「まだまだこれからなんじゃない」
きのうは正午から午後4時まで、白金の方での、今度こそ本当の「復帰後初出勤」でした。
思いのほかあっさりと、肩に何の力も入らずに、勤務1日目を終わりました。
まあ、それでも、家に帰ったらいつの間にかソファで爆睡してましたけど(^^;)
そしてあした「4時間」勤務したら、4日続けて休めるという、何とも優雅な(^^;)仕事始めです(もっとも、都心への通勤には片道2時間弱かかりますが)。
この態勢で2週間勤務した結果で、産業医との再面接を経て、問題なしとなれば「徐々に」勤務日を増やすという、なんともゆたっとした復帰スケジュールです。
***
さて、ナカニシヤ出版から名古屋大学の伊藤義美先生編で最近出版された「フォーカシングの展開」という本の中で、伊藤先生がお書きになった短い「あとがき」のことが気になっています。
私はそのあとがきを、ある共感を持って読ませていただきました。
私、実は、この本の分担執筆を依頼されつつ、きりぎりまで草稿と格闘しつつ、体調悪化の中でドタキャンという最悪のことをやらかし、伊藤先生と編集者の方に大変失礼で、ご迷惑をおかけしたにもかかわらず、きちんとナカニシヤ出版様からはから献本していただいて、大変恐縮しています。この場を借りて御礼申し上げます。
その「あと書き」、伊藤先生がご覧になったという夢の話が出てくるのですが、先生がアメリカに長期間滞在して身近にジーンの姿に接していた中で、伊藤先生が「肌で」感じた「何か」が「実に素直に」出ているのではないかと感じました。
敢えて大胆なことを言わせていただければ、ジェンドリン、今のフォーカシングの現状を、自身がかつて夢見ていたのとは何か別のものに向かってしまった現実に、やはりある諦念すら感じて、臨床の「表舞台」を離れ、「哲学」とTAEの世界に「戻って」しまったんじゃないか?
「フォーカシング指向心理療法」は、決して臨床現場での適用についてのジェンドリンの「集大成」ではないという思いを私は早くから抱いていました。むしろ、そのほんの入り口への「示唆」に過ぎないままに終わった書物だと思うし、ジェンドリン自身にも、その時点での自分の限界(edge)まで描ききったという思いはないままと思っています。
ジェンドリンが夢見ていたのは、むしろ、従来のような意味での心理療法家との長期にわたる面接関係の代わりに、一般市民がお互いにフォーカシングしあうネットワークが社会の中で「かなりの程度」機能するようになるという、かなり「革命的な」社会変革だったのではないかと思います。
それが、いつの間にか、他の流派に対するアイデンティティを確保するため、トレーナー認定制度、更に「フォーカシング指向心理療法のセラピスト」すら認定するという方向に向かった時、ジェンドリン個人は「何かが違う!」と感じ始めたのではないか?
****
私は、日本にフォーカシングが以前より浸透したとは、実は「全然」感じていません。
いくら学会誌で「箱庭療法」の次に用語検索するとヒットするようになったといっても、それはフォーカシングに関心がある研究者が論文をまめにお書きになる人が多かったからであり、以前よりは「知識」としては浸透したものの、セッションの実体験を持つ人の層の厚さは、確かに「以前よりは」広がりましたが、実は「意外と」少ないまま。
そして、フォーカシングで名の通った研究者がいないところでは、「フォーカシングなんて臨床現場では役に立たないよ」と、実はご当人は大人数でのセミナーで、初体験の人同士が組まされたセッションぐらいしか体験したことないくせに陰口をいう人たちが山のようにいる。
「私、『フォーカシングなんて臨床では役に立たない』と指導教授に言われて、卒論・修論のテーマにしたいのに、困っていたんです」と本音を話し始める若い臨床家の卵に私は毎年何人で会うことか!!
ここで、フォーカシングがもっと小さなサークルだった頃を懐かしむようではいけない。
敢えて逆説的な表現を使わせていただければ、
まさにこれからこそが、フォーカシングが、
「実はさりげない日常の営みの延長であり、
何の特殊な技法でもない」
ことが「真に」社会に認知されるかいなかの瀬戸際
なのだと思います。
ある意味では、神田橋條治先生をはじめとする熟練した臨床家たちがフォーカシングを評価するのは「当然」です。
ところが、神田橋先生ご自身は、「フォーカシングを学んで」臨床家として成長したわけではない人「だからこそ」そのことがいえるという、大変な逆説がそこにはある気がする。
フォーカシングに好意的な他流派の臨床家は、フォーカシングを「学ばなくても」臨床家として一流になれた「天賦のナチュラル・フォーカサー」が多い、と私は感じています。
フォーカシングを、自分が臨床に入る「最初から基礎にすえて」現場臨床に出た世代は、私より少し上の世代に最初に現れたに過ぎない。
それより上の世代の先生方は、一見フォーカシングの中核にいるかに見える先生方すら、実はますはロジャーズ派カウンセリングの日本の草創期における歴史を築いた大家の先生方に、カウンセリングの基礎をみっちり学んだ方々が多いわけです。
フォーカシングから臨床に入った世代の「真価」が問われるのは、まさにこれからなのだと思います。
凄く生意気なことを書いたかもしれません。しかし、「まだ昔を懐かしむのは早すぎる」、ジーンが果たすのをひょっとしたら諦めたたかもしれない「更に先のステップ」を、まさにより若い世代が刻む方向に踏み出せるかどうかの、重要な分かれ目に、今、来ているのだと思います。
これは決して私だけの思いではなく、「フォーカシングのあるべき姿はもっと先に、違った形である」と信じる層が国際的にも実はたくさんいると信じるがゆえに、私は、今年トロントで開かれるフォーカシングの国際会議にも行って見ようという気になったのです。
一見唐突ですが、
> まだまだこれからなんじゃない
> 道が続く限り
> 扉なら開いていけばいい
ayuの、
"INSPIRE"
で、締めくくらせていただきます。
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