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2006/05/30

標(しるべ)の星

 以下に転載させていただくのは、日本フォーカシング協会発行のニュースレター、"The Focuser's Focus"の、刊行されたばかりの最新号(第9巻第2号)に掲載していただいたものです。

 実は4月頃執筆したものですが、実はこのブログで、ホールボディ・フォーカシングホールボディ・フォーカシングについて書かせていただいたもののエッセンスを、私の体験にのみしぼって要約したものに他なりません。


===============

   ホールボディ・フォーカシング初体験
   阿世賀 浩一郎
   (湘南フォーカシング・カウンセリングルーム)


 3月末の、東京女子大学での、ケビンとポールを講師とする、一日ワークショップに参加させていただきました。

 午前の部、最初の、参加者全員によるワークの時。

「まず、自分が自分のまわりの環境(大地)に支えられているという感じをじっくり味わってみましょう」

  ああ、人間が重力に逆らい、バランスを取って直立しているということは、それだけで、どれだけ身体に無理を強いていることなのだろう!

 からだのあちこちの筋肉に緊張や痛みの感触が綾(あや)をなしている。地面に足元から「支えられている」という感触と、行ったり来たりしながら味わっていると、それでだけで、地面と身体すみずみの「感じたち」に向かって、

「いつも『こんなふう』に支えてくれているんだね、ありがとね」

と、声を返してあげたくなりました。

 すると、あちこちの痛みや緊張の多くは、氷が解けてぬるま湯になるように、大地に支えられたからだの輪郭線の内側に溶け込み、心地よく、「私」を包んでくれる「環境」と一体化していく。

 ところが、それに続く「腕を持ち上げる」ワーク(腕が上がってきたいままに上がってくるのを、少しずつ「私」が『ゆるして』あげていく)の途中で、

   私は、
   左腕が根本から
   「ちぎれかかって」
   いるような、
   これまで味わったことがない感覚を
   持て余しはじめます。

*****

 午後、私はケビンをガイドとするデモのセッションに思わず志願しました。

 左腕が右腕になかなか協調してくれないのが感じられました。

  そして、私の中に浮かんだのは、

   「片(肩)-手-間(かたてま)」

という言葉。

...そうだよな、あんな状況、『片手間』じゃ、どうにもならないよなあ。

と、両腕に労(いたわ)りを返してあげると、次第に、両腕の動きの「仲が良く」なっていきました。

そして、

   「手-間-暇(てまひま)」

という言葉が浮かびます。

...そう、余裕を持って、どっしりかまえて、じっくり行こう!!

 私の真正面に立つ、ケビンの、私が体の内側で感じていることに刻々と波長をあわせて来て下さる短い応答は、私を包む「環境」の中で、遠くから聞こえる繊細な響きのように、私を支えてくれていました。

 左腕の感じは、その後、私の生活の中での「標(しるべ)の星」となり、さまざまな新たな気づきをもたらしてくれています。

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コメント

本当にすみません・・・・(汗)
立て続けにコメントで、申し訳ないです
全く関係の無いような事を書きますが、お許しを
以前、あるスポーツの様なものをしておりましたが、その時によく感じた事です
明らかに自分よりレベルの高い人の技術を見る事は確かに勉強になります
しかし、全くの素人や始めたばかりの人のする事も、逆に勉強となる事があります
予想しない事をしてくれますから
そういうやり方もあるのかと、勉強になる
全く同じ人はいない
受け入れられるか、受け入れられないかの問題は大きいですよね

 そうですね、どのくらいpecadoさんのおっしゃりたいことと結びつくかどうかわかりませんが、私なりに連想的にうかんだことがありますので、それを書いてみます。

 私のもとにフォーカシングを学びにくる人から、セミナーやワークショップに出て、周りの参加者のように、言葉やイメージや身体感覚の変化を伴うシフト(深い気づき)の体験が自分に生じないことに、「劣等感」を感じ、さらに「自分は勉強不足か? 自分は欲張り過ぎているのか? そんな簡単に身に付くわけないのに」と、自分を責めてしまっていた、と打ち明けられたことが何回もあります。

 私はそういう時、以前もこのブログで引用したジェンドリン自身の言葉を引用して、

 「うまく言葉にできない感じにちょっとだけでも触れていられたら、それを繰り返すだけでも十分フォーカシングで、後のことは自然と生じるよ」

とか、

 「フェルトセンスは、日常の中での気になることに基づいて形成されるというより、まさにセッションをしている場の雰囲気に基づいて生じてくるものなんだ。あなたはきっとそのフォーカシングの集いの『場の雰囲気』敏感に感じ取って反応しているだけなのかも。

  『こんな場所では出てきたくないよう』

フェルトセンスは訴えていたのかもしれないね。

  『場の安全』とかなんとかいいながら、表面的な「なごやかさ」だけを大事にしていて、実は、フォーカシングを学ぶ人がほんとうに自分の中で関わりたい事柄についてほんとうに受け止めてくれる雰囲気そのものがなくてさ、実はフォーカシングの集いの場に「既に慣れた」常連の人の安全感を脅かさないために、初心者が「突拍子もないこと」を感じていたり、言い出したりするのをいつの間にか抑止して、初心者の心の自由を「スポイル」していることがある気がする。
  そんなことじゃ、今のフォーカシングの世界って、

    「[内輪』の人のための閉じた仲良しサークル」

であることを超えられないのにね。
 フォーカシングの「インサイダー」の人たちは、フォーカシングを身につけることが役に立つかもしれない人たち全体に比べれば、自分たちは「米粒」ほどの存在でしかない、っていう当たり前のことに、もっと謙虚であって欲しいと思う。
 本当にフォーカシングを必要とする、実は敏感なセンスを秘めた人たちをこそ、入り口だけで去らせているのかもしれない」

と。

 トレーナーを何人育てたかなんてどうでもいいでしょ? そのトレーナーが同じように初心者を本当の意味で受け止めるキャパがあるひとでなければ、それはトレーナー個人の、貴族階級(aristocracy)としての「勲章」の量産であるに過ぎず、むしろいよいよフォーカシングの不評を広めのに貢献する人を量産するだけかもしれない(皮肉が過ぎたらすみません)。

*****

 そういう意味でpecadoさんがそのスポーツで、始めたばかりの人が「予想もしないこと」をしでかしてくれるからこそ、そこから「学べる」と感じておられたことは、すごく健全なスタンスだったのだと思います(^^)


 

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