ディック・ミネ、「瀬戸の花嫁」を叱るの巻
どうも、原稿やら雑用やらでホームページを留守にしていた割には、この数日、アフィリエイトしているリンクの利用者の方は逆に多くいらっしゃって、誠に感謝しております m(_ _)m
今日は、少し文化人類学的話を前ふりにしましょう。
実は、このブログ左の欄のブックレビューの、「岩波講座 宗教」第5巻の、我が敬愛する田嶌誠一先生の論考にものっけから出てくる話なんですが。
自分を自身を悩ましていた「悪霊」を鎮魂し(?)、癒す能力が高まると、その「悪霊」は、必ず「守護霊」へと変容して、自分を守ってくれる最大の味方になります。そういう人は、シャーマンとして、地域社会で尊敬される存在になることも稀ではない、ということは、どの文化圏にも見られます。
ただし、一度「守護霊」とのそういう関係を築いたら、得てして人は慢心に流されやすくなり、ちょっとでも油断すると、「守護霊」は再び「悪霊」のふりをしてその人を「試練」でもって悩まし、「守護霊」との関係をもう一度丁寧に大事にするように「教育的制裁」をかけてきますので、その「守護霊」からの「教育的制裁」を甘んじて受けて、「守護霊」からの信頼を取り戻さねばなりません。
さもないと、その人自身が、他の人に対して「にせ守護霊」という名の「悪霊」をばら撒きまくる、一番厄介な「にせシャーマン」になってしまいます。
つまり、一度「守護霊」との関係を築いたら最後、「本物のシャーマン」として絶えず耐えず「守護霊」からの「試練」に耐えて精進に励むか、「偽シャーマン」として、世間からも救いの道を求めるものを悪の道に引きずり込み、たぶらかす怪しげな存在とみなされ、「本物のシャーマン」すらそういう「偽シャーマン」と同じ程度の存在でないかという世評を生み出して迷惑を賭ける存在になるかの、「2つにひとつ」の人生しか歩めないのではないかと思います。
....で「偽シャーマン」によって植え付けられた「悪霊」から人を再び救い出すだけで「本物のシャーマン」は日々手一杯となるのでありまする。
以上、何より自戒を込めて。
*****
今述べたことについて、ユングは、「自我と無意識」(レグルス文庫)で、
「自我肥大」の危険
という言い方で書いています。
(訳者のひとり、渡辺学氏による「前書き」がご自身のHPにアップされていて、これだけでも読み応えがあります)
これは、一言で言うと、その人の意識と無意識の対話が進み、影やアニマからのメッセージと円滑な相互作用がはじまると、その人は、以前より内界、外界からのメッセージに敏感になり、以前なら気がつけなかったことまでどんどん気付けるようになるという体験をするようになります。
「共時性」的な体験(一見偶然のようでいて、何か必然的な摂理が働いたかに思える出会いや事件との遭遇)」もやたらと増えると感じられる。
そうなると、その人は、世界の摂理がみんな見通せるかのような錯覚と傲慢に陥る。これをユングは『自我肥大』といいます。
しかし、ユングの考え方によれば、「意識(自我 ego)」というのは、どこまでいっても、「自己(self)」という、巨大な恒星、とても全体を汲みつくすことなど一個人に不可能な心の領域の周りをまわる小さな惑星に過ぎないので、こうした「自我が自己を覆い尽くせたかのような」錯覚や傲慢には、必ずバランスを回復させるための、無意識のうちでの「補償」作用が始まる。
例えば、現実の他者の上に投影された形での、以前より深い次元での「影」や「アニマ」からの誘惑や、トラブルに巻き込まれるなど。
これはその人が更に成長するための試練にもなる代わりに、一歩間ま違えると、その人自身の破滅や、その人自身がいつの間にか「善の仮面をかぶった悪」として、たとえば悪しきカルト宗教の教祖になったり、有名だけど、実はクライエントさんの人生に悪影響の方を強く残すことが多い、厄介な「著名セラビスト」になったりする引き金となるわけです。
****
それこそ、ゲーテの
「ファウスト」
のはじめの方、「世界のすべてを極めつくした」ものの、空しさに駆られて自死を選ぼうとするファウスト博士の前に現れた、悪魔メフィストフェレスの誘惑に当たるもの(この悪魔、神様と、ファウストについて「賭け」をする、というあたりが序幕で描かれるわけですが)。
ユングは実は「ゲーテのご落胤の孫である」という噂が絶えず、ユングもそれを敢えて否定はしなかったというのは結構知られた話ですが、
どうか、「ファウスト」だけは、みなさん、手塚治虫の漫画版だけでもいいから(私も最初はそこから入りました)、目を通すことをお勧めします。
