人には、他人を「誤解」し、他人について「思い込み」を抱く権利と自由がある(増補第3版)
相手に「正確に」気持ちを伝えたい。
他人に「ほんとうに」わかってもらいたい。
他人の気持ちや意図を「誤解」したり、勝手な「思い込み」で攻撃したり非難して、相手を傷つけたりしたくない。
これらの感情は、全く自然なものだと思います。
*******
しかし、私はこれを機会に、敢えてひとつの「逆説的な」宣言をしたいと思います。
他人を「誤解」したり、勝手な「思い込み」でものごとを判断して「自己完結」してしまう自由と権利は万人に保障されねばならない.......と。
「お互いに相手の真意を理解しあえなければならない」
これは確かにひとつの崇高な理想かもしれない。
でも、この「ドグマ」に縛られた時、むしろ人と人との間に果てしのない悪循環が始まる危険もあるのではないか?
*****
そもそもあなたは自分の「気持ち」や「行動の意図」をすべて正確に理解している自信はありますか? ないでしょう?
それなら、他者の「ほんとの気持ち」や「動機」「意図」とかについて「正確に」「偏見なく」捜し求めようとすることは、はじめから果てしない泥沼に陥って当然ではないでしょうか。
人とは、自分や身近な人や他人や世界の森羅万象について、適当なところで「思い込んで」いることで、はじめて「安定した自我」を抱いて日々を過ごせる程度の、不完全な生き物でしかないのではないか?
もちろん、「思い込み」を乗り越えて、「現実」と出会おうとすることにより、確かにその人の他者認識や世界観や相互理解を深まることもあります。
しかし、それですら、『その人の』「体験過程」のステップが一歩前に進んだということに過ぎない。
*****
もとより、いわれのない差別や偏見や、ありもしないデマで苦しまされ、場合によっては殺されるにいたった数多くの人々の歴史、そして今も続く抗争は悲しいものであり、そうしたことが生じないようにするための相互理解への努力は大変貴重なものです。
しかし、実は、
「自分の理解には結局限界があり、どこまで言っても一面的なものでしかありえないのかもしれない」
ということを認められる人が増えた時、はじめて人は、何とか「共存」できるものなのかもしれません。
******
特に、相手の心を、自分の気持ちへの「的確な理解」に向かわせようと「強制」し始めた時、人は結局その人の心を乗っ取り、その人の心を自分の心の「延長」として扱おうという「悪魔の誘惑」の領域に踏み込んだのかもしれない。
「誤解を解く」ことを諦めること、
「相手の意図を誤解したままかもしれない形で相手との関係を終わりにする」ことで、自分が「加害者」になったままになることを引き受けること。
これしか、無駄な傷つけあいのない、平和的な「別れ」と、事態が自然と収まるところに収まる形での「再出発」をはじめられないことは、あるという気がするのです。
******
この「逆説」を敢えて私が語ることの意味が、皆様に「ある程度」「多少は」理解してもらえると信じつつ。
> 憎むことでいつまでも あいつに縛られないで
> ここにいるよ いつまでも
> ここにいるよ うつむかないで
> 空と君とのあいだには 今日も冷たい雨が降る
> 君が笑ってくれるなら 僕は悪にでもなる
このみゆきのアルバムの「愛情物語」という曲の歌詞を、私の書いたこととひきつけて読み込むと面白いかもしれません。
*****
人を「誤解する」自由のないところに、「相互理解」や「相互への信頼」は育たないと思います。
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» 他人を羨ましがる気持ちは、あなたを貶める。他人を尊敬し感謝する気持ちは、あなたを理想像に近づける。 [元フリーター編集者の出版日記 presented by Mari Okawauchi]
他人さまに「恵まれていて羨ましい」といわれると、なぜだか、とても違和感を覚える。まず、わたしはそんな他人さまに羨ましがっていただけるような人間ではないし、羨ましがっていただけるほどの環境で育ったかといわれると、それも「ある一定の年齢以上になったら、環境は与えられるものではなく、自ら作り出すもの」だと考えて......... [続きを読む]
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中島みゆき「空と君のあいだに」



