も書く暇がない、それらの理想を体現した『地上の星』と呼ぶべき皆様がたくさんおられる気がしています。

 私もとてもまだそうした方々の域には届きません。そうした地域の専門家の方々との出会いの中で、私の方が勉強させていただいてる段階です。.

 しかし、そのような「理想」を描きつつ、日々修練と勉強を続けているつもりです(^^)

....きっと、いつまでも、幾つになっても、そうでしょう(^^)

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