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2012年1月

2012年1月 3日 (火)

インタラクティブ・フォーカシング 技法の実際

ジャネット・クラインの開発した、インタラクティヴ・フォーカシングが、通常のフォーカシングとどう異なるかについてのまとめはこちらの記事で書きましたが、今回は、インテラクティブ・フォーカシングの技法が、具体的にどのようなものかを詳しく書いてみましょう。

以下に述べるのは原則として二人組仕様ですが、これは3人以上でも可能であることについては詳しくは後述します。

*****

1.ふたりともまずは、リラックスできるすわり心地を見つけて、注意を体の内側に下ろしていき、今の自分が気になっていることは何かなあ?・・・と問いかけ、身体気分の不全感からの応答を待つ。

2.それらの中から、今、セッションの場の中で取り上げたいことをひとつ選ぶ。そして、そのことについて、せいぜい2,3分間で話せるくらいに、自分の中で取りまとめる。

3.どちらが先に話し手(ストーリーテラー。インタラクティブ・フォーカシングでは「フォーカサー」という言葉を用いない)になるのかを決める。他方は聴き手(リスナー)である。

4.ストーリーテラーは、リスナーに向かって、自分の置かれた状況や気になること、それについての思いを、先述のように2,3分程度で話していく。その際に、リスナーは、折をはさんでストーリーテラーの話を、自分の身体に注意を向けなら傾聴し、ストーリーテラーに伝え返しをしていく。
 ストーリーテラーは、リスナーの伝え返しがピンと来なかったり間違っていれば遠慮なく修正し、リスナーはそれに応じて伝え返しをやり直す。

・・・・ここまでの所要時間は、リスナーからの伝え返しとスターリーテラーからの修正に応じるところまで含めると、長くても10分で終わっているはずである。

5.このあと「二重の共感の時(Double Empathic Moment)」と呼ばれる部分に進む:

a.ストーリーテラーは、自分が今話したことについて、身体の曖昧な実感(フェルトセンス)に照合しながら、じっくり味わい直す。

b.リスナーは、「ストーリーテラーが」どのようなフェルトセンスを感じているのかについて、あたかも自分がストーリーテラーになったかのような気持ちで、ストーリーテラーの「身になって」、フェルトセンスを醸成していく(阿世賀はこれを感情移入的フェルトセンスと呼んでいる)。
 この際、リスナーは、できれは「ひとつの単語、ないし2,3の語句、ひとつのイメージ」をストーリーテラーに投げ返せばいいところまで吟味する(これは非常に重要なポイントである)

6.この後、まずは、リスナーの側から、吟味しておいた言葉やイメージを、ストーリーテラーに告げる。

7.ストーリーテラーは、リスナーが提示した語句やイメージを、自分のフェルトセンスと照合する時間を取る。

8.そして、ストーリーテラーは、リスナーの提示した言葉やイメージが、どこがどのように自分のフェルトセンスとしっくり来たか、新たな気づきに結びついたか、どこはしっくり来なかったかを投げ返す。

リスナーは、それを傾聴し、伝え返しを挟んでいく。

9.次は、リスナー側が、スターリーテラーのここまでのプロセスを聴いていいて「自分個人として」どんな印象はを持ったかについてストーリーテラーに投げ返し、それまでのストーリーテラーが今度はリスナーに回り、伝え返しをしがら傾聴する。

※この段階で、そでまでのストーリーテラーとリスナーの「役割交換」が成立するわけで、ここから今度は「(野球のイニングふうに言えば)攻守交代」して、4.ー8のプロセスを進めていくことが可能である。

 そして更に、時間が許せば、更に「2回」のイニングに進むといった形で、交互に進めて行くことも可能である。

※9.までのプロセスを「片道(single wing)だけ」進める形で、10.以降の終結のための段取りに進むことも可能。

※また、9.の後で、それまでのリスナーが、「全く新たな自分の話題」について、それまでストーリーテラーだった側に、今度はリスナーとして傾聴し てもらいながらプロセスを再開することも可である。1-2.の段階で想起していたネタのままでもいいし、その時点とは別のテーマになっても構わない。

10.4-9.までを「役割交代」しながら進めて、双方の合意が得られれば、二人とも再びそれそれ自分の内面に注意を向け、

a.セッションはじめと、自分自身についての感じ方がそう変わったか。

b.セッションのはじめと、相手についての感じ方がどう変わったか。

を味わう沈黙のひと時を取る。

11.10.で感じた内容についてお互いに交換する。

12.今、ここで、相互作用的なかかわりができたことについてお互いに感謝する。

***+**

・・・・以上で、2人組のインタラティブ・フォーカシングのフォーマットはおおよそ解説したことになる。

******

なお、インタラクティブ:フォーカシングは2人ではななく、3人以上でも可能である。
a.b.c.3人の場合を想定すれば、

a.ストーリテラー b.リスナー c.オブザーバー
b.ストーリテラー c.リスナー a.オブザーバー
c.ストーリテラー a.リスナー b.オブザーバー

の順序で回していくことができる(それまでリスナーだった人に次にストーリーテラーになってもらうことが原則である点に注意)。

こうした3人以上のやり方を「ラウンド・ロビン・フォーマット」と呼ぶ。

******

こうしたやり方の効能については、やはりもう一度、こちらの記事に立ち返っていただければ幸いである。

夢フォーカシング 技法の実際

今度は、ジェンドリン自身が開発した、「夢フォーカシング」の技法の詳しいマニュアル。

この技法の特徴については、本部サイトのこの記事。あるいは当ブログの以前の幾つかの記事すでに概説していますが、それを具体的マニュアルとして概説することにします。

 