まさに、いま私が求めていた言葉でした。謝ろうか、でもそれが相手に私への赦しを強要することにならないだろうか?また、どうしても言い訳めいてしまう、それならただ一言、「ごめんなさい」とだけ伝えようか、でもそれも相手の怒りの正当性?を奪ってしまうことになるとか考えていました。ありがとう。私は、黙って怒りを受け止められます。
投稿: 木村 喜美代 | 2005/11/16 21:20
木村さん、そうこそ。
相手の自分への誤解を解こう、相手に自分の方が誤解したことを謝ろう、ということにこだわるあまり、まるで交響曲のコーダ(全体の終わりの「ジャン、ジャン」という部分が)果てしなく続くような堂々巡りに散ってしまうことがあると思うのです。
両者がお互いに「誤解」したままの可能性を「許す」とまではいかなくても、「許容」(黙認)し合う形での「終戦」というあり方しかないことがあるような気がします。
投稿: こういちろう | 2005/11/17 01:47
あれ?どうされたのかな?と、ちょっと気になってます。あ、でも、お気になさらないでくださいね。いつもの単なる妄想ですから。(爆)
『努力』 たとえば、学問のような世界では努力はある程度報われるように思いますが、人間関係では、必ずしもそうではないなあと、よく思います。努力すればするほど、ハマる・・・みたいな。(^^;
すべては投影であり、それぞれが別々の次元で、自分の枠の中を生きているわけですから、ま、仕方ないですね。材料を与えることはできるけど。できるのは、そこまで。
諦め?諦観?お料理?
あ、ほら、お料理って、材料は同じでも、腕(経験やセンス)によって、まったく違うものができるでしょ。おいしいものを食べたかったら、自分の腕を磨くのが手っ取り早いんですね。なぜなら、あなたのおいしいものと、私のおいしいものは違うから。(^^;
えーと、んーと、、、つまり、どんなふうにして、グレーゾーンに安定した自分を見出すかってことなんですよね。きっと。そっちのほうがダンゼン大事ですものね。(あれ?なんの話してんだろ・・・)
思いっきりズレてるかも。ごめんなさい。とにかく元気出してくださいね。あ、お元気かな?
投稿: 竹節峰子 | 2005/11/17 22:33
結局、自分の自我を作るということは、自分の世界観や他者認識を自分で作り上げ、それを自分で守るということと結びついています。他人の誤解を解こう解こうとするうちに、結局自分のものの見方と相手のものの見方が相互に「巻き込み合う」ばかりになることがある。
ストーカーの加害者と被害者の関係なんて典型ですね。
私がここで書いたことの個人的な意味が分かる人が世の中に数十人います。特に協会のコアメンバーリストに参加していた人は全員知ってます(^^;)
あと、なんとなく、ホームページ読んでたら、私の「私生活」に『つじつまが合わない」面があること、気づく人は気づくはず。
ただ、私はそうした個人的な次元を超えて、普遍的な問題として「悟った」んですよ。「誤解する自由」がないところに相互理解も生まれてこないということに。
そして、カウンセラーという、人を理解していくことが大事な人種こそ、「誤解する自由」が実は大前提にあることに気づいておくべきと思うんです。
これだけで、人を受容できる幅か実はぐっと広がり、肩の力が抜けます。
投稿: こういちろう | 2005/11/18 00:16
これ、すっごく納得なるほど~ってかんじです。なによりも論理が明快で、自分と照らし合わせながら具体的に考えさせられるものでした。言葉にはできないけれど、近いモノがわたしのなかにもあったのかな……なんてことも思ってみたり。
投稿: 大川内 麻里 | 2005/11/20 07:49
大河内様、ようこそ。
『原稿』の締め切りに追われているので、詳しいレスは後日に回しますことをお許しください。
投稿: こういちろう | 2005/11/21 00:50
皆様への自己レスです。
本文に上げた、みゆきのアルバム"Singles 2000"の「愛情物語」という曲の歌詞を、私の書いたこととひきつけて読み込むと面白いかもしれません。
投稿: こういちろう | 2005/11/21 01:12
大河内様
ずいぶん無茶苦茶にコメントが遅れました(^^;)
確かに、人から羨ましがられる境遇って、本人からしたら、「な、何か違うんだけどな.......」といいたくなることって、よくあることなのだろうと思います。
私も、少なくともひと世代以上下のカウンセラーの卵たちの、少なくとも男性の一部からすると、何やらものすごいカリスマチックな存在に見られることがあります。
学会の懇親会とかで、こいつが阿世賀だと誰かに紹介されたとたん、大の男が目を「うるうる」し始めるのがわかる。
おいおい、俺は浜崎あゆみじゃないっつーに!!
