トロントの思い出
NHKドキュメンタリー、「戦場 心の傷」の記事を書いて、思い出したこと。
フォーカシング国際会議が、来年(2009年)の5月に、日本の淡路島で開かれます。
このことに関しては、すでにこの記事等でご紹介してまいりましたが、私は2005年5月、カナダ、トロントでのフォーカシング国際会議に参加しました。
その時の現地からの記事はこちらからご覧いただけます。また、その時の写真集「トロントだより」もこのブログに併設しています。
この、トロントで、世界各地で活躍する、フォーカシングのトレーナーの皆さんから、そのこれまでの生き様を含めて直接お話をうかがえたことは、その後の私にたいへん大きな影響を残しました。
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その中のお一人からうかがったお話。
深刻なトラウマへのフォーカシングの適用の代表的人物の一人というべき女性。
私より20歳近く年長ですが、私と同じ、世界に百数十名いる、フォーカシングの国際資格に認定資格者(TFIコーディネータ)のお一人でした。
その方がお若い頃。196-70年代、アメリカには公民権運動の渦中にありました。彼女も、アメリカ国内で差別されている人種・民族のために積極的に活動する活動家のひとりでした。
ところが、ある日、思いもよらない事件が起ります。
彼女が車で自宅に帰宅し、玄関のドアの鍵を開けようとそうると、突如拳銃を突きつけられ、顔のそばで発射されてしまいます。
彼女は、顔面の3分の1を吹き飛ばされる重症を負いました。
逃走したのはひとりの少年でした。
しかも、その少年は、彼女が人権運動の中で貧困と差別を受けているとして擁護していた、まさにその人種の少年だったのですね。
彼女は、単に長期間を要した顔の整形修復手術の苦しみに耐えるみならず、突如発砲された衝撃から、PTSDに陥ります。
それに輪をかけたのが、その発砲の犯人が、まさに彼女が人権運動活動家として擁護していた人種の少年だったということから、深刻なアイデンティティの危機に陥ります。
いろいろ回復の手だてを求めていくうちに、彼女はフォーカシングに出会いました。
そこで癒されたことが、彼女をフォーカシングのトレーナーとしての道に進ませたのでした。
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この方に限らず、フォーカシングにおける今日の代表的な指導者たちの中には、ベトナム戦争当時の騒然としたアメリカ社会の中で、未来を模索した、最も先鋭なグループに属し、そうした活動そのものの中で、心身共にぼろぼろになった経歴をお持ちの方がたくさんいることに気がつきました。
私は、正直にいいて、
「こうした人たちにはかなわない」
と感じました。
スケールが違いすぎる。
運動の中にコミットし、理想と現実とのギャップに傷ついていくプロセスの凄惨さと切実度が、日本の学生運動と比べても次元が違うと感じさせられたのです。
今でも、世界の紛争地域に、国際協力隊員として赴いたり、あるいは第3世界(特に中南米)の厳しい現実の中で、フォーカシングを生かすことに命をかけておられる人たちが、たくさんいる。
その時から、私は日本のフォーカシング運動そのものが、なんともちまちました箱庭スケールのものに見えて仕方がなくなったのでした。
(個々のフォーカシング関係者の中には、難しい現場のシビアな最前線で奮闘しておられる方も少なくないと信じています。そうした方々を誹謗する意図はもちろんございません)
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トロントに行ったのは、私自身、人生の中で、これまでにない苦しい状況に直面していた、まさにその時でした。
私は,その状況の解決のための援助として、ひとりのクライエントとしてカウンセリングに通い、「適応障害」の診断を受け、鬱状態で心療内科医療の治療も受けていました。
しかし、そうした日本の現状での援助的専門職からのサポートではどうしても埋め難しい、自らの深い心の傷と空洞に、まずは、「私自身のための」フォーカシング教師として成長し続けるしかないことを、胸に沁みる思いで重ねました。
大学所属の常勤カウンセラーから、湘南地域の、一開業開業カウンセラーとしてし働くようになる中で、個々のクライエントさんにとって、代金に値するだけの援助をしていくということはどういうことかということにも直面しました。
フォーカシングは、何よりも私自身のために。
しかしそれは、即、
個々の来談される方のために、現場臨床家としてどこまで心を尽くせるか
ということと表裏一体になるものとして。
......そのような信念が私の中に形成されて来たのです。
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もとより、私はまだまだ発展途上、さまざまな未熟さを抱えているとも感じていますが(^^)
いつも申し上げますように、思いつくままにご意見や注文をいただけますことこそ、私が望んでいることです。
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