本書を手に取り読み始めると、16の「質問」が羅列的に並んでいる印象になり、具体的にどういう段取りで進めるのかのフォーマットがややわかりにくいので、それを私なりに整理しなおして書いてみましょう。

夢フォーカシングは、一度身につけてしまえば、通常のフォーカシングより容易にひとりでも実施できますので、以下の部分では、敢えて「一人称」で書いてみたいと思います。

なお、私は以下の内容は日本人間性心理学会の「人間性心理学研究」で原著論文として書いています。(夢フォーカシング技法の面接場面への適用に際しての幾つかの実用的示唆」 人間性心理学研究 第11巻 第2号)

******

1.夢の内容について選び、(聴き手がいれば)語る。夢は断片的なものでも構わない。(朝起きてすぐに書き留められるように枕辺にノートを準備しておくが吉)。一般には、古い夢ではなく、最新の夢を選ぶ方が効果的である。

※聴き手がいれば、聴き手その内容を丁寧に伝え返し、誤りがあれば語り手に修正してもらう。内容的に不明瞭な部分、よく覚えていない部分は、「曖昧な部分は曖昧なままに」聴取すべきである。

2.夢について、自分なりに思い浮かぶ感想や理解、実感を探り、言葉にしてみる(【質問1】、【質問2】。

・・・・リスナーがいる場合、夢を観たご本人なりの感想や理解等をまずは語り尽くしていただくことを十分にすすめて、次に進むことがたいへん重要です。

3.夢の中で、一番興味を引く部分はどの部分かを確認する。

4.ここから先、大別すると3つの方略がある。
 すなわち、「場所の方略」「登場人物の方略」「物語の方略」である。
 これらは夢を観た人が興味をひくのであれば、自由に選択していい。

(聴き手の側は、自分のフェルトセンスに照合しながら、夢をみた人のプロセスの流れにふさわそうな「質問」を提案していくほうが円滑に進むことが少なくないであろう)

●場所の方略【質問4】

* 夢の中に出てくる場所と似た場所に行ったことがあるか?

* 形状や様子は似ていなくても、夢の中で「そういうふうな居心地になった」場面というのを、生活の中で味わったことがあるとすれば、どんな場面か?(心象風景)

●登場人物の方略

* 夢の中で関心を持てる登場人物を選ぶ。
 (それまで出会ったこともない見知らぬ人、ちょい役ぐらいの人、場合によっては無生物[建物、調度、花、植物など]を選んでみるのも一興である)【質問6】

* そのような人物の特性が、もし「自分の中に」少しはあるとすれば、どんな部分? ひょっとしたら、自分の中にそうした側面があと少しあってもいいというサインかもしれない【質問7】

・・・・このへんは、ユング的に言えば「アニマ」「影」などの元型を投影された相手というふうにもとらえらるかもしれない。「自我」というものは「自己」の全体性の一部でしかない。

* 試しに、その人に「なってみると」どのような感じだろう?【質問8】

・・・・これは、ゲシュタルト療法とは異なり、心の中だけの演技のつもりでいい。子どものための学芸会で、大げさに身振りを交えつつ演技するつもりで。

(「端役」ばかりか「花」「山」「岩」の役など、幼稚園児の学芸会ならあると思える)

●その他のオプションとして私がおすすめの質問

*もし、その夢に「続き」があるとすればどのような方向に向かうだろう?【質問9】

*事実に反するものは?【質問12】 

・・・夢の中と日常では違うこと、部屋の構造、登場人物の性格や役割などでもいい。
・・・たとえば、階段を降りていたはずなのに、出た先は山頂だった・・・みたいな矛盾なども。

*****

他にも幾つかの【質問】をジェンドリンは準備していますが、私なりに思うに、それらをあまり安直に使うと、ありがちな「頭での」「象徴解釈」になりがちと思えるので、ここでは解説を省略します。

*****

ジェンドリンが、夢との関わりで重視しているのは、

「人は、自分の夢についての理解において、普段の日常生活において自分を理解するのと同じような形で理解しようとする傾向(バイアス)がある。そのために夢は新鮮な気づきとして活用できないパターンにはまる」

ということです。

夢フォーカシングは、とことん「楽しむ」ものです。

私がセッションを持った経験からすると、仮に怖い夢や苦しい夢であっても、爆笑ないし苦笑する思いもよらない展開になり、ご本人も楽しい体験になることがほとんどです。

2012年1月 4日 (水)

「こころの天気」のご紹介

島根県松江市でフォーカシング・トレーナーをなさっている土江正司さんは、活発にグループワークやワークショップを開催されており、独自のユニークな技法をいくつも実践しておられる注目すべき存在です。

もっとも著名なのは、「こころの天気」よばれる描画法的アプローチです。

この技法は、非常にシンプルであり、小学校低学年を含む学校教育現場でも十分活用できます。

詳しくは、土井さん自身のサイトでわかりやすく解説されているので、以下のサイトを御覧ください。

●こころの天気描画法(by 心身教育研究所)

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