NHKドラマ「ツレがうつになりまして。」第1話の段階での感想と今後の展開への期待
今、やっと昨日の第1話(毎週金曜日22時より放送)を観ました。
私は原作を知らないままです。
むしろ予備情報全くなしでぶっつけで観ようと思っていましたし、原作との比較論にも今後も一貫して無関心を通すことをあらかあじめお断りしておきます。
細部に至るまで、非常にリアルに描かれているし、俳優さんも適材適所で好演だと思います。
藤原紀香さんの、最初登場した瞬間に彼女であるとは全く見えない、アイラインなし、ノーメイクでぼさぼさ頭、これだけはネットで情報ありましたけど、記者会見の動画や番組宣伝用のスナップ写真などでは、ドラマの映像を実際観た際の、その強烈なプレゼンスはほとんど伝わりません。ここまでやると、視聴者を幻滅させることを覚悟で彼女の「素顔」を見せる役者魂!に敬服するのみです。
私の中には「ルパン3世」の峰不二子の化身みたいなイメージが強かったので、かなり強烈。でも、おバカで、かわいくて、無力で、でも魅力的です。
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うつの人を抱えたご家族や恋人によく見られがちな光景である、そうした周囲の人自身がうつ的になっていく(あるいは、潜在的なうつがあぶりだされる)という悪循環のジレンマと、その血みどろの克服の中で、お互いに少しずつ癒され、生き方が変わっていく過程もきちんと描かれそうですね。
うつって、うつになったご本人が単に「回復する」だけのプロセスで済ませれるものであることは実は少ないのです。その人と関わる周囲の人との間の「システム」そのものが変化すること、ひいては、その家族やカップルが帰属していた社会との接点の「システム」も変化することが、連鎖反応的に、見かけ上はほんの少し、シフトする必要があることが多い。
ご本人がうつから「回復する」ことだけを家族や企業が「期待している」状態というのは、悪循環を維持する牢獄の最たるものです。ご本人は、果てしなく泥海の中でのたうつことになりやすい。これは、システムズ・アプローチに心得がある臨床家には俯瞰できているはずのことのようです。(このことも先日の児島先生の講義の中で示唆されていたのですが)
そして、実は、そうした、うつの方を包む「システム」の重要性の最たるものは、当然医師との関係性です。
このドラマの中では、理想的なお医者様と最初から出会えたという前提で描かれていくようです。
しかし、現実には、医師の一治療者としての実力は別としても、まずは、患者さん、ご家族とお医者さんとの間のコミュニケージョンに隙間風が吹いていることがいかに多いか。そして、それが治療過程の停滞の決定的因子であることがいかに多いか。
患者さんを包む一番ベーシックな社会的援助システムである筈の医者との関係そのものがきちんと歯車がかみ合っていないならば、うつの人が空回りし続けてもやむをえない、これは自明なことなのではないか?
我田引水ですが、この「お医者さんとのかかわりのサポート」という領域こそ、私が地域の開業カウンセラーとして、ここしばらくの間に非常な問題意識に目覚め、研鑽を積み、特化して展開させてきた大事な領域です。
実はこれが単なる「アドバイス」(コンサルテーション)ではなく、むしろセラビーそのものであるという認識に目覚めたことは先日にもお書きしました。
これについては、このブログで度々お書きしてきた、不肖、私の見解を、「こころ相談.com」で、総括的に、ロングインタビューの記事にしていただけることになりました。すでに最終校正作業終了。今週中に公開です。
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ドラマの方、いずれにしても、第1話がこの水準なら、今後の展開には、もうあまり心配がいらないかと思いました。
そうそう。風吹ジュンさんが演じるお医者さんが自転車乗りなのにはびっくりしてしまった、自転車乗りカウンセラーのこういちろうです(^^)
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このドラマの監修者は、NHKスペシャル 「うつ病治療 常識が変わる」で番組出演され、メインのコメンテーターをお務めだった、日本うつ病学会理事長、野村総一郎先生です。
※続く第2話についてはこちらです。
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