その後飲み会に誘って、「こういう機会だから、どんな質問でもどうぞ」と水を向けても、まだ、身を硬くして、
「き、緊張してます!!」
そのうちに、気がついたら私のほうばかりが話をしていて、あ、しまった!! と思って、もう一度「何でもいいけど。何かない?」と水を向けても無言。
私のほうの、そういう後輩たちからの話の引き出し方がまだ未熟で、たとえば
「フォーカシングのどういうところで今戸惑ってるの?」
とか具体的に話を振ればよかったのかなとは反省していますが、この「うるうる」眼で見られた体験、一度や二度じゃないもので。
「あの~ 私、ほんとにフォーカシングの本の『一読者』に過ぎなくて、フォーカシングについてはり合いのある話し相手を求めていくうちに、自然とこうなっちゃっただけなんですけど」
というのが今でも本音です。
だから「わらしべ長者」の話とかもしたくなるのかもしれない。
大河内さんとちょっとだけ違うのは、
私にとってはいい」「羨ましい」と悪い「羨ましい」という観点から捕らえるのではなくて、
むしろ、
単なる「憧れ」
から
「羨ましい」
に
「進化」するまでというのが、大事な過程なのかなと思います。
単なる「憧れ」は
「とても自分はその人のようになれるわけがない」
が暗黙のうちに含まれている。
「私もそうなりたい」は、あったとしても小さな部分。
次のステップが「ねたましい」かな。
自分もそうなりたいけど、なれそうにない「悔しさ」から、心のどこかで、相手をむしろ何かのきっかけで足を引っ張りたくなったり、「どうせああいう人たちは○○」なんだから、という、イソップの「酸っぱい葡萄」的「合理化」というか、価値の引き下げをはじめる。
これじゃ、
I,m not OK,
You are not OK
にはまり込んだことになる。
ほんとうに「うらやましい」って思えるためには、「自分にも相手と同じようになれる資格があるんだ!!」という、ひょっとしたら向こう見ずかもしれない「自己の可能性への信頼」がもてる必要があるのだと思う。
自分の相手へのジェラシー、「ねたましさ」の中に潜在している「私だってあの人のようになれるかもしれない」という思いを素直に肯定した時、
はじめてほんとうに心から、
「うらやましい」
と思えるんだと思う。
I,m OK
You are OK
の「羨ましさ」の境地に。
私は、自分が自分にない何かを持っている人にモヤモヤした屈折した感情
(例えば、「つまらん学科発表しかしてないのにどうしてこの人が大学教授なんだ!!」とか(^^;))
を感じた時、
そうか、私はこの人が「うらやましい」わけだ!!
とあっさり「認知の再構成化」をはかることを習慣にしています。
そうすると、むしろその人の学会発表の「いい点」についてコメントしたあと、いわば「修正意見」として、欠点をさりげな~くgentleに「付加的に」述べる、みたいなオトナの態度かとれ、
「うーむ、こいつ鋭いところをさりげなくついてきているが、私の体面はつぶさなかった。こいつのことはどこかで覚えておこう」
とかなったりして。
投稿: こういちろう | 2005/12/09 22:17