手塚治虫は、若いころに「ファウスト」、晩年に、確か未完に終わった
「ネオ・ファウスト」
と、何回もファウストのテーマに挑んでますが、私が読んだのは若い頃の
「ファウスト」だけです。
*****
さて、やっと本題です(^^;)
実は、今朝、こんな夢を見ました。
「NHKのど自慢」だと思うんだけど、中年のおばさんが、それはそれはきれいな声で、
小柳ルミ子の「瀬戸の花嫁」を歌うんです。
同然、鐘は「キンコンカンコンキンコンカンコン、キン、コン、カーン」
アナウンサーは、「おめでとうがさいます、合格です」
といつものように駆け寄るのですが、その日のゲスト審査員の
ディック・ミネさん(平成3年にお亡くなりです)が、予想もしない、凄く険しい表情で
「あなたは表面上きれいに歌っているだけで、全然魂がこもっていない!!」
と猛烈な歯に衣着せぬお説教をはじめる。
それが延々続くものだから、司会者も番組進行が滞り、大変な事態になっていく……
というのをテレビで私が見ている夢でした。
****
この夢は、まず素直に受け止めると、内なるディック・ミネさんという「守護霊」からの
「思い上がるなよ、『自我肥大』するなよ、おまえはまだまだだからな」
という警告のメセージとして、まずは謹んで受け止めました。
ディック・ミネさんというと、まさに酒と女と歌にまみれた人生を送った人で、世間の汚濁にまみれつつ生きていた人という印象があります。
でも、きっと、その歌手が「本物」かどうかを見抜く目は、すごく厳しい人だったんじゃないかと。
****
しかし、夢解釈は、ここまででは実はまだ道半ばまで来ていないんですね。
ここからが
「バイアス・コントール」
と呼ばれる部分です。
誰もが、自分の夢を解釈しようとする時、自分自身の日常について、自分が理解するのと同じようなスタイルで理解しようとします。
この例でいえば、自分に自信がない人だと、すぐに、ディック・ミネに吊るし上げを食らう「中年おばさん」の側にあっさり自分を「同一化(identify)」させて、
「自分はやはり見かけだけで中身がないということなのだ。本当はみんな私の中身のなさを見透かしているに違いない」
などと自己嫌悪し、「悪夢」を見たとしか受け止めないでしょう。
そこで、そういう自分自身への通常のものの見方の固着した「偏り(bias)」とは違ったアングルから夢を味わうための刺激剤としての示唆的教示のことを、「バイアス・コントロール」というのです。
(詳しくは、左の欄のブックレビューで紹介した、ジェンドリンの「夢とフォーカシング」を参照していただく方がいいのですが)
まずは「登場人物の方略」
(この呼び名については、阿世賀浩一郎 「夢フォーカシング技法の面接場面への適用に際しての幾つかの実用的示唆」人間性心理学研究 第11巻 第2号 (原著論文) 1993 参照)
ユングには、夢の中の登場人物、それどころか動植物から、家具や岩や壁などの「無生物」に至まで、すべてが自分の「影」、すなわち、すべて自分の分身、今の自分にはまだ実現されていない、自分でも自覚していない成長可能性すらもが現れていると考えます。
「影」というのは決してそれ自体としては邪悪な部分ではなく、その「影」と、その人の関わり方しだいで、その人の「内なる悪霊」にもなれば、その人を更に成長させる方向への「導き手」にもなります。
その意味で、「影」とどう付き合うかは、その人を善にも悪にも導く、大変に慎重かつ厳粛な別れめなんですが。
「自分の中に、夢の中の『ディック・ミネ』的な部分はあるか?」
……ある、ある、おおあり!!
周りの流れなんて考えないで、延々「辛口コメントはさむ」ところとか。
酒と女はともかく、煙草とコーヒーとチョコレートに目がなく、カラオケ好きなのは、私の知り合いはよく知っている。
「実は、ディック・ミネ的な部分が、『まだ足りない』とすれば?」
(爆)「そうかもしれないし、それだけではないかもしれない」(^^;;;;)
****
そして、次に、敢えて、
「なぜ、『瀬戸の花嫁』か」
にも探りを入れました。
自分の中に「小柳ルミ子」的なところがないか、もできそうだけど、これは略。
個人的には、
> 若いと誰もが 心配するけれど
の部分と、
> 男だったら 泣いたりせずに
> 父さん母さん 大事にしてね
の部分に、私の中の何かか「共振」しました。
今は、それを味わえば、十分です。
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